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ラップ付き小説 ReversCrown 元気ないやつこっちおいで  作者: egubi
単独ライブ編

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49/60

2-7-4 GREEN LIGHT

mcRC「この小説の歌は実際に聴けるから、聴きながら読んでみてくれよな」

聴く場合はこちら:

コピペしてブラウザに貼り付けて、、、。とぶぞ。


THAT’S LIVE

https://youtu.be/ujqsLz2TWQA?si=MmEQcLI5hnIdcJpq


green light

https://youtu.be/YR4ECQMRI9E?si=gXQ5EDmQWGXRzpYt


ESCORT

https://youtu.be/U-FlEKJfJ9U?si=m_t-jL5suG1I4umI


Reverse Crown/リバクラ

https://youtu.be/FI0rcVj1WUA?si=YTlhx_1Sq_TaV9Qe


DESTINATION

https://youtu.be/JTYqNX2aSEM?si=XiPvuQManbc7qZ__


UNSEEN HANDS

https://youtu.be/-7JI-GA7Jkg?si=1bDm7SNAOzQLAYts


THAT SEAT

https://youtu.be/RroRseSoJ_8?si=hIIpjx5z-IxxfnTJ


BBQ

https://youtu.be/EtMf8rkKn_0?si=fOf9lmgp2QZR2MKR


HOMEBASE

https://youtu.be/ARSsZ0r8CRc?si=2e8PbVXltjdbNr2Q


feel

https://youtu.be/PAmI_q-HbFU?si=FZuLbe2ZiBzmms51


keep moving

https://youtu.be/QWW73v7L1D0?si=7YEjlRgRRuQhve80


CALL ME OUT

https://youtu.be/Y161l0pX_wA?si=GZjh8_JyrDkMdkLv


READY

https://youtu.be/P2sNZMSjjdU?si=GsE110DD92sYEhr4


SHOWTIME!

