清水京香の少し早い暑中見舞い ◆イラストあり
はじめまして皆様、清水京香と申します。
少しだけ早いですが、暑中お見舞いを申し上げます。
「今年の七月は涼しいね」
なんて話してたら、私たちの住む愛知県は二日程前から急に暑くなりました。
全国的に三十度を超す猛暑が続いているようです。皆様の住んでいる地域はどうですか? 熱中症になっていませんか? 無理していませんか?
今年もまた、街の景色を陽光で真っ白に染め上げるような季節が――夏がやってきましたね。私は夏がとっても好きです。
「あ~~しかし、暑いわね」
「全くだ」
でも香奈ちゃんも樋口君も、連日の暑さに参ってるみたいです。
普段元気な二人が同じ机に突っ伏して、真夏日の動物園の動物さんみたいにぐったりとしています。そして力なく、何かを話しています。
話に耳を傾けてみると……。
「ちょっと樋口、あんた……何か寒くなるようなこと言いなさいよ」
「はぁ……何だよそれ?」
「いいから……」
「あ~~、布団がふっ――」
「言っとくけど……テンプレ禁止ね。それ聞くと怒りで暑くなるから」
「…………無茶ぶりするなよ」
「うっさいわね。……いいから、早く。ほらぁ」
「………………外国人が、お椀を見て叫んだ」
「ん……?」
「オ~~、ワンダフル……」
「……ふっ」
「んあ?」
「下らなすぎて……逆に笑えてきたわ。死んで頂戴」
「……ふざけんな。なんで、俺が死ななくちゃならねぇんだよ」
「…………」
「…………」
「しかし、暑いわね」
「全くだ」
そんな感じで、覇気を失くしています。
だけどそんな中でも、いつもと変わらずに元気な人もいます。
「ちょっと! 香奈に樋口、な~にダラダラしてんのよ? せっかく私と京香が遊びに来てやってるっていうのに!」
私と幼馴染の、横川夏希ちゃんです。
二時間目が終了した後の、長い放課。二人の様子を私と眺めていた夏希ちゃんが声を掛けると、机に伏していた二人が揃って顔を上げます。
「デコ助……磨き上げられたデコで太陽光が乱反射して、マジで眩しいわ」
「ちょっ、デコ助じゃないって言ってるでしょ!?」
「うるさいわねぇ。あんたがデコ助じゃなかったら、世の中の誰が――」
目を細めた香奈ちゃんが開口一番に言うと、いつもの遣り取りが始ります。
私は笑顔で、樋口君は呆れたように鼻から息を抜きながらも、満足そうな顔で二人を見ます。やがて机に頬杖をついた樋口君が、疑問の声を。
「というか横川……どうしてお前はそんなに元気なんだよ?」
「え? ふふん! 当然でしょ? そりゃ、アンタ達とは鍛え方が違うからね」
自信満々に応える夏希ちゃんを眺めながら、悪戯そうに微笑む香奈ちゃん。
「あれよ、デコ助はソーラーパワーと地熱で動く別の生き物なのよ」
「あ~~なるほどな」
「どんな存在だよ私は!? っていうか樋口、お前……何納得してんのよ!」
相槌を打つ樋口君に夏希ちゃんが詰め寄ると、樋口君が必死に抗弁を始めます。
「お、落ち着け横川。何というか、その場のノリで――」
「ひぃ~~ぐぅ~~ちぃ~~!?」
「ふふふ」
私はその光景を眺めながら、静かな笑みをこぼしました。
そんなこんなで、猛暑が続いていますが私たちは何とか元気にやっています。それから四人で夏休みのことを話し、遊びに行くことが決まりました。
「やっぱり夏と言えば、白のワンピースに麦わら帽子よね! 向日葵なんか帽子に挿したりして!」
「香奈はともかく……そういう格好は京香がよく似合いそうね」
「あぁ、間違いないな。花祭は置いておくとして」
机から乗り出して、顔を輝かせて楽しそうに言う香奈ちゃんを前に、含みを込めた笑いを交わし合う夏希ちゃんと樋口君。
「おいコラ! デコ助に樋口、お前ら……」
「あはは、そんなことないよ。きっと香奈ちゃんも似合うよ」
さて、少し長くなってしまいましたが、私から皆様に暑中お見舞いを申し上げました。暑さは続きますが、お互い気を付けて夏を乗り切りましょう。
「さぁ! そうと決まれば夏休みの計画を立てるわよ!?」
「おまっ、急に元気になりやがって」
「ったく、香奈はしょうがないわね」
「あはは~~」
清水京香の少し早い暑中見舞い ――終――




