2-7-5 走れ、撃て、見せろ、刺されろ
mcRC「この小説の歌は実際に聴けるから、聴きながら読んでみてくれよな」
聴く場合はこちら:
コピペしてブラウザに貼り付けて、、、。とぶぞ。
THAT’S LIVE
https://youtu.be/ujqsLz2TWQA?si=MmEQcLI5hnIdcJpq
green light
https://youtu.be/YR4ECQMRI9E?si=gXQ5EDmQWGXRzpYt
ESCORT
https://youtu.be/U-FlEKJfJ9U?si=m_t-jL5suG1I4umI
Reverse Crown/リバクラ
https://youtu.be/FI0rcVj1WUA?si=YTlhx_1Sq_TaV9Qe
DESTINATION
https://youtu.be/JTYqNX2aSEM?si=XiPvuQManbc7qZ__
UNSEEN HANDS
https://youtu.be/-7JI-GA7Jkg?si=1bDm7SNAOzQLAYts
THAT SEAT
https://youtu.be/RroRseSoJ_8?si=hIIpjx5z-IxxfnTJ
BBQ
https://youtu.be/EtMf8rkKn_0?si=fOf9lmgp2QZR2MKR
HOMEBASE
https://youtu.be/ARSsZ0r8CRc?si=2e8PbVXltjdbNr2Q
feel
https://youtu.be/PAmI_q-HbFU?si=FZuLbe2ZiBzmms51
keep moving
https://youtu.be/QWW73v7L1D0?si=7YEjlRgRRuQhve80
CALL ME OUT
https://youtu.be/Y161l0pX_wA?si=GZjh8_JyrDkMdkLv
READY
https://youtu.be/P2sNZMSjjdU?si=GsE110DD92sYEhr4
SHOWTIME!
https://youtu.be/RrqmZjsded4?si=kZt8W-O5sWGhMJaN
ATTACK
https://youtu.be/tRSOHKXvij8?si=xqiYugwdtS0mTWMu
SAY IT TO ME
https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM
ORIGIN
https://youtu.be/v7r3_l4mYQM?si=l1vPLtDcNWjW9O6H
nofake
https://youtu.be/oV7c-3TJMgM?si=WDW85lU6iqQsmqZy
決めろ!はコチラ
https://youtu.be/P_2d3hcx3Uw?si=hvvTW3RMB2adTtwN
RUN IT
https://youtu.be/ptZZJdr_2hc?si=1Fw9cRYCdJAd1so4
ORDER
https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM
「行こうか」
mcRCの声が、GREEN LIGHTの余韻を押し出した。
緑の照明が、ゆっくり白へ戻っていく。
客席には、まだ「その一歩が青になる」の熱が残っていた。
前に進めと言われた。
でも、自分だけ速いのは前進じゃないとも言われた。
自由はわがままじゃない。
勢いは暴走じゃない。
本当のGOは、誰かを踏まない。
会場の中には、そういう言葉のかけらがまだ浮いていた。
けれど、リバクラはそこで長く立ち止まらなかった。
止まる意味は知った。
足元も見た。
隣の息も聞いた。
なら、次は走る。
wataがマイクを軽く回すように持ち替えた。
さっきまでGREEN LIGHTの中で「止まれるやつほど遠くへ行ける」と言っていた男が、今度は明らかに走る顔をしている。
目元はサングラスで隠れている。
でも、顎の角度と肩の入り方で分かる。
ここから速度を上げる。
EGUIは、余計なことを言わない。
けれど、右足を半歩引いて、いつでも前へ出られる姿勢を作った。