https://youtu.be/RrqmZjsded4?si=kZt8W-O5sWGhMJaN


ATTACK

https://youtu.be/tRSOHKXvij8?si=xqiYugwdtS0mTWMu


SAY IT TO ME

https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM


ORIGIN

https://youtu.be/v7r3_l4mYQM?si=l1vPLtDcNWjW9O6H


nofake

https://youtu.be/oV7c-3TJMgM?si=WDW85lU6iqQsmqZy


決めろ!はコチラ

https://youtu.be/P_2d3hcx3Uw?si=hvvTW3RMB2adTtwN


RUN IT

https://youtu.be/ptZZJdr_2hc?si=1Fw9cRYCdJAd1so4


ORDER

https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM



ステージの色が、ゆっくり変わっていった。


さっきまでESCORTの余韻で、会場にはまだ柔らかい熱が残っていた。

横に来い。

肩書き置いてgo on。

Respectはある。でもdistanceはいらない。


その言葉で、客席の距離は少し縮まっていた。


知らない者同士が、まだ友達になったわけではない。

けれど、隣に人がいることを少しだけ怖がらなくなっている。

手を上げる人が増えた。

声を出す人が増えた。

声までは出せなくても、肩でリズムを取る人が増えた。


会場が、同じ方向を向き始めていた。


そこへ、緑の光が落ちた。


最初は薄く。


ステージ奥の床から、足元を照らすように。


次に、三本のマイクの周りへ。

それから、客席側へ少しずつ広がっていく。


信号の青ではない。


もっと深い緑。


朝の街路樹の影のような色。

濡れた芝生に光が差す時のような色。

まだ暑い夏の会場なのに、一瞬だけ、朝の空気が入ってきたように見えた。


mcRCが、客席を見た。


「横に来たなら」


そこで少し間を置く。


「次は、一歩目いこうか」


客席が沸いた。


「行く!」


「行こう!」


「走る!」


「待って、靴ひも!」


その声を聞いて、wataが小さく笑った。


「靴ひもは結んどけ」


EGUIが、少し低い声で続ける。


「転ぶからな」


笑いが起きる。


ただの注意なのに、妙に説得力があった。


mcRCはマイクを握り直した。


「止まってた足が動く瞬間って、あるやん」


客席が静まる。


「誰かに言われたからじゃなくて」


「急に全部うまくいったからでもなくて」


「昨日の失敗とか、言われた言葉とか、捨てきれない悩みとか」


「そういうのを抱えたまま」


彼は、足元を一度見た。


「それでも、今日は行けるかもしれんって思う瞬間」


後方の客が、少し前のめりになる。


「今日は、その曲です」


wataがマイクを上げる。


「ただ走れって曲じゃないです」


この一言で、空気が少し引き締まった。


「赤もある。黄色もある。止まる意味もある」


EGUIが続ける。


「でも、見えたなら行け」


mcRCが頷く。


「GREEN LIGHT」


ビートが鳴った。


最初の音は、足音だった。


本物の靴音ではない。

けれど、そう聞こえるように作られている。


カツ、カツ、カツ。


朝の改札。

駅の床。

革靴。

スニーカー。

通勤鞄。

リュック。

急ぎ足。

迷い足。

それぞれの一日が、まだ始まりきっていない時間。


そこへ、軽いクラップが入る。


キックは重すぎない。

走らせるための低音ではなく、歩き始めるための低音。


身体を前へ押すのではなく、背中を軽く押す音だった。


三人の声が重なる。


「Tie your shoes, feel the groove

止まってた足が動き出す」


客席のあちこちで、足元を見る人がいた。


本当に靴ひもを確認する人。

スニーカーを少し揺らす人。

膝の上の手を握り直す人。


「Step by step, we move

Green light, now we move」


そのフレーズは、難しくない。


でも、簡単すぎるわけでもない。


Step by step。


一気に変われとは言わない。

でも、止まったままでいいとも言わない。


一歩ずつ。


その距離感が、今の会場に合っていた。


Hook。


「Green light, now we move

軽いステップで道になる」


客席がすぐに乗った。


ESCORTでほどけた身体が、GREEN LIGHTで動き始める。


さっきまで横に来る曲だった。

今度は、横に並んだまま進む曲だった。


「Green light, feel the groove

迷いごと連れて走り出す」


迷いごと連れて。


そこに、何人かが反応した。


迷いを捨てろ、ではない。

悩むな、でもない。

置いていけ、でもない。


連れて走る。


それがいい。


迷いがあるままでも、動いていい。

不安が消えきっていなくても、足を出していい。


「Walk it, run it, don’t look back

でも誰かを置いてくな」


ここで、会場の空気がはっきり変わった。


ただの前向きソングなら、「don’t look back」で終わる。


振り返るな。

走れ。

行け。

勝て。

上がれ。


