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2回ほど、拓巳と兄ちゃんのなんだか小難しい話が続きます。適当に読み飛ばしてください。
あと、詳しい方。「これ違う」と突っ込まないでください(もしくは、こっそり教えてください)。よーろーしーくーm(_ _)m
「いえ、彼女が関わっている、今回の計画のことについて」
「君には関係ないことだ」
「そうなんですけど……でも、ここで彼女と一緒にいるには、彼女の関わる計画についてちゃんと知らなければいけないと思いまして」
「ならば、ティナに聞いたらどうだ?」
「聞きました。でも、まだそれで全部じゃない……そんな気がするんです。彼女は彼女で、何か思うところがあるらしくて」
「だったら、ティナは話したくないことなんだろう。それでも聞きたいのか?」
「はい」
即答する拓巳に、わずかにジーンがひるんだ。
「なぜだい? ティナは、君が知らなくてもいいと判断したから、話さないんだろう」
「それでは、彼女の力になれないからです」
切り捨てるようなジーンの言葉にも臆することなく、拓巳はまっすぐに青年を見上げている。
「知っても、力になれないこともあるんじゃないか?」
「それを判断するために、知りたいんです」
しばらくの沈黙の後、ジーンはため息をついて拓巳に背を向けた。
「……今回の計画のことは、どこまで聞いている?」
拓巳が諦めないと悟ったジーンは、長い話をするためにどさりとソファに座る。
どうせ忘れるんだ、話してもいいだろう。どこまで理解できるかは怪しいが。
「ほとんど何も。この星を救うために例の石が必要だってこと位しか」
「そうか。ちょっと難しい話になるけれど?」
「かまいません」
真剣な顔の拓巳に同じく座るように促しながら、ジーンは背もたれに寄りかかって天井を見上げた。
「数年前のことだ。そうだな、地球で言うところの人工衛星みたいなものがあるとしよう。我々は、それでこの星とそのまわりを観測している。ある時、それが……ひとつのダークマターの接近を感知した」
拓巳はまじめな顔で聞き入っている。その姿にちらりと視線を流して。
「ダークマターってわかるかい?」
「地球では、宇宙のところどころに認められる暗黒物質のことを指しますね。構成物質についてはまだ不明なものも多く、謎の物体です」
よどみもせずに即答した拓巳の言葉を聞いて、ジーンは微かに眉をあげた。
「地球ではまだその研究は進んでないようで、かなり多くのものをひっくるめてダークマターと呼んでいるな。だが、我々の科学では、その中で様々な物質の特定ができている。だから、我々と君たちの言うところのダークマターは、同じようなものを指してはいるが、その認識には大きな差がある。我々が不明物質という意味で呼んでいるダークマターは、地球に比べれば圧倒的に少量だ。話を元に戻すが、その時に発見されたダークマターは、そんな我々にしても初めて発見した特殊なものだった」
話しているうちにジーンは、無意識にソファから身を乗り出していた。
「そのダークマターは、宇宙をゆっくり進んでいた。観測を続けていると、6年後にはこの星にたどり着くことが判明したんだ。我々は、その構成物質の特定を急いだ」
その時の様子を思い出して、ジーンは目を閉じる。
「あまりいいものでないことはわかっていた。ダークマターが進む軌道上にある宇宙のちりやなにかといったものが、そいつに衝突するたびに大なり小なりのエネルギーを発生させて消滅していくんだ。そしてその正体が判明した時には、研究所に衝撃が走ったよ」
「ブラックホール、ですか?」
可能性としてはありそうな意見を、拓巳は口にする。