mcRCは、客席の様子を一度だけ見渡した。
まだいける。
声は出ている。
足も動いている。
でも、疲れ切ってはいない。
むしろ、身体がもっと鳴りたがっている。
なら、走らせる。
「靴ひも、結んだな?」
wataが言うと、客席から声が返る。
「結んだ!」
「ほどけた!」
「結べ!」
「水飲んだ!」
「飯はあと!」
そのばらばらの返事に、wataは笑った。
「まとまらんなぁ」
EGUIが短く言う。
「でも、聞こえてる」
mcRCが頷いた。
「それでいい」
そして、三人が前を向く。
「RUN IT」
音が切り替わった。
さっきまでのGREEN LIGHTは、背中を軽く押す曲だった。
RUN ITは違う。
最初のキックが鳴った瞬間、会場の床が一段低く沈んだように感じた。
強い。
速い。
でも、ただ急かす音ではない。
準備してきたものを、今出せと言う音だった。
客席の中で、何人かが反射的にタオルを上げる。
READYジムタオルが、ここで完全にライブ用の武器になった。
「RUN IT!」
前方から声が上がる。
三人はそれを待っていたように、フックへ入った。
もう、この曲はリバクルーの中でかなり育っている。
配信でも、ストリートでも、切り抜きでも、何度も聞かれてきた。
だから、客席の反応が早い。
「RUN IT, RUN IT」
会場が返す。
「準備したなら RUN IT」
フレーズが太く返ってくる。
初見の人も、二回目にはもう乗っていた。
短い。
強い。
意味が分かりやすい。
でも、GREEN LIGHTのあとに来ると、ただの勢いではなくなる。
走れ。
ただし、準備したなら。
その順番が効いている。
wataがフロアの左側へ身体を向ける。
mcRCが中央を受ける。
EGUIが右側へ踏み出す。
三人がそれぞれ違う方向を見ることで、会場全体が曲の中へ引き込まれていく。
RUN ITは、リバクラが外のイベントで初めて大きく手応えを掴んだ曲でもある。
だから、三人の身体に馴染んでいた。
mcRCは、景色を広げすぎない。
今は細かな描写より、客席全体の動きを見ている。
誰が声を出せているか。
どこがまだ硬いか。
どこに次の一押しを入れるか。
Scene Makerは、場を作る人間だ。
ただ情景を歌うだけではない。
今、この会場という景色そのものを、彼は作っていた。
wataは、言葉の隙間に客席の声を入れる。
一拍置けば返ってくるところでは、ちゃんと空ける。
逆に乗り切れていない場所では、言葉を詰めて熱を渡す。
テクニックは、自分を見せるためだけにあるのではない。
客席が入り込むための手すりにもなる。
EGUIは、曲の後半で一度だけ声の圧を上げた。
その瞬間、会場の右側が明らかに前へ出た。
EGUIの声には、押し切る力がある。
でも、怖い圧ではない。
背中を叩かれるような圧だ。
「今だろ」
そう言われているような感覚。
客席は、それに応える。
「RUN IT!」
声が返る。
さっきまで隣の人と距離を探っていた客たちが、今は同じ言葉を叫んでいる。
照れがなくなる。
自分がどんな顔をしているかを気にしなくなる。
身体が先に動く。
RUN ITが終わる頃には、会場は完全に走り出していた。
けれど、三人はその勢いに酔わない。
走らせたら、次は撃つ。
照明が少し赤を帯びた。
さっきの緑とは違う。
警告の赤ではない。
闘志の赤。
身体の奥の温度が、少しずつ上がっていく色。
客席がその変化に気づく。
「次……」
「来る?」
「ATTACK?」
「やば」
「撃つやつ?」
wataが、そのざわめきを聞いて口元を上げた。
「撃つやつ、って言われてるぞ」
mcRCが笑う。
「間違ってはない」
EGUIが、低く言う。
「撃つなら当てろ」
それだけで、客席が沸いた。
「うおお!」
「当ててくれ!」
「撃たれに来た!」
「怖いこと言うな!」
mcRCが、マイクを上げる。
「優しいだけで終わる気はないです」
会場がさらに騒ぐ。
「誰かを大事にするってことは、ただ撫でることじゃない」
その言葉で、少しだけ空気が締まった。
「守りたいものがあるなら、撃たなあかん時もある」
wataが続く。