それだけなら分かりやすい。


でも、リバクラはそこで止めない。


でも誰かを置いてくな。


それが、この曲の芯だった。


自分だけ速くなるな。

ひとりだけ気持ちよく走るな。

置いていかれた人の顔を見ないまま、「前向き」と呼ぶな。


その一行があるから、GREEN LIGHTは軽いだけの曲にならなかった。


前列の女性が、胸の前でタオルを握る。


「それ言うんだ……」


隣の子が頷いた。


「リバクラって、上がる曲でもそこ入れるよね」


「だから信用できる」


「上がれって言われても、置いていかれる感じしない」


「分かる」


ステージでは、mcRCが一歩前に出た。


Verse 1。


照明が朝の駅の色に変わる。


白い光。

少し青い影。

床に斜めに伸びる光線。

ステージの奥に、改札のゲートのような細いライトが並ぶ。


「朝の改札 靴音カツカツ

眠たい街でも 胸だけは熱く」


mcRCの声は、景色を置く。


一瞬で会場が朝になる。


夏の夜のライブハウスなのに、客席の中にそれぞれの朝が立ち上がる。


仕事前の駅。

眠い顔。

昨日のミスを引きずったまま乗る電車。

学生時代の通学路。

何かを変えたいと思った朝。

でも結局いつも通りに歩いた朝。


「スーツの肩に昨日のミス

だけど今日は少し歩幅が違う」


この二行で、社会人勢が一気に反応した。


声には出さない。


でも、顔が変わる。


昨日のミス。


それは、ありふれている。

ありふれているからこそ重い。


報告が遅れた。

言い方を間違えた。

相手の反応を見誤った。

自分の確認不足だった。

怒られた言葉が、肩に乗ったまま帰った。


でも翌朝、少しだけ歩幅が違うことがある。


全部解決したわけではない。

傷が消えたわけでもない。

でも、昨日より一つだけ分かった。


その感じを、mcRCは言葉にしている。


五人組の席でも、Kateが小さく頷いた。


Saraが横目で見る。


「今の、分かる?」


Kateは前を見たまま答える。


「分かる」


「仕事の歌としても聞けるね」


「うん。でもそれだけじゃない」


Miwaが、静かに言う。


「昨日のミスって、仕事だけじゃないもんね」


Ninaが頷いた。


「恋愛でも、家族でも、人間関係でもある」


Yuiが、ステージを見たまま言った。


「でも今日の歩幅が違う、か」


その言い方に、少し救われたような色があった。


mcRCは続ける。


「学生の頃は 前だけ見てた

前向きなら全部楽しいって言えた」


客席の若い層が少し笑う。


分かる。


前向き。

ポジティブ。

頑張ればいける。

夢は叶う。


それは、嘘ではない。


でも、社会に出るとそれだけでは足りない。


mcRCは、そのまま言う。


「でも社会はそんな簡単じゃない

笑うためにも 糧がいる世界」


ここで、客席の温度が少し落ち着いた。


糧がいる。


その言葉が現実を入れる。


楽しいだけでは続かない。

気合いだけでは笑えない。

誰かの役に立つこと。

失敗から学ぶこと。

ちゃんと寝ること。

飯を食うこと。

お金を払うこと。

生活を回すこと。


笑うためにも、糧がいる。


それを言うから、mcRCの前向きさは薄っぺらくならない。


「叱られた言葉 ポケットの奥

あとから光って 足元照らす」


この一節で、会場に小さな沈黙が落ちた。


叱られた言葉。


その場では痛い。

腹が立つ。

恥ずかしい。

逃げたくなる。

相手の言い方が悪かったこともある。

理不尽だったこともある。


でも、全部ではない。


あとから光る言葉がある。


当時は受け取れなかった。

でも時間が経って、自分の足元を照らすことがある。


mcRCは、それを美化しすぎない。


叱られたからありがたい、ではない。

傷つけられてよかった、でもない。


ただ、ポケットの奥で、あとから光るものがある。


その表現が、客席の中で静かに広がった。


「メモの端っこ 滲んだインク

今じゃそれさえリズムにリンク」


wataが後ろで、小さく身体を揺らした。


このラインは、mcRCらしい。


メモ。

滲んだインク。

見落とされがちなもの。

それを今のリズムへつなげる。


Scene Maker。


景色を置くだけではない。


過去の断片を、今の足音に変える。


「プライド脱いだら 風が入った

重たい荷物を置いたら跳ねた」


照明に、風のような動きが入る。


ステージの横から薄い光が流れる。

煙ではない。

光が動いているだけなのに、客席には風が見えた。


プライドを捨てたのではない。

脱いだ。


その言い方がいい。


プライドそのものが悪いわけではない。

守ってくれた時期もある。

立たせてくれた時期もある。

自分を支えていたこともある。


でも、ずっと着たままだと重い。


脱いだら、風が入る。


「投げ捨てたんじゃない

走るために置いてきたんだ」


このラインで、拍手が起きた。


客席の誰かが叫ぶ。


「それ!」


別の誰かが続く。


「置いてきた!」


wataが後ろでマイクを持ち直しながら、笑った。


EGUIも、ほんの少しだけ頷いた。


プライドを否定しない。

でも、走るためには置く。


その判断は、大人の前向きさだった。


ただ熱いだけではない。

何かを諦めるのでもない。

必要なものと、今は置くものを分ける。


だから、響く。


「教えてくれてありがとう

学ばせてくれてありがとう」


ここで、会場の何人かが息を詰めた。


