第16遭遇
『王寺 カイ。あんたらが言う”王子様”も、この世界とは違う世界から来たんや』
アルちゃんの言葉に、驚きの声も出ませんでした。
『ウソ』
だと言ってしまえば早いんだと思います。
けれどさっき私はアルちゃんに『信じる』と言いました。
だから、その言葉は言えません。
けれど否定しなければアルちゃんの言った言葉の通り、王子様は
「異世界から来たとか、そんな」
ファンタジーのようなことがあるんでしょうか?
ポツリと零れた言葉をアルちゃんは聞いたはずなのに何も言いません。
ただただ、そのつぶらな瞳で見つめてきます。
・・・・・・ファンタジーのような?
自身の独白に、ふっと力が抜けて顔が綻びました。
「???」
ふいに笑った私に目をパチクリさせるアルちゃん。
その顔を見たら、余計に笑いがこみ上げてきました。
だって、ファンタジーのようなって。
アルちゃんがすでにファンタジーなのに、何を疑うっていうんでしょうか?
クスクスと私が笑いだせば
「あやね? どないしたんや?」
不安げに、心配した顔。
こんなに可愛らしいアルちゃんですよ?
それに、そんな内容で私を騙してもアルちゃんに一体どんな得があるんでしょうか?
王子様がどんな人だとか、そんなのは知りません。
けれど、はい。
「私は、アルちゃんを信じます」
ニコリと微笑みながらそう言えば。
「!?」
驚いた顔をした後にとても可愛らしい顔でアルちゃんは笑ってくれました。
ここまで読んでくださって、感謝多謝vv
しかし、王子様が全然出てこないんですが、いいんでしょうか?(笑)