「言葉でな」
EGUIが短く締める。
「ATTACK」
ビートが入った。
RUN ITの勢いを、ATTACKはさらに鋭くした。
走る音から、撃つ音へ。
キックが前に出る。
スネアが硬い。
クラップが刺す。
低音が胸の奥で跳ねる。
客席の身体が、今度は縦に揺れた。
拳が上がる。
タオルではなく、拳。
曲の性格が変わったことを、会場が身体で理解していた。
ATTACKは、リバクラが“やさしいだけのグループ”ではないことを示す曲だった。
ESCORTで横に来いと言った。
GREEN LIGHTで誰かを置いていくなと言った。
RUN ITで準備したなら走れと言った。
そして今、ATTACKで撃つ。
この順番だから、強い。
いきなり撃ったら乱暴に見える。
でも、迎えて、動かして、走らせたあとなら、攻撃性は単なる暴力ではなくなる。
守るための攻めになる。
mcRCの声が、会場の景色を切り替える。
さっきまで駅前や改札が見えていた場所に、今度は前線のような熱が生まれる。
街の中で歯を食いしばる人。
言い返せなかった夜。
馬鹿にされた声。
自分の価値を勝手に測られた瞬間。
その全部を、ステージ上へ引きずり出す。
wataは、そこに細かく韻を撃ち込む。
音が跳ねるたびに、客席の反応も跳ねる。
言葉が速い。
でも、置いていかない。
彼のラップは、今この場では刃物というより、連射する火花だった。
客席のあちこちで、短い声が上がる。
「うま!」
「今の何?」
「わからんけど気持ちいい!」
「聞き取れないのに食らう!」
それは褒め言葉だった。
意味を全部拾いきれなくても、感情が先に当たる。
そして、あとから言葉が追いつく。
EGUIのパートでは、会場がさらに強くなる。
彼の攻撃性は、怒鳴りではない。
まっすぐな線だった。
「それは違う」と言う時に、逃げ道を作らない声。
でも、人を潰すためではなく、これ以上潰されないための声。
だから、客席の拳が上がる。
誰かを傷つけるための拳ではない。
自分の中に残っていた悔しさを、少しだけ外へ出すための拳。
前方の男子勢が、かなり声を出していた。
「撃て!」
「もっと!」
「食らった!」
「まだ行ける!」
その横で、女子勢も負けていない。
「リバクラ、優しい顔して普通に強い!」
「撃てるのずるい!」
「守るために撃つの、好き!」
「語彙がもうない!」
「まだなくすな!」
五人組の席でも、Ninaがタオルを握ったまま言った。
「これ、男の子たちだけじゃないね」
Saraが頷く。
「女も撃たれる」
Yuiが前を見たまま言う。
「というか、撃たれたい時ある」
Miwaが小さく笑った。
「分かる」
Kateは静かに言った。
「言い返せなかった言葉の代わりになる」
その言葉で、五人は少しだけ黙った。
ATTACKは、怒りの曲だ。
でも、怒りを乱暴に使っていない。
そこが、響く。
ただ壊すのではなく、抑え込まれた声を外へ出す。
踏まれていたものを、踏み返すのではなく立たせる。
黙らされていたものに、音を与える。
だから、会場は熱くなるのに、荒れない。
拳が上がるのに、人を押しのけない。
声が大きくなるのに、誰かを威圧しない。
そのバランスを、三人がステージ上で保っている。
最後のフックで、会場はほとんど一つの塊になった。
RUN ITで走り出した身体が、ATTACKで一度燃え上がる。
曲が終わった瞬間、歓声が一気に上がった。
「うおおおお!」
「やば!」
「強い!」
「これライブで聴く曲だわ!」
「音源よりえぐい!」
wataが息を整えながら、客席へ少しだけ頭を下げた。
mcRCは、汗を指で拭う。
EGUIは、マイクを下げたまま、ゆっくり客席を見た。
まだ前半だ。
だが、会場はすでにかなり熱い。
ここで、ただ次の曲へ行けば、熱はさらに上がる。
しかし、上がりっぱなしでは人は疲れる。
次に必要なのは、熱を別の形にすることだった。
燃やすのではなく、見せる。
照明が落ちる。
赤から、夜のネオンへ。
青。
紫。
少しの白。
床に長く伸びる光。
会場が、ざわつく。
この色を、知っている人は知っていた。
SHOWTIME。
だが、知らない人にとっても、雰囲気だけで分かる。