ありがとう。


この言葉は、下手に言うと軽い。


きれいごとになりやすい。

何でも感謝で済ませると、人の痛みを雑に丸めてしまう。


でも、mcRCの声にはそれがなかった。


それは、誰かに媚びるありがとうではない。

過去を無理に美談にするありがとうでもない。


自分が一歩進むために、受け取れるものを受け取り直した人の声だった。


「誰かの役に立てた帰り道

街灯まで少し笑って見えた」


この一節で、GREEN LIGHTの明るさが決まった。


自分が褒められたからではない。

勝ったからでもない。

評価されたからでもない。


誰かの役に立てた帰り道。


その後で見る街灯が、少し笑って見える。


mcRCが大事にしているものが見える。


自分だけの達成では終わらない。

誰かにとって意味があった時、景色が変わる。


「自分が上がる

誰かも上がる

その輪が回って明日へつながる」


このフレーズで、会場が大きく反応した。


ハッピーが一方向ではない。


自分だけが高くなるのではない。

誰かを踏み台にするのでもない。

自分が上がり、誰かも上がり、その輪が回る。


そこに、リバクラの精神性がある。


客席の中で、ひとりの男性が小さく言った。


「これ、仕事の理想やな」


隣の女性が返す。


「仕事だけじゃないよ」


「そうか」


「自分が楽しいだけじゃなくて、周りも少し楽になるってことじゃない?」


「なるほど」


「それが回るなら、たぶん続く」


男は頷いた。


「続く、か」


その言葉は、ライブの音の中で消えた。


でも、胸には残った。


「そこで初めて足が出る

Green light より先に身体が揺れる」


mcRCが最後のラインを言った瞬間、身体を少し前へ出した。


客席も、釣られるように揺れる。


青信号が出たから動くのではない。


身体がもう、動く準備をしている。


その状態を、Green lightと呼ぶ。


Pre-Hook。


「靴ひも結んで 顔を上げる

止まった時間が助走に変わる」


ここで、さっき本当に靴ひもを触った客が、隣に笑われていた。


「お前の曲やん」


「うるさい」


「助走に変わった?」


「変わる途中」


「いいな」


「うるさいって」


「ひとりの勝ちじゃ まだ足りない

笑顔が三角に回る tonight」


このラインで、三人がそれぞれ別方向を向いた。


mcRCは中央。

wataは左。

EGUIは右。


そして客席。


三角。


三人だけの三角ではない。


自分。

相手。

場。


あるいは、歌う人。

聴く人。

その間に生まれる何か。


笑顔が三角に回る。


その比喩は少し不思議なのに、会場には自然に入った。


Hookへ戻る。


今度は、客席の声が明らかに大きい。


「Green light, now we move」


前列だけではない。

中央。

後方。

二階席の端。


声が重なる。


「軽いステップで道になる」


足元が動く。


椅子席でも、膝が揺れる。

立ち見の人は、少しだけステップを踏む。

タオルが軽く左右に揺れる。


「Walk it, run it, don’t look back

でも誰かを置いてくな」


この二行は、さっきより強く返った。


客席が、この曲の約束を受け取り始めていた。


走る。

でも置いていかない。


その両方をやる。


Verse 2。


wataが前へ出た。


照明が少し鋭くなる。


赤。

黄色。

緑。


ステージの床に、信号のように三色が薄く流れる。


wataは、その光を一度見てから、少し笑った。


「『まあいっか』って また流した

赤も黄色も雑に越した」


入りから、彼のVerseは少し痛い。


でも、語り口は軽い。


軽いからこそ、逃げられない。


「近道ばっか 探した結果

信頼だけを置き去りにした」


ここで、客席の空気が少し引き締まった。


信頼。


この曲の中で、急に現実的な重さを持つ言葉だった。


遅刻。

連絡不足。

謝らないこと。

確認しないこと。

聞き流すこと。

その場だけ取り繕うこと。


一つ一つは小さくても、積もる。


近道ばかり選ぶと、最初に置いていかれるのは信頼だ。


wataは、それを自分のVerseで引き受ける。


彼は、ただ韻を気持ちよく踏むだけではない。

軽さの中に、自分の弱さを混ぜる。


「軽いノリなら その場は楽

だけどツケなら 靴底に残る」


このラインで、客席から小さな笑いが起きる。


ツケが靴底に残る。


踏んできたものが、知らないうちについている。


その比喩がwataらしい。


「逃げ足だけが速くなって

肝心な時に足がもつれる」


笑いが少し苦くなる。


逃げるのがうまくなるほど、進むのが下手になる。


その言葉は、直接そう言っていないのに、そう聞こえた。


wataは、ここから英語の連打へ入る。


「Brake, pace, chase, face it

見ないフリなら全部 fade」


音が一気に気持ちよくなる。


Brake。

Pace。

Chase。

Face it。


止まる。

整える。

追う。

向き合う。


韻の流れだけでなく、意味の流れがある。


「Step, breath, reset, take it

受け入れた瞬間 update」


客席が沸く。


「update!」


「そこ好き!」


「受け入れた瞬間!」


wataのVerseは、音の快感で引っ張りながら、ちゃんと行動の順番を示している。


