Secret 9 days.
翌朝、いつも目覚める時間より少し遅く目が覚めたみちるは、昨日の疲れを身体に少し残したままだった。目は覚めたが身体がすぐに動かず暫く呆然としていた。そして再び眠りに落ちそうになった時、枕元に置いていた携帯のアラームが鳴り響いた。アラームを止めて時間を確認する。そして大きく欠伸をするとのそのそと着替えを済まし、自室を出た。
キッチンへ足を運んだみちるは、冷蔵庫を開け卵とベーコンを取り出した。朝食の用意をするつもりのようだ。
みちるが朝食の用意をしだして暫くすると朋宏が起きてきた。テーブルには既に朝食が三人分は用意されていた。朋宏はそれを見てみちるに声を掛けた。
「これってさ……」
「あ、須王くん、おはよう」
「うん、おはよう。あのさ、これって……」
「ベーコンエッグだけど」
「うん、見ればわかるけど、そうじゃなくて。三人分あるけどさ……」
「残りは今焼いてるよ」
「…………そう。……あのさ、作ってくれた手前悪いんだけど、全員分はいらないと思うよ」
「えっ?!」
朋宏のその言葉にみちるは驚きの声をあげた。そして出来上がったベーコンエッグを皿に移してテーブルに置き、既に置いていた三人分のベーコンエッグを見つめた。
「あの、もしかして皆朝は食べない派、とか……?」
恐る恐る朋宏に問い掛けた。
「いや、皆もれなくガッツリ食べるけど、確か雄亮はもうバイトに行ってる筈だし、憲斗は部活だから、今この時間で家に居るのは俺と君とあと拓哉だと思うけど……」
「そ……うなんだ……」
見るからにがっくりと項垂れたみちるを見て、昨日の時点で今日の事を伝えていなかった事に負い目を感じた朋宏は、みちるに謝ろうとしたが、
「ガッツリ食べるならこれだけじゃ全然足らないよね……」
「え?!」
全く別の事でショックを受けていた事に今度は朋宏が驚きの声をあげた。みちるは朋宏の声を聞ききょとんとした顔をしながら朋宏を見た。何で朋宏が驚いたのかわかっていないようだった。
「あのさ、他に言う事ない?」
「他……? うーん……あ、余った分食べたらいつものようにガッツリ食べた感じになるかな?」
「そうじゃなくて、作る手間省けたのに何で昨日言ってくれなかったんだ、とかさ」
「え? でもそれって私にも非があるし……」
再びきょとんとした顔をしたみちるを見て、朋宏はそれ以上何も言わなかった。
みちるが朝食の用意を全て済ました頃、拓哉が起きてきてテーブルの上にある出来立ての朝食を見て顔をしかめた。
「数多くね?」
「毎日朝ガッツリ食べてるんだからこれぐらい軽いだろ」
「いや、これ明らか作り間違えただろ」
「いいから座って食べろよ」
拓哉の疑問に朋宏は素っ気ない態度で応えていた。そんな二人のやり取りを見ていたみちるはオロオロしていた。