ここから、何かが変わる。
さっきまでの三人は、仲間を迎え、走らせ、撃つ三人だった。
でも、今の照明の中では少し違う。
夜の顔になる。
mcRCが、ジャケットの襟元に指をかけた。
ほんの少し整えるだけ。
それだけなのに、前列の女子勢が息を吸った。
「待って」
「何」
「今の仕草」
「分かる」
「分かるな」
「言葉にしろ」
「無理」
wataは左側で、首元を軽く触りながらリズムを取っている。
髪の結び目が少し揺れる。
照明がサングラスの端に細く反射する。
EGUIは右側で、ほとんど動かない。
でも、その静けさが逆に強い。
SHOWTIMEは、三人の“昼の顔では測れない衝動”を出す曲だった。
見た目の派手さだけではない。
人には、いくつもの顔がある。
仕事の顔。
家の顔。
友人の前の顔。
配信の顔。
ステージの顔。
自分一人の時の顔。
そのどれか一つだけを本物と呼ぶのではなく、全部を持ったまま、今夜はこの顔を出す。
そういう曲だった。
イントロが鳴る。
客席が沸く。
「SHOWTIME!」
「来た!」
「今夜のやつ!」
「昼の名前じゃ測れない!」
フックが始まる。
「It’s showtime」
その一言で、会場の空気が一段変わった。
声の出し方が違う。
さっきまでの拳の熱ではない。
今度は、息を呑む熱だった。
mcRCのVerseでは、駅前、ネオン、スーツ、ほどけたタイが見える。
ただし、これはスーツ姿を見せびらかす歌ではない。
昼に背負っていたものを、夜の中で一度ほどく曲だ。
きちんとしていた顔。
数字。
会議。
会釈。
白いシャツ。
ID。
ネクタイ。
それらを否定しない。
でも、それだけが自分の全部だと思うなよ、と言う。
その言葉に、社会人勢が反応する。
「分かる……」
「昼の顔だけで測られるの、きついよな」
「会社の自分だけが全部じゃない」
「でも会社の自分も嘘じゃない」
「そこなんよ」
mcRCの声は、余裕があるように聞こえた。
だが、その奥には少しだけ切実さがある。
見てほしい。
でも、見せるには勇気がいる。
昼の名前じゃ測れない衝動。
そのフレーズは、客席の中で何人もの生活に触れていた。
wataのパートでは、会場がさらに跳ねる。
人波。
交差点。
crew。
スニーカー。
groove。
雑踏。
moon glow。
言葉が街の光みたいに細かく光る。
彼のVerseは、夜の街を走る。
速いのに、軽くない。
遊んでいるのに、輪郭がある。
「誰といるかより、どう立ってるか」
その意味が、会場に残る。
肩書きでも、所属でも、見た目だけでもない。
人混みの中で、自分がどう立っているか。
wataは、それを音に変える。
彼のラップは、身体を動かすだけではなく、姿勢を問う。
それが響く。
特に女子勢には、ここがかなり刺さっていた。
「wata、夜が似合う」
「言い方」
「いや、音の中で輪郭が立つ感じ」
「分かる」
「軽そうに見えて、芯があるのが困る」
「困るしか言ってない」
「だって困る」
「沼?」
「今さら?」
五人組の席でも、Miwaが完全に沈んでいた。
Saraが小声で言う。
「大丈夫?」
Miwaは首を横に振る。
「大丈夫じゃない」
Ninaが笑いをこらえる。
「どこでやられた?」
「全部」
Yuiが、少し意地悪く聞く。
「恋ではある?」
Miwaは、顔を真っ赤にして小声で返す。
「それ言うのやめて……」
Kateが前を見たまま、少しだけ笑った。
「でも、これは全員やられてる」
その言葉通りだった。
SHOWTIMEは、女子勢だけに刺さっているわけではない。
男子勢も食らっている。
「俺も夜の顔ほしい」
「まず昼をちゃんとやれ」
「それ言うな」
「でも、昼をやってるから夜が映えるんやろ」
「急に深い」
「SHOWTIMEってそういう曲やん」
この曲の強さは、ただ“別の自分を見せる”ことではない。
昼を捨てるのではなく、昼をこなしてきた上で、夜の衝動を出す。
責任から逃げるための夜ではない。
責任だけで自分を終わらせないための夜。
そこがいい。
EGUIのVerseでは、会場がまた少し静かになる。
部屋の鏡。
襟を整える。
知らない目つき。
