Secret 7 days.
「えっと、勘違いしてるみたいだけど、俺達一応君と同じ高二なんだ」
「えっ!?」
リビングに戻りソファに腰掛けたみちるに飲み物を出しながら朋宏が言った。どうやら朋宏の予想通り、みちるは朋宏達を大学生と勘違いしていたようだった。
「すみません、すみませんっ! あまりに落ち着いた雰囲気の人達ばかりだったのでてっきり年上かと……本当にごめんなさい」
「いや、まぁ、理事長の説明不足っていうのもあるんだけど……」
そう言いながら朋宏は横目で憲斗を見た。みちるに室内を案内している間、憲斗達は自室ではなくリビングで寛いでいた。朋宏からしたら一番落ち着きのない憲斗もみちるから見ると落ち着いているのだろうか、朋宏は怪訝そうな顔をした。そして、同じような顔をした人物がもう一人。
「その落ち着いた雰囲気ってのは憲斗の事も含まれてんのかよ?」
拓哉だった。
みちるの言葉にやはり違和感を覚え、耐え切れず話に割り込んだ。拓哉のいきなりの乱入に驚いたみちるは、言葉を失っていた。
「聞いてんのかよ」
「はい、聞いてます。あの、皆さんの全体的な雰囲気が落ち着いていたので……工藤さんがどうとか、そういうのは特に……」
「"さん"だなんてそんな堅苦しいのじゃなくて、憲ちゃんって呼んでよ」
「憲斗は少し黙っておこうか」
みちるの呼び方に抗議の声を上げた憲斗を牽制するかのように言い放った朋宏。みちるは今も尚頭を下げて謝罪を繰り返していた。
よく年齢を上に見られる事があるので、そこまで謝られても、と朋宏は心中思っていたが、よく考えれば謝罪すべき人物はみちるではなく理事長では? と頭上に疑問符を浮かべながら思っていた。
「あの、皆さん本当にすみませんでした」
再度深く頭を下げたみちるを見て、朋宏は誰が悪かったのかという考えを捨てみちるの側へ行った。
「頭を上げて、もう謝らなくていいから」
「でも……」
「憲斗は別として、実年齢より下に見られるよりはマシだし、それに俺達は気にしてないから」
そう言った朋宏の後ろでは憲斗と雄亮が自分達も同じく気にしていないと頷いていた。それを見たみちるは下がっていた眉が少し上がりホッとした顔をした。
「さて、問題も解決した事だし、小早川さん」
「あ、はい」
「俺達に敬語はなしで、そうだな、出来れば名前も"さん"付け以外で呼んでもらえると嬉しいかな。"さん"だと年上気分になってしまうし、ね?」
「はい……あ、えと……うん。じゃあ、あの……須王くん、工藤くん、櫻くん、穂坂くん、今日からよろしくお願いします」
みちるのその言葉に朋宏達は笑顔で応えた。そんな中、拓哉だけは朋宏に疑心の目を向けていた事に、朋宏は気付いていなかった。