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第29話 記憶


 青宮も黒崎も黄野も。 

 嘘をついて俺を騙したことを最後までずっと謝っていた。

 

 確かに真相を言われた時は驚いたし困ったが、別に怒ってはいない。

 三人とも俺のことを真剣に想ってくれた結果、こういう結果になったなら全部水に流そう。

 

 第一、三人は俺の記憶を取り戻そうと協力してくれた。

 記憶が戻れば嘘がばれてしまうというのに。


「ここか……」


 虹橋第三公園、その隣。

 今は工事中を示す柵で覆われている一帯。

 元々はこの公園の一部だった土地を駐車場にする計画らしい。

 まだ土が敷かれている段階だが、(じき)にアスファルトに舗装されると言う。

 

 黄野から渡された一枚の白い紙に書かれていたのは手書きの地図だった。

 何でも、俺が黄野を助けた時に落としたものらしい。


 その地図にはマーカーで大きくバツ印が書かれていた。

 丁度今いる、工事中の場所の端っこ。

 

 家から持って来た使い古されたスコップで掘っていくと、やがて宝箱のような長方形の入れ物を見つけた。

 

 こびりついた土と埃を払いのけ、重厚な箱を開ければ中には一枚の手紙と写真が入っていた。


 私が日本に帰って来た時、ユーマが誰とも付き合ってなかったら。

 その時は私と付き合って欲しいです。

 エリーより。


「これが約束……そうか、そういうことか」

 

 記憶喪失になる前、俺はこの約束をずっと守ってきたのだろう。

 何故と言われれば答えは一つしかない。


 真夏の太陽に照らされ、薄い紙の裏側が透けた。

 何やら文字が書いてある。

 目に入ってきたのは下手くそな日本語と違ってとても綺麗な筆記体だった。


「I LOVE YOU……」

 

 きっと小学生の時、エリーと別れる間にもう俺は彼女に恋をしていたのだろう。

 そしてエリーも俺を想ってくれていた。

 

 小学生の恋なんてごっこ遊びに満たないかもしれない。


 それでもタイムカプセルから取り出した一枚の写真、手を繋いで見つめ合う俺とエリーは本当の本当に幸せそうな笑顔を浮かべていた。






 

 


 

 

 


 

「記憶を失った俺が、超絶美少女を虜にしている件」を最後でお読みくださった皆様ありがとうございます。

本作はこれにて完結です。


読者様には申し訳ない気持ちと感謝の気持ちがいっぱいです。

長い間更新出来なかったこと、急ぎ足で完結させてしまったこと。

謝りたいことが沢山あります。


それでも最後までついて来てくださった読者様、本当にありがとうございます。

またご縁があれば、私の作品を読んで貰えると嬉しいです。

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