Step。

Breath。

Reset。

Take it。


いきなり走らない。

一歩。

呼吸。

立て直し。

受け取る。


そこからupdate。


これがwataの成長でもあった。


ただ詰めるだけではない。

呼吸ごと設計する。


「心のブレーキは壊すな

止まれるやつほど遠くへ行ける」


このラインで、会場がかなり強く反応した。


止まれるやつほど遠くへ行ける。


前向きな曲で、ブレーキを肯定する。


それがリバクラらしかった。


勢いは大事。

でも、止まれない勢いは事故になる。


自分の心のブレーキを壊した人は、最初は速く見える。

でも、曲がれない。

人にぶつかる。

長く走れない。


wataはそこを逃がさない。


「でも逃げ癖のサイドは外せ

そのままじゃ景色は変わらねえ」


客席が笑いながらも頷く。


心のブレーキは壊すな。

でも逃げ癖のサイドブレーキは外せ。


この違いがうまい。


止まる力と、止まり続ける癖は違う。


それを言葉遊びのように見せながら、意味を通している。


「素直は負けじゃない

伸びるためのサイン」


ここで、女性客の何人かが反応した。


CALL ME OUTを知っている人たちだった。


素直になる。


それは、彼らの曲の中で何度も出てきたテーマでもある。

指摘を聞く。

反論の前に受け取る。

見えていない自分を知る。


でも、この曲ではそれが恋愛だけではなく、前へ進む条件として置かれている。


「『そういう見方もある』って理解

耳を開けば 視界も開く」


このラインで、EGUIが後ろで小さく頷いた。


言葉として正しい、という顔だった。


耳を開くと、視界が開く。


普通は目で見る。

でも、人の話を聞くことで見えるものがある。


自分一人の景色だけでは、道は狭くなる。


「目を逸らすほど 道は狭くなる」


wataがそれを言い切った時、客席の何人かが黙った。


その沈黙は、効いている沈黙だった。


「速く走る前に

ちゃんと止まれる人間になる」


ここで、彼の声が少し落ち着く。


派手な連打から、一度言葉を置く。


「止まって 見て 聞いて 受け取って

そっから踏み出す rhythm and move」


この順番が、会場に残った。


止まる。

見る。

聞く。

受け取る。

踏み出す。


GREEN LIGHTの本当の構造だった。


ただ青だから進むのではない。


赤を知り、黄色を知り、止まる意味を知ったうえで進む。


だから強い。


Pre-Hook。


「赤を笑うな 黄を飛ばすな

青は勝手に点くもんじゃないな」


wataが、客席へ指を向ける。


「足並みそろえて 胸張りな

素直になったら green light」


この瞬間、客席から大きな声が返った。


「green light!」


wataは満足そうに笑った。


その笑い方が、軽い。


でも、軽薄ではない。


きちんと自分の弱さを通ってきた人の軽さだった。


Hook。


会場はもう、かなり声を出している。


「Green light, now we move」


ここで、一体感が生まれ始める。


まだ全員が歌詞を知っているわけではない。

でも、フレーズは掴める。


Green light。

Now we move。


短い。

明るい。

でも意味がある。


初見でも口にできる。

古参なら背景まで受け取れる。


そういうフックだった。


Verse 3。


EGUIが前へ出た。


光が、三色から一度落ち着いた緑へ戻る。


彼のVerseでは、ステージの動きが少し減った。


足元のビートは続いている。

でも、視線は自然とEGUIに集まる。


彼は、声を張り上げない。


それでも、通る。


「やりたいことをやる

それもいい

突っ走れるなら

それもいい」


最初は肯定から入る。


EGUIらしく、まず否定しない。


自由にやりたい。

前へ出たい。

走りたい。

それは悪くない。


けれど、すぐに芯へ入る。


「でも自分だけ速いなら

それは前進じゃない」


ここで、会場が静かになる。


はっきりした言葉だった。


自分だけ速いなら、それは前進じゃない。


この一行は強い。


前へ行っているつもりでも、周りを置いていくなら、それはただの自己満足かもしれない。

誰かの道を塞いでいるなら、それは成長ではなく占領かもしれない。


EGUIは続ける。


「周りの息を聞け

隣の足音を見ろ」


息を聞け。

足音を見ろ。


少し不思議な言い方だった。


でも、だから残る。


耳で見る。

目で聞く。


相手の状態を、ひとつの感覚だけで決めない。


隣にいる人が、ついて来れているか。

苦しそうではないか。

声を出せているか。

一歩遅れていないか。


それを見ることも、前に進む人間の責任だと、EGUIは言っている。


「お前がいることで

誰かの顔は明るいか」


このラインで、客席の何人かが息を止めた。


「お前が進むことで

誰かの道を塞いでないか」


次の一行で、さらに沈む。


これは、優しいだけの言葉ではない。


問いだ。


自分の存在が、周りを明るくしているか。

自分の前進が、誰かの道を塞いでいないか。


こういう問いを、ライブのど真ん中で投げる。


でも説教にはならない。


なぜなら、ビートがある。

客席がすでに動いている。

三人が一緒に進もうとしている。


問いが、責めではなく確認になる。


「自由はわがままじゃない

勢いは暴走じゃない

本当のGOは