静かなほど燃えるtype。
彼の言葉は、派手ではない。
でも、熱が深い。
怒鳴らなくても伝わる密度。
黙っていてもある芯。
扉の向こうへ出る直前の数秒。
その描写に、客席の中で何人かが完全に持っていかれていた。
「EGUI、静かなのに熱い」
「分かる。大声じゃないのに圧がある」
「“強くなるってのは怒鳴ることじゃない”系の男」
「それ好き」
「言語化うま」
「でも本人、そんな説明いらんって顔してそう」
「それも好き」
SHOWTIMEのFinal Hookで、会場はまるごと夜の色に染まった。
It’s showtime。
今夜はshowtime。
隠すなno more。
見れば分かるだろ。
今夜の俺らは別モン。
そのフレーズが、客席にかなり強く返ってくる。
歌詞を全部知っている人もいる。
知らない人もいる。
でも、showtimeだけは叫べる。
「It’s showtime!」
会場が返す。
三人がそれを受ける。
汗が見える。
照明が揺れる。
サングラスの奥の目は見えない。
でも、三人が今、自分たちを隠していないことは分かる。
顔を隠しているのに、隠れていない。
それが妙に強かった。
曲が終わると、女子勢のあちこちから、抑えきれない声が漏れた。
「ああん……すてき……」
「声に出た!」
「すてきすてきすてき」
「落ち着け」
「無理」
「今夜のリバクラ、別モンだわ」
「それは曲の通り」
「いや、ほんとに別モン」
「沼に落ちる音した」
「ぼちゃん」
「軽いな」
「落ちたのは重い」
男子勢も笑っていた。
「女子勢、撃沈してる」
「でも分かる」
「男から見ても普通に惚れる立ち方してる」
「惚れるって言うな」
「いや、憧れの方」
「それな。真似したいかっこよさ」
「カッコつけというより、腹決めて見せてる感じ」
「語彙出たな」
「頑張った」
ステージ上の三人は、その反応を全部は聞き取れていない。
だが、空気で分かる。
SHOWTIMEは刺さった。
見せる曲として、ちゃんと届いた。
mcRCは、呼吸を整えながら、客席を見た。
熱が上がっている。
でも、ここでさらに上げっぱなしにするわけにはいかない。
次は、刺す。
しかも、違う角度から。
照明が変わった。
夜のネオンが少し引き、ステージに白い光が戻る。
ただし、完全な白ではない。
少し冷たく、少し鋭い。
客席の一部が、すでに分かってざわつく。
「次、あれ?」
「来る?」
「赤ペン?」
「男子勢、姿勢正せ」
「女子勢が立ち上がるぞ」
「CALL ME OUT?」
wataが、そのざわめきを聞いて笑った。
「男子勢、急に水飲み始めたな」
会場が笑う。
実際、何人かがペットボトルに手を伸ばしていた。
EGUIが言う。
「逃げ水やな」
wataが吹き出す。
「言い方」
mcRCも笑ったが、すぐに表情を戻した。
「次の曲は、もともとコメント欄から生まれました」
客席が静かになる。
「笑いながら刺された言葉があって」
「でも、その奥には、たぶん何度も言ってきた疲れがあって」
女子勢の一部が、少しだけ表情を変えた。
「だから、雑には扱えなかった」
wataが続ける。
「男三人で作るには、気をつけることが多かった曲です」
EGUIが言う。
「言ってくれた声を、こっちの都合で軽くしない」
mcRCが頷く。
「でも、痛がるだけで終わる曲にもしたくなかった」
wata。
「刺されたら、変われ」
EGUI。
「聞け」
客席が笑う。
しかし、その笑いは少し緊張していた。
mcRCが、最後に言う。
「変われる人は、聞ける人」
その瞬間、客席のあちこちで赤ペンが上がった。
本当に上がった。
胸ポケットから。
バッグから。
ペンケースから。
物販で買ったばかりの赤ペンが、何本も光を受ける。
会場が笑いと歓声で沸く。
「赤ペン勢!」
「準備よすぎ!」
「男子勢、見ろ!」
「見てます!」
「聞いてます!」
wataがマイクを上げた。
「聴いてください」
三人。
「CALL ME OUT」
音が入った。
この曲は、始まった瞬間から空気が違った。
攻撃ではない。
でも、甘くもない。
明るいのに、逃げ場がない。
CALL ME OUTは、女子側の声を男が受け取る曲だった。
