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予見の覇王と覚醒者  作者: できれば匿名希望でお願いいたします
第1章 日常に潜む闇
3/44

2

キーン、コーン、カーン、コーン。

チャイムが鳴る。

それと同時に、たくさんのクラスメートが駆け出してゆく。


放課後。

俺は、教室で読書をしていた。


「ふう、やっと静かになったな」


周りが静かになったのを確認し、しおりがはさんであるページを開こうとする。

その時だった。


「よーっ、迅火ー」


後ろから、友人、フレイ・ドルセラーが俺の肩を叩いてくる。

そのはずみで、しおりが外れ本が閉じられてしまう。


「おいっ、ちょっ、フレイ」


ちなみにこいつについて言っておくと、まず名前の通り外国人だ。ここは日本の学校だが、おそらくドルセラー家は15年前の第三次世界大戦で日本(ここ)に逃げ込んできたのだろう。

フレイは超がつくほどフレンドリーで、新学期に教室の片隅で読書をしていた俺に、遠慮なく話しかけてきたのだ。

まあそれ自体は俺としては悪いことではないと思っている。こうして友人になれたからな。

あとは、そのツテだろうか、さらに数人の友人ができた。

たとえばそのうちの一人、白岡(しらおか)賢人(けんと)


「おいおい迅火、また読書かよ。たまには遊びに行こーぜー」


たとえばそのうちの一人、有明(ありあけ)雹華(ひょうか)


「ね、ね、迅火くん。わたしとデートするのはどう?」


ちなみにデートとかぬかしてるが、こいつは俺に好意があるわけでは全くない。ただの冗談だ。


「それはまずない」


すると賢人が俺に同調する。


「そだそだ、デートするなら俺と」

「あっごめんそれはないわ」

「えーっそんなひどいー!なんで迅火ならオッケーだったのに」

「だって賢人変態じゃん」

「待って俺は呼び捨て⁉︎てかそもそも変態じゃないし、というより変態といったら迅火のほうが」


……おい。

なぜ俺にレッテルを貼り付けた?


「え?じゃあこの前女子更衣室覗いて先生に説教されてたの、迅火くんだったの?」

「………………………いや、それは俺だ。で、でも、迅火なんか覗き見の映像見してくれなんて」


ちょっと待とうか、賢人くん。なぜ君はそうも堂々と嘘をつけるのかなぁ?


「……あっそれ俺です……」


フレイがぼそりと正直に名乗り出る。

……これはいいことなのか、悪いことなのか?


「まあお前ら一旦落ち着けよ。別にそんなことで……。ほら、な、遊び行くんだろ?」


このまま放っておいたら延々に続きそうなので、俺は先を促した。


「……ま、そうだな。とりあえず、学校出るか」

「だね、それから商店街でも歩いて決めようか」


フレイと雹華が言って、教室を後にする。

賢人もそれに続く。


「おーい、迅火、置いてくぞー」

「あっ悪い、今行く」


俺は本を片付け、三人に続こうとする。




ズキン……。




ふいに、胸の奥が痛む。

もちろん、罪悪感だ。


俺は、三人を騙し欺いて、ここにいる。

俺が第三次世界大戦の元凶だと知ったら、みんなは許してくれるのだろうか……


俺は心の中で謝りながら、三人の後を追った。

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