無題 01
未整理 ショートコント/実話
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[寒い日に] (虚構)
道の向こうの空き地で、子供達が、スマホで遊んでいた。
真冬の空には、黒々とした雲が低く垂れ込めて、粉雪が舞い始めていた。
喫茶店のマスターは、子供達に声をかけた。
「風邪をひくぞ。店の中でやらないか?」
子供達は首を振り言った。
「いーよ。だって、そこ香川県だもん」
<終>
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[卒業式] (現実)
・中学校
まあまあの成績で、いじめられっ子だったから、式が終わると、逃げるように帰宅。
もう通わずに済むから、サバサバした解放感だった。
・高校
落ちこぼれだったから、逃げるように帰宅した。
卒業式は、必要なのか?
(教師も、本音は同じかも)
<終>
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【高校時代】(現実)
俺が落ちこぼれた高校は、公立で、そこそこの伝統校だった。
秋の学園祭の時期になると、生意気にも二次会と称して、飲食店で酒を飲み喫煙もした。
だが基本的には優等生達なので、遅くなりそうだと、皆で店の公衆電話をかけ、親に許可を得ていた。
親も親で「お金、足りるのかい?」が返事だった。
新設高校には厳しい管理教育が行われていた時期なのに、伝統校の校則は無いも同然だった。
なぜなのか?
優等生は、多少の羽目をはずすことがあったとしても、大きく人生を踏み間違えたりはしないからだと思う。
野生動物は、隙があれば檻から逃げ出そうとするが、家畜は自主的に飼い主の所へ戻る。
<終>
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【19歳の2月】(現実)
高校を卒業してから2年が経ち、俺はボロボロのMAXに達し、人生に疲れていた。
ふと、名古屋駅から近鉄電車に乗り、途中で乗り換え大阪方面に向かった。
やたらと長いトンネルを抜けると、山々には冷たい雨が降っていた。
このまま山で迷えば、数日で死ねるだろう。よし、次の駅で降りよう。
俺は死ぬはずだった。ところが次の駅で降りようと決めた途端に、なぜか周囲に戦国ドラマのような風景が広がった。
そこで数人の若者達が焚き火にあたり休憩していた。鎧姿とは程遠く、せいぜいが足軽程度の連中だ。
一人が、こちらを向いた。
俺は呆気にとられ……気づいたら次の駅を通り過ぎていた。
あれは、誰だったのだろう。不思議なことってあるものだなと、春になると思う。
<終>
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【終】