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後編


 それから数年が立った。少年はある問題に直面していた。


 「人が来ない!!」


 そう、いつも間にか人がダンジョンに来なくなっていたのだ。不帰の迷宮として活躍しすぎたダンジョンはいつの間にか人に避けられ。この周辺には人っ子一人いない。ダンジョンに人が来ないということは大切な養分が得られないということ…死活問題だった。


 「むむむ、どうするか…このままでは徐々にダンジョンが衰退してしまう。人を捕まえて噂でも広めるか?このダンジョンは狙い目だよって。それともわざわざ人をさらってくるか…。だめだ。どっちもモンスターの分散に繋がる、戦力が減ればこちらが危険になる。それに僕のモンスターは単騎戦に向いてない。…人間めそれが狙いだな!!…しかしどうしたものか…」


 そして少年は何かに気付いたように唐突に立ち上がった。


 「そうだ、発想の逆転だ。来ないっていうならあの手を使おう。ふふふ、これが完成すれば僕のダンジョンは本当の意味で最強になれる」


 彼の高笑いは止まることはなかった。彼のこの選択は世界を揺るがすこととなる…


☆☆☆


 ダンジョンのある洞窟からしばらく離れたところにある村。そこで農夫たちが農作業を行っていた。


 「よ~どうだ。今年の野菜の調子は」

 「ぼちぼちだな~。昨年よりかはいいようだが」


 世間話を軽くしながら作業を行っている彼らの元は一人の青年が駆け込んできた。


 「み、みんなていへんだ!!岩が!!岩のバケモンがこっちに向かってきてやがる!!」

 「「岩??」」


 作業をしていた農夫たちは揃って顔を見合わせた。だが彼らはその言葉の意味をすぐに理解する。青年が走ってきた方向…そこには巨大な岩の大きな化け物。大きな…そう洞窟のように大きな口を広げ四足歩行でものすごい勢いでこちらに向かってきていた。


 「な、なんじゃありゃ!?」

 「あんなのに踏みつぶされたら死んでしまう。みんな逃げるぞ」


 農夫たちは逃げるように走り出すだがすぐに化け物に追い付かれてしまった。


 「な、あんなにデカいのになんて速さだ!!」


 一般的に大きいものこそ動きが遅いと判断される。だがそれは間違いだ。大きいからといって動きが遅いとは限らないし、むしろ大きいからこそ動作が大きく速い。…アリと人間がかけっこした時、どちらが速いか…ようはそういうことだ。


 「ぎゃ、た、たすけてくれ~」

 「うぎゃ~!!」


 一人一人、村の住人が化け物のその大きな口へと放り込まれていく。それはあたかも食事のような風景だった。村の要請を受けた騎士団が駆けつけた時、すでに村人は全員食されたあとだった。


 「なんだあれは…」


 騎士団長は驚き唖然とする。


 「見たことも無いモンスターです。新種ですかね」


 団員が団長の言葉に続く。


 「く、どちらにせよあれをこのままにしておけない攻撃するぞ!!」


 団長の号令に従いそれぞれが魔法や弓による攻撃を開始する。その攻撃により、化け物の岩の体は一部欠けるもののすぐに修復された。


 「自己回復機能だと!!回復術を使えるモンスターが誕生したというのか!!」


 回復術は人間のみが使える魔術である。これがあるからこそ人間はダンジョンやモンスターに対抗することができた。だがそれが敵も使えるようになる。これほど恐ろしいことはなかった。


 「団長!!やつが口をこちらに向けています!!」


 その言葉にハッとなった団長が化け物の口を見たとき、蠢く何かを見たかと思ったら化け物の口から放たれた火炎に騎士団は全員焼かれてしまった…。


☆☆☆


 「いけ~ダンジョン号!ははは!すごいや~!!」


 化け物の中、操縦室と言われる場所で少年はキャッキャキャッキャと騒いでいた。そう化け物の正体は彼がマスターをしている洞窟型のダンジョンだったのだ。


 「いや~単純な発想だよね。相手が来ないならこちらから出向けばいいんだよ!動かすのにはちょっと手間取ったけどこのスピード!このパワーまさに最強だね!!」


 ダンジョン号はその口がダンジョンの入り口になっており、自ら動き人を手のような働きをするダンジョンの外壁を利用して口に放り込みダンジョンに養分を吸収する。口に放り込まれる形でダンジョンに叩きつけられた人は生存確率が低く大体がすぐに養分になる無駄のないクリーンな設計になっているのだ。


 「それにダンジョンの外壁は不思議な素材で傷ついても養分があればすぐに再生する無敵の防壁だ!」


 そう、回復術のようなものはただの修復機能。回復術でもなんでもなかったのだ。


 「新たに配置した人員も頑張ってくれてるみたいだしね」


 モニターには必死で入り口にしがみついているモンスターたちが映っている。彼らは少年の巨大怪獣といったらやっぱりブレス!炎吐かなきゃだめでしょ!!と言う理由で配置換えされた元ボス部屋人員たちだ。


 「ふふふ、これで僕のダンジョンが最強なのは確定したことだし、今度は他のダンジョンを吸収して合体ロボでもやろっかな」


 そう言いながら、彼と彼のダンジョンは進んでいく。

 100年後、この星に存在するのはただ一つの洞窟型のダンジョンだけだったとさ、おしまい。


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