誰かを踏まない」


ここで大きな拍手が起きた。


本当のGOは、誰かを踏まない。


この曲の結論の一つだった。


自由とわがまま。

勢いと暴走。

前進と踏みつけ。


似ているようで違うものを、EGUIがはっきり分ける。


彼は、こういうところが強い。


難しい言葉を使わない。

でも、曖昧にしない。

人が混ぜてしまいがちなものを、短く切り分ける。


そして必要な時は、ちゃんと説明する。


「人生のルールは

縛る鎖じゃない

もっと遠くまで行くための

フォームみたいなものだ」


この四行で、EGUIのVerseに奥行きが出た。


ルール。


それは、嫌われがちな言葉だ。


自由に反するもの。

縛るもの。

面倒なもの。

上から押しつけられるもの。


でも、EGUIはそれをフォームと言い換える。


走るためのフォーム。

遠くまで行くための姿勢。

怪我をしないための型。

力を無駄にしないための動き。


縛る鎖ではなく、遠くへ行くための形。


それは、かなり大人の解釈だった。


客席の社会人勢が反応する。


「フォーム……」


「いい言い方」


「ルール嫌いな人にも届くやつ」


「縛りじゃなくて、遠くまで行くためって言われると変わるな」


「現場でもこれ言いたい」


「言い方に気をつけろよ」


「それもフォームか」


「うまい」


ステージでは、EGUIが腕を少し振る。


「腕を振れ

でもぶつけるな

足を出せ

でも置いてくな」


このラインは、身体に分かりやすい。


動け。

でも周りを見ろ。


行け。

でも誰かを置いていくな。


GREEN LIGHTの約束が、ここでまた繰り返される。


「悩むなとは言わない

悩みすぎて止まるな

逃げるなとは言わない

逃げた昨日も連れて走れ」


この四行で、客席の温度が少し変わった。


悩むなとは言わない。


それが優しい。


逃げるなとは言わない。


それも優しい。


でも、甘くはない。


悩みすぎて止まるな。

逃げた昨日も連れて走れ。


過去を切り捨てない。

でも、そこに座り込まない。


逃げた自分も連れていく。


この言い方に、救われる人がいた。


逃げた昨日を責め続けている人。

止まった時間を無駄だと思っている人。

悩んだ自分を情けないと思っている人。


そういう人へ、EGUIは言う。


連れて走れ。


置いていくのは、誰かだけではない。

昨日の自分も置いていかない。


そこまで含めて、この曲だった。


「見えたなら行け

わかったなら行け

背中の重さをリズムに変えて」


客席が、じわっと前へ寄る。


「もういいだろ

その一歩が青になる」


EGUIが最後を言い切った瞬間、緑のライトが一気に強くなった。


会場が沸いた。


その一歩が青になる。


青信号を待っていたのではない。


一歩を出した瞬間に、青になる。


それは、自分で許可を出す歌だった。


でも、自分勝手な許可ではない。


赤を見た。

黄色を見た。

周りを見た。

自分の弱さも見た。

置いていかないと決めた。


そのうえで出す一歩。


それが、青になる。


Bridge。


三人が中央へ寄る。


さっきのESCORTとは違う寄り方だった。


ESCORTでは輪を作った。

GREEN LIGHTでは、進む線を作った。


三人が横一列になり、客席の方へ少し前に出る。


mcRC。


「改札抜けた朝がある」


会場に朝の景色が戻る。


wata。


「立ち止まれた意味がある」


止まった時間が、無駄ではなくなる。


EGUI。


「誰かと進む道がある」


横にいた人が、今度は一緒に前へ向く。


三人。


「だから今 green light」


客席も返す。


「green light!」


もう自然だった。


mcRC。


「プライド脱いで軽くなった」


wata。


「まあいっか越えて強くなった」


EGUI。


「自分だけじゃない明日を見た」


三人。


「だから今 green light」


ここで、会場の声が一段上がった。


曲の意味が、完全に伝わった瞬間だった。


プライドを脱ぐ。

まあいっかを越える。

自分だけじゃない明日を見る。


それぞれのVerseが、Bridgeで一本の道になる。


Final Hook。


「Green light, now we move

軽いステップで道になる」


会場が揺れる。


もう、最初の一曲目のような衝撃ではない。

二曲目のような距離の調整でもない。


三曲目で、客席は動き始めていた。


「Green light, feel the groove

迷いごと連れて走り出す」


迷いがある人ほど、声が出ているように見えた。


完璧な人が歌う曲ではない。

進みたいのに止まっていた人が歌う曲だった。


「Walk it, run it, don’t look back

でも誰かを置いてくな」


このラインでは、会場の声がほぼ揃った。


「置いてくな!」


誰かが叫んだ。


それに別の誰かが笑う。


「置いてかない!」


「みんなで行くぞ!」


「でも走りすぎるな!」


「止まれるやつほど遠くへ行ける!」


wataが、それを聞いて笑った。


「もう覚えたやん」


mcRCも、客席を見ながら嬉しそうに口元を緩める。


EGUIは、マイクを下げずに、最後のフックへ入った。


「Green light, now we go

迷いの交差点 越えていこう」


ステージの照明に、交差点のような斜めの光が入る。


