熱帯魚
企画「ひだまり童話館」の「ぷくぷくな話」参加作品です。
僕は藤村 孝。小学校二年生だ。僕には出来ないことがある。それは水泳だ。どうしても水が怖い。
でも、学校の授業でもあるし、水泳教室へ通うことになった。今は冬だから温水プールだ。お風呂は好きだから、温水プールは好きだ。ただ顔を水につけられないだけだ。
まずはプールのへりに捕まってのばた足。これくらいは簡単だ。そしてビート板での練習。少し泳げるようになった気分だ。でも、まだ顔を水につけるのは抵抗がある。でも、僕は挑戦した。「あること」が待っているからだった。
「はーい、顔をつけてみましょうね」
先生が言うけど出来ない。
そして、「あること」がやって来た。それはオーストラリアへ家族旅行することだ。日本は冬だけど、オーストラリアは夏なんだって。今回の目的は、グレートバリアリーフという場所で、水泳をすることだ。そのために僕は水泳教室へ通っていたんだ。
飛行機から見たグレートバリアリーフは青く光って見えた。とても綺麗な海だった。
グレートバリアリーフに行く日がやって来た。僕たちはシュノーケリングって言う顔を覆うようなものを着けて海を見るんだって。だからこその水泳教室だった。
僕たちは、グレートバリアリーフの綺麗なポイントにボートで行った。そして、お父さんが僕を抱えてくれる。僕はゆっくりと水に顔をつけた。するとそこには色とりどりの魚が泳いでいた。僕は夢中で水の中を覗きこんだ。
ぷはっ。もっと見たい!間近で!僕はシュノーケリングのゴツいゴーグルを外した。そして小さなスイミング用のゴーグルを着けた。僕は思いっきり空気を吸い込むと、直接水に顔をつけた。綺麗な魚たちは、僕を歓迎しているようだった。
ぷくぷくぷく
僕の口から空気が水面に上がっていく。
もう水も怖くない!
きっとシュノーケルで見るよりも魚たちを身近に感じることができたと思う。
僕たちはグレートバリアリーフの海を楽しんだ。