16 回想 影響
文化祭も終わり、二学期中間試験も無事に乗り切り、一息ついた頃、生徒会役員選挙が行われた。
聞くところによると、白石先輩は最後までウッチーにラブコールを送っていたらしい。
彼は頑なに拒否したみたいだけど。
恵美の中学の先輩が、彼女は文化祭で変わった、と言っていた。
もともと芯の強い性格だったけれど、どこか頼りなく、自信が無さそうだったのが、はっきりと自分を主張するようになった、という。
実行委員での経験が、大きかったのかな。
結果的に、白石先輩は副会長のポストに就き、統括管理を担当するようになった。
統率力が物を言う会長職より、一歩後ろからそれを支える副会長職は適任だと思う。
新生徒会執行部を見て、阿部先輩はこう言った。
「僕らの代よりしっかりしてる。来年の文化祭は、今年以上になるんじゃないかな?」
そしてその予想は一年後、見事に的中する事となる。
新生徒会執行部は、冬を期に、大きく動き出した。
今までの組織体系を一新し、伝統に囚われない体制を作り上げると、今まで以上に精力的に動き出した。
各種イベントの進行を含め、どちらかというと保守的だった校風を、徐々に塗り替えていく。
その先頭に立つ生徒会長は名将と謳われ、支える白石副会長は名軍師と称えられていた。
誰だろうね? そんな風に言い出したの。
その白石先輩の影には、和人の姿があったことを、恵美は知っている。
「瑞穂先輩と、付き合うことにしたんだ」
和人から話を聞いたのは、進級し新学期が始まった直後だった。
素直に祝福の言葉を述べた恵美に、和人は照れた笑顔を見せた。
それにより白石先輩は、内田和人という知恵袋を手に入れたことになる。
いや、多分そんな打算的な話は無かった、と思うけどね?
でも、時々ウッチーから相談を受けてる、という話は聞いていたし。
頼りにされてるんだろうね。
そしてさらにその影響は、恵美自身へも波及してくることになる。
「実行委員、ですか?」
あれ、これ、デジャヴ?
ただ、去年と違うのは、生徒会役員が直々にお願いに来た事だ。
さすがにこれは断れない。
ちなみに、ウッチーも押し切られたみたいで。
ま、彼女さんの頼みじゃ、断れないでしょうね。
「ウッチーが私のこと推したんじゃないでしょうね?」
「まさか? さすがにそこまでは言ってないさ。ただ、去年の実績があるからな。瑞穂先輩も期待してるんだろう」
う。それはそれでプレッシャーだよぅ。
「それに、今年は大きく変わるぞ?」
「え? どういう事?」
「集まれば、分かるさ」
意味深な友人の言葉の意味は、すぐに分かった。
「――以上です。皆の力を合わせて、絶対成功させるぞ!」
生徒会長の檄に、皆が昂揚した声を上げる。
こんな盛り上がり、去年は無かったじゃない。
「な? 違うだろ?」
生徒会が変わったとは聞いてたけれど。
担当の割り振りも、去年までと全く違っていた。
より効率良く、流動性も持たせている。
ウッチーが言うには、春頃から何度も打ち合わせて練り上げた、という。
結局、非公式ながら手伝ってんじゃない。
恵美に課せられた役割は、白石副会長の下で、各種資料をまとめたり、指示を伝達したりという、言わば秘書役だった。
和人は、生徒会の下で、各セクションとの連絡・統括を受け持っている。
これは、去年よりハードだね。
より、自主性が増した結果なんだろうけど。
それでもやっぱり、認めてもらえるのは嬉しいし。
期待には応えたい、からね。
周りのメンバーの目も、力が漲っているように見える。
皆がいる。またその中にいられる。
さぁ、走ってみようか!