赤。

黄。

緑。


その中を、三人が動く。


派手なダンスではない。

でも、足取りが見える。


mcRCは客席の景色を見ながら動く。

wataはリズムの隙間を踏む。

EGUIは真っ直ぐ前へ出る。


三人の歩き方が違う。


でも、進む方向は同じ。


「Green light, let it glow

捨てたプライドが羽になる」


このラインで、客席の女性たちがまた沸いた。


「羽になる、いい!」


「プライド捨てたんじゃなくて、羽になるのいい!」


「軽くなって飛ぶやつ!」


「語彙が良い!」


「語彙に沼るな」


「もう沼ってる」


別の席では、若い男が小さく言った。


「プライド、捨てたら負けやと思ってた」


友人が返す。


「羽になるならええやん」


「ちょっとかっこよく言うな」


「リバクラが言ってるんや」


「それはそう」


ステージでは、最後のフック。


「Step by step, we don’t stop

息を合わせて上がっていこう」


ここで、客席全体が少し上に跳ねた。


座席がある場所でも、上半身が揺れる。

立ち見は、軽くステップを踏む。


息を合わせて。


これは、ただ音に合わせることではない。


自分の速さだけで走らない。

周りの呼吸を聞く。

一緒に上がる。


「Green light, now we move

君の番だろ 走り出そう」


最後の一行で、mcRCが客席を指した。


wataも、別方向へ指を向ける。

EGUIは、まっすぐ中央を見る。


君の番だろ。


それは煽りだった。


でも、責めではない。


準備できただろ。

もう見えただろ。

その一歩が青になるだろ。


そういう呼びかけだった。


Outro。


「Tie your shoes, feel the groove

止まってた足が動き出す」


会場の声が重なる。


最初より大きい。


「Step by step, we move

Green light, now we move」


最後の音が抜けた。


緑の光が、ゆっくり残る。


三人は、すぐには動かなかった。


客席も、一瞬だけ止まった。


止まった。


けれど、それは冷えた沈黙ではない。


走り出す前の停止だった。


そして、歓声が来た。


強い歓声だった。


明るい。


でも、軽くない。


「Green light!」


「走る!」


「置いてかない!」


「止まれるやつほど遠くへ行ける!」


「その一歩が青になる!」


客席が、曲の中の言葉を口々に返す。


それぞれが、自分に残った言葉を叫んでいた。


mcRCは、その声を聞きながら、少しだけ胸を押さえた。


GREEN LIGHTは、思っていた以上に会場に届いた。


ただ盛り上がったからではない。


客席が、意味を持って帰ろうとしている。


それが分かった。


wataは息を整えながら、客席のあちこちを見ていた。


自分のVerseで笑っていた人。

少し痛そうな顔をしていた人。

「update」と叫んだ人。

「止まれるやつほど」と返した人。


全部が聞こえたわけではない。

でも、空気で分かる。


受け取られた。


EGUIは、静かにマイクを下げた。


彼のVerseは、会場の中にかなり残っている。

自由はわがままじゃない。

本当のGOは誰かを踏まない。

その一歩が青になる。


短い言葉が、客席の中でまだ揺れていた。


五人組の席では、Miwaがまた少し俯いていた。


Saraが、今度は少し笑って聞く。


「また水?」


Miwaは首を振った。


「大丈夫」


「ほんと?」


「うん。これは泣くやつじゃなくて、動きたくなるやつ」


Ninaが頷く。


「分かる。泣くより、背筋伸びる」


Yuiが言う。


「あと、女の子たちがだいぶやられてる」


実際、少し離れた席の女子グループは完全に沼に落ちていた。


「mcRCの朝の景色、無理」


「wataの止まれるやつほど遠くへ行ける、無理」


「EGUIの本当のGOは誰かを踏まない、無理」


「全部無理じゃん」


「そう。全部無理」


「かっこいいって言うより、ちゃんとしてるのに熱いのが無理」


「分かる。勢いあるのに人を置いてかない感じ」


「そういう男、現実にいます?」


「ステージにいる」


「やめて」


「沼」


「沼です」


その少し後ろで、男性客が苦笑していた。


「女子勢、燃えてんな」


隣の男が言う。


「いや、俺も今のは普通に食らった」


「どこ?」


「wataのまあいっか越えたやつ」


「分かる」


「俺、まあいっかで流しがちやわ」


「今日から赤と黄色見るしかないな」


「急に安全運転」


「人生のな」


「うまいこと言うな」


そこへ、別の客が割り込む。


「でもほんま、三曲目でこれやばない?」


「まだ序盤やぞ」


「体力もつ?」


「知らん」


「喉もつ?」


「EGUIに聞け」


「飯はあと」


「それはそう」


笑いが広がる。


この笑い方も、さっきとは違う。


ESCORTで近づいた客席が、GREEN LIGHTで同じ方向へ少し歩き出した。


隣の知らない人と、軽く言葉を交わせるくらいには、場が温まっている。


それを見て、新川はPA卓の横で小さく息を吐いた。


三曲目。


まだ序盤。


しかし会場は、ただ盛り上がっているだけではない。


導線として、きれいだった。


一曲目で名乗る。

二曲目で距離を決める。

三曲目で動かす。


この順番が効いている。


