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Secret Life  作者: 呉 あおい
4/13

Secret 4 days.

 五月晴(ごがつば)れ。昨日(さくじつ)同様爽やかな日となった。その日は土曜日で学校も休みなので理事長も家に居た。本来なら土曜日だからと家に居る事はあまりないが、姪を迎えに行くから、との理由で休みを取ったようだ。その日は珍しく朋宏達も部活やバイトがなく、みんな家に居た。

 朋宏はリビングとキッチンを片付けて、昼過ぎに来ると聞いていたので昼食の用意をしていた。雄亮と憲斗は空いていた部屋を綺麗に片していた。その部屋に今日から理事長の姪が暮らすからだ。理事長が後日家具などを用意する、と言っていたので片した、と言ってもただ換気をして掃除機をあてただけだが、雄亮と憲斗は達成感を味わっていた。拓哉は朝はみんなと居たが時間が経つにつれて自室へと引きこもった。


「可愛い子だといいよねー」

「いやぁ、本当楽しみだなぁ」

「君たちはお気楽でいいよな……」


 リビングで寛いでいた雄亮と憲斗を見て朋宏が呟いた。そもそも、朋宏達は"訳あって"理事長の家に住んでいるのだ。そしてその家は学園の誰もが場所を知らない、言わば彼らだけの秘密の場所。そこに見ず知らずの、しかも自分達と同じ年の女の子となれば拓哉に限らず朋宏も嫌な気にはなる。だが、朋宏のそんな気持ちを嘲笑うかのように、話題の姪が家へやって来た。

 車のエンジン音がし、暫くすると玄関で人の話し声が聞こえてきた。待ちきれなかった雄亮と憲斗は我先にと言わんばかりに玄関へ早々と向かった。いらっしゃーい、と我が家に招き入れるような言い方をしながらドアを開けると、そこには小柄な少女が目を丸くして立っていた。

 いきなり玄関が開いた事と、男二人の登場に驚き、少し後ずさった少女は、玄関先の小さな段差で躓き転けそうになった、が、すんでのところで雄亮が腕を伸ばし少女の腕を掴み自分のところへ引き寄せた。少女は何が起きたのかわからず、未だ、目を丸くしていた。


「あ、あの、あの……大丈夫、です、から……」


 雄亮に引き寄せられてから数分、いや、たったの数秒かもしれない。少女には長い時間のようにも思えたが、ふと我に返り、小さく言った。しかし、その言葉は雄亮の耳には届いていなかった。少女は再度、同じ事を言った。


「あの、すみません、大丈夫ですので……」


 助けてもらった手前さすがに離してくれ、までは言えず口ごもると、雄亮がやっと戻ってきて、慌てて離れた。


「ごめんねー、なんか女の子抱き締めた余韻に浸ってた」


 謝るにしても言い方というものがあるが、これもまた雄亮の人柄というべきか、所謂女たらしの言葉だった。それでも冗談っぽくは言ったが、初対面の男にそんな事を言われ少女は顔を紅潮させた。


「えっと……荷物持つよ、貸して」


 そう言うと雄亮は少女が持っていたスーツケースを持ち上げ中に入っていった。その後を遅れないように少女も着いて行こうとした時、玄関の中に居た憲斗が少女の頬にキスをした。


「Enchanté」

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