表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/54

25 大宴会

 二十畳ほどの和室に、料理が並べられていた。

 さすがは老舗、と唸りたくなるラインナップ。

 イチオシは山菜の天ぷらと、しゃぶしゃぶだ。

「さって、音頭は誰が?」

 太一の言葉。

 ん、視線の集中、俺が多くないか?

 ならば先手をば。

「企画の発起人、井上さん、お願いします」

「え? 私? ……もう、仕方ないなぁ」

 本人、満更でもないじゃん。

「グラス持った? じゃ……まずは、こんな素晴らしい宿を取ってくれた愛に、感謝の言葉を!」

「ありがとうございます!」

 全員の唱和。

 タイミングは完璧ですよ?

「それじゃ、今日も盛り上がっていこう! 乾杯!」

「乾杯!」

 何度でも言おう。この一杯がカクベツなんだぜ。



「ほんと、美味しいね」

 口々に味の評価が出るが、コメントがほぼ一色だ。

 当分、こんな老舗旅館の味を知る機会なんて無いと思うし。

 用意されてる飲み物は、ビールと焼酎に、ウーロン茶などソフトドリンク、さらにはノンアルコールカクテルまでと、至れり尽くせりですよ。

 さらにとどめは銘酒・柊。

 口当たり、軽くて飲みやすいけれど、芳醇な香りが漂う。

 いや、マジで旨いわ。これ。

「ウッチー! 味見だけでもー!」

「あーあー。分かったから、ほら?」

 グラスに注いで渡す。

 結局、回し飲み状態ですけどね。

 あ、ちなみに司は日本酒ダメなのよ。

 本当に残念……。



 満腹になるころには、座も乱れてくる。

 普段あまり飲まない人まで飲むから、収拾つくかがちょっと不安なんだけどな。

「はーい。ここでウッチーの暴露ターイム!」

 井上の声だ。

「今日こそ、先輩との話、聞かせてもらおうじゃない?」

 ちょ、待て!

「意味ワカンナイんですけどー」

「まぁまぁ。減るもんじゃないしー」

 いや、減りますよ?

 主に、体力と精神力が。

 だって、二箇所から微妙な視線、感じるんだもん。

「沙紀。あなただって、探られたくない腹、あるんでしょ?」

「う……。愛、言わないでぇ」

 愛に泣きつく沙紀。

 うーん……テンションおかしいですね。

 ピッチが早すぎるんじゃないでしょうか。

「はいはい。もう言わないから、泣かないの」

 もう愛さんの掌の上、だな。

 その横で、恵美がグラスを入れ替えてる。

 やっぱ、飲みすぎてんな? 井上の奴。

 もう人に何か仕掛ける余裕なんて、無いだろ。あれじゃ。



「内田先輩、どうぞ?」

 隣に移動してきた寺岡詩織が、和人のグラスを満たす。

「ありがと。この前もこんな感じだったなぁ」

「そういえば、そうでしたねー」

「もしかして、飲んでる?」

「あは。ちょっとだけ、ですけど」

 目くじら立てるほどの事でもないんだけどね。

「ほどほどにしときなよ?」

「分かってますよ。井上先輩みたくならないようにします」

 詩織はそう言うと舌を出した。

「でも内田先輩が、七海の幼馴染みだとは思いませんでしたー」

「うん? そうだね。俺もびっくりしたし」

 忘れられないよ? あの瞬間は。

「ちょっと思い出話してましたよ。こんなだったーって」

 え?

「へ、へぇ? どんな言われようされてたんだか?」

 動揺を誤魔化すように、グラスを口に運ぶ。

「優しいお兄ちゃん、て感じだったかな」

「あはは。そうかな?」

 出来れば、具体的な中身が聞きたかったけれども。

「先輩が気遣う人ってことは、分かりますけどね?」

 ありがたいお言葉です。はい。

 でも、それより話の中身が……。

「ウッチー、もう一杯だけ! お願い!」

 そんなタイミングで、太一が土下座せんとばかりに頼み込んでくる。

 まったく……仕方ないな。

「いいよ。瓶ごともってけ」

 個人的には、十分堪能したしな。

 残して置いても仕方ないし、ね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキング参加中です。クリックを→  小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