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6.花祭の友達

 

 あの日、花祭と二人で三組の教室に乗り込んだ結果。彼女には清水京香さんという、この学校で初めての女友達が出来た。


 そして、清水さんのおまけ(・ ・ ・)横川夏喜(よこかわなつき)も着いてきて――。


「ちょっと樋口……だれがおまけ(・ ・ ・)だって? だ・れ・が!?」

「横川!? おまっ、モノローグに普通に突っ込んでくるなよ!?」


 話を戻して。え~~~まぁ、とにかくだ! 俺の作戦が功を奏した結果、花祭には女友達が二人も出来た。


「てめコラ、このデコ女! 私は清水ちゃんとお弁当食いに来たのに、なんでお前までいるんだよ!? 樋口にそのデコ磨かせて、天下第一の宝にするぞコラァ!」


「磨かせるかよ! っていうか誰がデコ女だ、誰が!? そもそも京香と私は保育園からの友達で、いつも一緒なの! あなたこそ何しゃしゃり出てきてるのよ? 帰れ帰れ~! 友達のいない奴はクラスに帰れ~!」


「へ、へへっ……完全に切れちゃったわよ。ちょっと屋上いこうや」

「いい度胸してんじゃない! ハンドボールで鍛えてる私に勝てると思うの?」


 その二人に挟まれ、俺と清水さんはのんびりとお弁当を広げている。


「わぁ、厚焼き玉子さんだ、いいなぁ」

「あ、よかったら一個どう?」


 俺はお弁当箱ごと、清水さんに差し出す。


「え、いいのぉ? なら私のオーム型(風の谷のナウ○カ)ウインナーをあげるよ」

「あ、あぁ、ありがと」


 花祭に友達が出来た時点で、俺は解放されるかと思いきや、それ以降も振り回されることとなった。


 でも不思議と俺は、その状況を楽しんでもいた。


 花祭が横川と言う玩具(・ ・)を見つけたお陰で、俺に降りかかる火の粉は少なくなった。そして花祭も清水さんも……え~~っと、ついでに横川も、見た目は、


「ねぇ樋口ぃ、今あんた、また失礼なことを――」

「おまっ!? だからモノローグに入って来るな!」



 そんなこんなで、以降、遊びにいくのも悪戯をして怒られるのも四人となった。


「いよぉし、お前ら! 思い出作りに、校庭にあるハゲの胸像を動かすぞ!」

「胸像を動かすって……香奈、あんた何言ってんの? 馬鹿なの? 死ぬの? 爆散するの?」


「だ、誰が馬鹿だゴラァ!? おいデコ助、お前ちょっとデコの光度下げろや。暗闇の中で燦然と輝いて、隠密活動にならないだろが!?」


「私のデコは、何ワットだぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」


 いつまで経っても花祭と横川は喧嘩してばかりで、一向に打ち解ける気配がなかった。でも「喧嘩するほど仲がいい」の言葉通り、ただ単に素直になれない二人なだけで……。


 例えば横川のハンドボールの試合があれば、花祭は張り切って応援に駆けつけ、花祭のヴァイオリンのコンクールがあれば、やっぱり何だかんだ言いながらも、横川も着いて来た。


 その時も二人は決まって下らないことで喧嘩するのだが。俺と清水さんはそんな二人を、一歩引いて笑って眺めていた。


 そして清水さんはと言えば、R-15指定が必要な程の、もの凄~いセクハラ攻撃を花祭から受けるかと思えば、


「ぐぇっへっへぇ、清水ちゃんよぉ、いい胸してるねぇ、えっへっへぇ」

「もぉ香奈ちゃんったらぁ。ニコッ(全世界の悪を帳消しにする笑顔)」


「な!? この花祭香奈が、気圧されているだとぉ!?」


 天使の笑顔で、花祭の毒気を抜き、倫理上の問題が発生することを未然に防いでる。むしろ清水さんの方が積極的に花祭を愛し、後ろから彼女を抱き締めている光景をよく見かける。


 すると花祭は頬を染めて、恥ずかしそうにし、


「たまらん、たまらんのぉ」


 かと思えば鼻息を荒げて、胸に顔を埋めたりしている。



 一言で言うと、よく分からん関係だ。



 また花祭は、二人との友人関係を通じて少しだけ変わった。直接的にクラスメイトにセクハラする回数は減り、普通に挨拶を交わしている姿を何度か目撃した。


「花祭さん……お、おはようございます」

「あら鈴木ちゃん、おはよう。どう? 最近どう?」

「え? な、何がですか?」


「業界のおっさんみたいな挨拶はやめい」


 そして驚くことに、天真爛漫な彼女に好意を寄せてくる女性徒が少しづつだが増えてきた。


 奇抜で突飛な言動と、ジャイ○ニズムでおっさんな所を除けば――それが彼女の殆ど全てだが――花祭は顔もいいし、頭もいい。


 街角スナップで撮影されたり、普通に学年一位とか取りやがる。本来なら、同い年の女の子に憧れを持たれるような存在なんだろう。


「エレガントに舞い、クレイジーに酔う。ついに、ついに時代が私に追いついたぁ! あぁ、聞こえるわ、ガイアが私にもっと輝けと囁いているのが! 私はストリートで死ぬために生まれてきたのかもしれない」


「どこのストリートだ、どこの」


 彼女は彼女なりに、本当の人格での振舞い方、或いはコミュニケーションの距離感なんてものを、徐々に掴んできたのかもしれない。



 とにかく……。

 まっ、花祭は花祭なりに学校生活を謳歌して、楽しそうにしていた。




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