観客の身体も、心も、段階的に入ってきている。


新川は腕を組み直した。


イベント屋として見ても、これは強い。


曲が良いだけではない。

曲順に意味がある。

MCに意味がある。

照明の入り方に意味がある。

客席の反応を待つ間に意味がある。


ステージが、客を急がせていない。


それなのに、ちゃんと前へ進ませている。


新川は、隣のスタッフに小さく言った。


「ここまで、予定通りです」


スタッフが頷く。


「客席、かなり入ってますね」


「はい」


新川はステージを見た。


「でも、ここからです」


ステージ上で、mcRCがマイクを上げる。


まだ息は上がっていない。


むしろ、三人ともここから走れる顔をしている。


mcRCは客席に向かって言った。


「GREEN LIGHT、ありがとう」


拍手が返る。


「今ので、だいぶ足が動いたと思うんで」


客席から声が飛ぶ。


「動いた!」


「もう走れる!」


「ちょっと待って!」


「止まれるやつほど遠くへ行ける!」


wataがすぐ拾う。


「そう、止まるのも大事。だから今、水飲んでください」


笑いが起きる。


EGUIが頷く。


「喉を使う曲が続く」


客席がざわつく。


「え」


「続く?」


「何?」


「次なに?」


mcRCが笑った。


「ここから、少し走ります」


会場が沸く。


wataが肩を回す。


「靴ひも結んだな?」


客席が返す。


「結んだ!」


「ほどけた!」


「結べ!」


EGUIが低く言う。


「結べ」


笑いが起きる。


mcRCは、ステージ奥を一度見た。


照明が、緑から少しずつ白へ戻る。

ビートの準備音が、低く鳴り始める。


ここからは、流れを切らない。


ただし、一曲ずつ深く止まるわけでもない。


今日このライブは、まだ始まったばかりだ。


名乗り、迎え、動き出した。


次は、その勢いを実際に走らせる。


mcRCがマイクを握り直した。


「行こうか」


wataが笑う。


「走るぞ」


EGUIが、短く、でもはっきり言った。


「置いてくなよ」


客席が返す。


「置いてくな!」


三人が同時に前を見る。


リバクラの単独ライブは、ここからさらに速度を上げていく。


mcRC「この小説の歌は実際に聴けるから、聴きながら読んでみてくれよな」

聴く場合はこちら:

コピペしてブラウザに貼り付けて、、、。とぶぞ。


THAT’S LIVE

https://youtu.be/ujqsLz2TWQA?si=MmEQcLI5hnIdcJpq


green light

https://youtu.be/YR4ECQMRI9E?si=gXQ5EDmQWGXRzpYt


ESCORT

https://youtu.be/U-FlEKJfJ9U?si=m_t-jL5suG1I4umI


Reverse Crown/リバクラ

https://youtu.be/FI0rcVj1WUA?si=YTlhx_1Sq_TaV9Qe


DESTINATION

https://youtu.be/JTYqNX2aSEM?si=XiPvuQManbc7qZ__


UNSEEN HANDS

https://youtu.be/-7JI-GA7Jkg?si=1bDm7SNAOzQLAYts


THAT SEAT

https://youtu.be/RroRseSoJ_8?si=hIIpjx5z-IxxfnTJ


BBQ

https://youtu.be/EtMf8rkKn_0?si=fOf9lmgp2QZR2MKR


HOMEBASE

https://youtu.be/ARSsZ0r8CRc?si=2e8PbVXltjdbNr2Q


feel

https://youtu.be/PAmI_q-HbFU?si=FZuLbe2ZiBzmms51


keep moving

https://youtu.be/QWW73v7L1D0?si=7YEjlRgRRuQhve80


CALL ME OUT

https://youtu.be/Y161l0pX_wA?si=GZjh8_JyrDkMdkLv


READY

https://youtu.be/P2sNZMSjjdU?si=GsE110DD92sYEhr4


SHOWTIME!

https://youtu.be/RrqmZjsded4?si=kZt8W-O5sWGhMJaN


ATTACK

https://youtu.be/tRSOHKXvij8?si=xqiYugwdtS0mTWMu


SAY IT TO ME

https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM


ORIGIN

https://youtu.be/v7r3_l4mYQM?si=l1vPLtDcNWjW9O6H


nofake

https://youtu.be/oV7c-3TJMgM?si=WDW85lU6iqQsmqZy


決めろ!はコチラ

https://youtu.be/P_2d3hcx3Uw?si=hvvTW3RMB2adTtwN


RUN IT

https://youtu.be/ptZZJdr_2hc?si=1Fw9cRYCdJAd1so4


ORDER

https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM

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