でも、それは恋愛だけに閉じない。
清潔感。
距離感。
声量。
聞く力。
拗ねないこと。
変わること。
指摘された時に、言い訳より先に受け取ること。
それは、対人関係そのものの曲だった。
客席の男子勢は、笑いながらも姿勢を正している。
本当に。
腕を組んでいた人が腕をほどく。
背中を伸ばす。
靴を見る。
爪を見る。
隣の女性に「俺、大丈夫?」と聞きかけて、やめる。
女子勢は、それを見て笑う。
「聞け、今聞くな」
「あとで聞け」
「まず曲を聞け」
「はい」
「素直でよろしい」
CALL ME OUTのフックでは、会場の女性の声が強かった。
それは、ただ黄色い声ではない。
「言ったぞ」という声だった。
何度も飲み込んできたこと。
言えば面倒になるから黙ったこと。
やんわり伝えても届かなかったこと。
強く言えば怖いと言われたこと。
その蓄積が、曲の中で少しだけ外に出る。
だから、笑えるのに痛い。
男子勢も、それを分かっていた。
「痛い」
「でも必要」
「聞きます」
「はい」
「はい、が大事」
「反論するな」
「はい」
wataのパートでは、会場が何度も笑った。
けれど、その笑いは自虐に近い。
あるラインが来るたびに、男子勢が「うっ」となる。
女子勢が「そう」と頷く。
心理勢がたぶん心の中で論文化している。
mcRCは、コメント欄から生まれた声を、会場の風景へ戻していた。
一人の女子が、彼氏の袖を軽く引く。
彼氏が一瞬身構える。
彼女は笑って、ステージを指す。
「今は聞く時間」と言っているようだった。
彼氏は、素直に頷いた。
その様子を見た周りの客が、少し笑った。
でも、馬鹿にはしない。
それもまた、この曲の効果だった。
EGUIのパートでは、会場が少し締まる。
彼は、男を甘やかさない。
でも、切り捨てもしない。
変われ。
聞け。
でも、言われた自分を終わりにするな。
そういう強さがある。
CALL ME OUTは、男子を笑い者にする曲ではない。
言われた側が、ちゃんと次へ行くための曲だ。
そこが伝わっているから、男子勢も逃げない。
「痛いけど、逃げない」
「赤ペン買うわ」
「もう買ってる」
「二本買った」
「一本は自分用?」
「一本は予備」
「予備いるほど刺されるな」
女子勢が笑う。
ステージ上の三人も、その空気を感じていた。
この曲は、リバクラの中でもかなり特殊だった。
男三人が、自分たちに向けられた視線を受け取る曲。
自分たちが語る側ではなく、言われる側になる曲。
だからこそ、ライブでやる意味がある。
客席の声が、本当に曲の半分を作っている。
Final Hookで、赤ペンが再び上がる。
「変われる人は、聞ける人」
誰かが叫ぶ。
会場が返す。
「聞ける人!」
「聞きます!」
「聞いてから考えます!」
「言い訳しません!」
「たぶん!」
「たぶんって言うな!」
笑いが起きる。
でも、その笑いの下には、確かに変わろうとする空気があった。
曲が終わった時、会場は妙に明るかった。
刺されたのに、明るい。
怒られたのに、少し清々しい。
それは、責められっぱなしではなかったからだ。
変われる余地を残してもらった。
聞けばいい。
受け取ればいい。
そこから直せばいい。
簡単ではない。
でも、道はある。
その感覚があった。
wataが客席を見て、息を整えながら言った。
「男子勢、生きてますか」
客席から声が返る。
「死にました!」
「蘇生中!」
「赤ペン刺さってます!」
「聞いてます!」
EGUIが言う。
「生き返れ」
笑いが起きる。
mcRCも笑った。
「女子勢、ありがとうございました」
女子勢から大きな歓声が返る。
「もっと言わせろ!」
「まだある!」
「聞け!」
「変われ!」
wataが慌てる。
「今日は一曲分でお願いします!」
さらに笑い。
その笑いの中で、会場の前半は大きな山を越えた。
RUN ITで走った。
ATTACKで撃った。
SHOWTIMEで見せた。
CALL ME OUTで刺されて、笑って、生き返った。
単独ライブは、まだ中盤にも入ったばかりだ。
それなのに、客席はもうかなりのものを受け取っていた。
汗。
声。
笑い。
痛み。
照れ。
衝動。
