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結婚相手

 ふたりが大広間に戻ると、パーティーはほとんど終わっていました。そこへ、家臣が王子様を呼びにきました。王様がお呼びだと言うので、王子様はダイアナにウインクをして、玉座に向かいます。

 王子様は、お酒が入ってご機嫌そうな王様に声をかけました。

「父上、お呼びですか」

「おお、ジョージ。どうだ、結婚相手は決まったか」

「はい。結婚式はこの後してしまうのですよね?」

「そうとも、伝統に則ってな。私と妃も舞踏会で出会い、すぐに式を挙げたのだ。あの時のガーネットは、名の通り、宝石のように美しかった」

「あなた、今はその輝きも失せたとおっしゃるの?」

 王妃様が笑顔で王様に尋ねます。しかし、その目が笑っていないことに王様は気づいたのでしょう。

「もっ、もちろん今も美しいとも。あの時とは違う、大人の魅力があるな」

「ふふっ、あなたったら。そんなこと言われたら許しちゃうじゃない」

 いちゃいちゃし始めた両親に、王子様はひとつ、咳払いをしました。

「父上、母上。結婚相手の発表をしても?」

「うむ。もちろんじゃ」

「頑張ってね、ジョージ」


 王子様が玉座に立つと、大広間のざわめきがすっと静まっていきます。

「それでは、私の結婚相手を発表する。名を呼ばれたら、ここまで来てください」

 娘たちはお迎え期待と自信に満ち溢れた顔で、玉座を見つめています。王子様は深呼吸をすると、にっこりと笑って、ダイアナ・アメジストの名を呼びました。

 ダイアナ?誰かしら?

 そんな空気の中、玉座に向かうダイアナの姿を見て、人々は非難の声を上げました。

「あの子、罪人じゃなくて?」

「信じられない。王子様が罪人をお選びになるなんて」

「そりゃあ、ダンスは上手かったわ。でも、罪人よ?王様のおふれに背いたのよ?」

 王子様のもとにたどり着いたダイアナは、顔を歪めていました。目にはうっすらと涙が浮かんでいます。王子様は思わず、水晶みたいな涙だ、と場違いなことを呟きかけ、慌てて口をつぐみました。ダイアナを慰めながら、どうしたものか、と王子様が困っていると、王妃様が進み出ました。

「皆様の気持ちはよくわかります。ですが私は、ジョージの気持ちは本物だと思うのです。皆様、王の意見を伺ってみませんか?」

 王妃様の、透き通るような、しかし芯のある声には、その場を静める説得力がありました。

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