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地下一階 ボーラという男 1

「クラーケン」という空中都市へと行かないか?

と、眼鏡を掛けたボーラという男が現れる。

そして、クラーケンを破壊したいと彼は言う。

クラーケンは電脳空間の作成によって、人民を支配する国だった。

この国では情報統制が敷かれ、人々はアイドルやネットゲームに熱狂し、

仮想世界の中で現実世界を知らぬまま奴隷として生かされ続けていた。


ボーラが依頼した相手は、

暴君と呼ばれる殺戮者であるウォーター・ハウスという男と、

その彼女である炎の使い手グリーン・ドレスだった。


三人は仮想現実の作成によって、人間が権力に蹂躙される都市クラーケンを滅ぼす事を決意する。



※18禁カテゴリーに入れていたのを、15禁に変えました。


残虐エログロ系であって官能小説じゃないです。


作品群の中でも、グロ要素が突出して高い方です。



。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。




ウォーター・ハウス 能力 エリクサー


殺人ウイルスを使う青年。外見年齢、二十代後半。


ナイフのような顔形の美青年。金色の髪を肩まで伸ばしている。


パンキッシュな服装をしている。


通称・『暴君』。


大量殺人犯。




グリーン・ドレス 能力 マグナカルタ


炎使いの女。外見年齢、二十代中盤。


赤にオレンジが混ざった髪をしている。


明るいブラウンのアーム・ウォーマーにレッグ・ウォーマー、

腰布に胸には歯で出来たペンダント、


頭にナイフのような髪飾りを付け、胸には鱗の甲冑といった、


風変わりな蛮族のような風貌をしている美女。



ウォーター・ハウスとは恋人関係。



通称・『緑の悪魔』




ボーラ 能力 アトランティス・コネクション


強面で眼鏡を付けた謎の男。


悪名高き暴君と緑の悪魔に国家破壊の依頼を行う。



。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。



※R18で公開していたものを、R15でも公開してみました。

 私の技術で可能な限りのグロ表現を入れています。


「ねえ、暴君。クラーケンという国を一緒に滅ぼしましょう」


 眼鏡の男は、再度、そう告げた。

 ウォーター・ハウスは、面倒臭そうな顔をした。彼は破壊者だった。此れまで、数多の人間を街ごと潰してきた、大量殺戮者だった。眼の前にいる眼鏡の男の名は、ボーラと言った。彼の口調はとても穏やかだった。

 クラーケン。

 それは、とてつもなく禍々しい論理に基づいて法が構築された国なのだと言う。そして、きっと、ウォーター・ハウスにとって、素晴らしいくらいに気に入らない国家なのだろうと告げる。

 ウォーター・ハウスは、熟考する。



 そして、ウォーター・ハウスと、彼の片腕である緑の悪魔グリーン・ドレス。そして、話を持ち込んだボーラという男による、一つの国を壊滅する物語が始まった。

 ボーラは、クラーケンは悪なのだと言う。

 そして、破壊者にして殺戮者である暴君ウォーター・ハウスは正義なのだと言う。その不可思議なまでの逆転現象に対して、ウォーター・ハウスは首を捻るばかりだった。



「私に芸術論を説いても分からないからな?」


 グリーン・ドレスは、溜め息を吐く。

 ウォーター・ハウスはそれでも良いと告げる。

 美術館に行こうと誘われたので、仕方無く同行する事になった。

 主に、写実画などを中心とした絵が飾られている。

 絵の下には、作者と年表、そしてタイトルが書かれていた。

 しばらく美術館の中を二人は歩く。

 ウォーター・ハウスは一枚一枚を真摯な眼差しで眺めていた。対するグリーン・ドレスは、半ば眠たそうな顔になる。彼女は思わず、欠伸を出す。

 館内の中心部に来た頃だろうか。

 ミケランジェロの『最後の審判』を描いた、天国と地獄の絵が飾られていた。

 四百名以上の人物が描かれている、巨大な絵だった。

 裸体や半裸の者達が、様々なポーズをしている。死者達が蘇り、ある者は神に祝福され、ある者は地獄の悪魔に引きずられていく。

 その絵の前に、ウォーター・ハウスは立ち止まる。

 神々しい光を放っているな、と、彼は言う。


「人間の持っている欲望とは如何なるものなのだろうか、俺にはその先に何が眠っているのかは分からない。人間とは如何なる生命なのか。……。この絵を見ろ。これは天秤なんだ。善と悪は選り分けられるものなのか……」

 彼は誰に聞かせる事なく、語り続ける。


「なあ、美しさ、というものは確かに存在すると俺は考えている。絶対的な美しさというものがな。人間というものが存在してきた証というものは、そういったものではないのか、と俺は考えるな」

 彼の声音は、不思議な響きを持っていた。


「えっ、ちょっと、あなたっ? 待ってよっ!

 ウォーター・ハウスは、涙を流していたからだ。

 グリーン・ドレスは、完全に困惑していた。

 つまり、何が起こっているのかというと、完全に彼女の理解の中では在り得ない事態で、つまり、ウォーター・ハウスは、目の前に架けられたミケランジェロの絵画を見て、何と、“感動の余り涙を流している”という事になるのだ。それも、他人の眼も気にせずに。

「え、えっと、恥ずかしいよ。向こう、行こう? 向こう、行こうよ?」

 グリーン・ドレスは、本当に困った顔になった。

 彼は動悸で震えているみたいだった。幼い子供のように、痙攣している。


「何だよ、ほら、ガキじゃないんだからさ。気弱で貧弱な女じゃないんだからさ。私だって、此処、最近、あんまり泣いた記憶無いしさあ?」


 彼女はハンカチを買ってきて、彼に渡す。

 そして、彼を引きずるように、美術館の外へと出る。

 ウォーター・ハウスは、未だ泣きじゃくっていた。

 グリーン・ドレスは困った顔になる。

これが、“暴君”と、あらゆる者から恐れられる男の一つの顔なのだ。彼は文学や絵画、そして、音楽を心から愛していた。彼女にはよく理解出来ない難しい小説を読んでは、よく何かにしらの感傷に耽っている事も多い。訊ねても、難しい答えが返ってくる。



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