自分の歩幅。
隣の足音。
そして、三人のステージ上での立ち方。
mcRCは、客席を見渡した。
まだ行ける。
だが、次は少し違う。
ここまで走らせて、撃って、見せて、笑わせた。
次は、座らせる。
比喩ではない。
心の中で、座らせる。
その席に。
照明が、ゆっくり落ちていく。
会場の笑いが少しずつ引いて、次の色を待つ空気になる。
wataは、さっきまでの軽い表情を一度消した。
EGUIも、水を飲まずにマイクを持ち直す。
mcRCは、客席の熱が静まるのを待った。
急がない。
ここから先は、雑に入れない。
笑いの余韻が、少しずつ沈む。
赤ペンが下がる。
タオルが膝に戻る。
拳がほどける。
客席の背中が、ほんの少しだけ伸びる。
次の曲が、軽いものではないと、会場が感じ取り始めていた。
mcRCがマイクを上げる。
「ここから、少しだけ深く行きます」
客席が静かになる。
「さっきまで、いろんな形で前に進んできた」
「走って、撃って、見せて、刺されて」
少し笑いが起きる。
mcRCも少し笑う。
「でも、前に進む人間には、必ず座る場所があります」
その一言で、空気が変わった。
席。
それだけで、分かる人には分かる。
社会人勢の顔が少し引き締まる。
管理職らしき年齢の客が、腕をほどく。
若い客が、隣の友人を見る。
女性グループの中で、誰かが小さく息を吸う。
wataが、ゆっくりマイクを上げた。
「その席は、椅子じゃない」
EGUIが続ける。
「人を乗せる場所だ」
mcRCが、静かに言う。
「THAT SEAT」
会場の明るさが、少し落ちた。
前半のモンタージュは終わった。
ここから、単独ライブの中盤が始まる。
mcRC「この小説の歌は実際に聴けるから、聴きながら読んでみてくれよな」
聴く場合はこちら:
コピペしてブラウザに貼り付けて、、、。とぶぞ。
THAT’S LIVE
https://youtu.be/ujqsLz2TWQA?si=MmEQcLI5hnIdcJpq
green light
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ESCORT
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Reverse Crown/リバクラ
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DESTINATION
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keep moving
https://youtu.be/QWW73v7L1D0?si=7YEjlRgRRuQhve80
CALL ME OUT
https://youtu.be/Y161l0pX_wA?si=GZjh8_JyrDkMdkLv
READY
https://youtu.be/P2sNZMSjjdU?si=GsE110DD92sYEhr4
SHOWTIME!
https://youtu.be/RrqmZjsded4?si=kZt8W-O5sWGhMJaN
ATTACK
https://youtu.be/tRSOHKXvij8?si=xqiYugwdtS0mTWMu
SAY IT TO ME
https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM
ORIGIN
https://youtu.be/v7r3_l4mYQM?si=l1vPLtDcNWjW9O6H
nofake
https://youtu.be/oV7c-3TJMgM?si=WDW85lU6iqQsmqZy
決めろ!はコチラ
https://youtu.be/P_2d3hcx3Uw?si=hvvTW3RMB2adTtwN
RUN IT
https://youtu.be/ptZZJdr_2hc?si=1Fw9cRYCdJAd1so4
ORDER
https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM




