2-1-4 目印を作る
mcRC「この小説の歌は実際に聴けるから、聴きながら読んでみてくれよな」
聴く場合はこちら:
コピペしてブラウザに貼り付けて、、、。とぶぞ。
CALL ME OUT
https://youtu.be/Y161l0pX_wA?si=GZjh8_JyrDkMdkLv
READY
https://youtu.be/P2sNZMSjjdU?si=GsE110DD92sYEhr4
SHOWTIME!
https://youtu.be/RrqmZjsded4?si=kZt8W-O5sWGhMJaN
ATTACK
https://youtu.be/tRSOHKXvij8?si=xqiYugwdtS0mTWMu
SAY IT TO ME
https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM
ORIGIN
https://youtu.be/v7r3_l4mYQM?si=l1vPLtDcNWjW9O6H
nofake
https://youtu.be/oV7c-3TJMgM?si=WDW85lU6iqQsmqZy
決めろ!はコチラ
https://youtu.be/P_2d3hcx3Uw?si=hvvTW3RMB2adTtwN
RUN IT
https://youtu.be/ptZZJdr_2hc?si=1Fw9cRYCdJAd1so4
ORDER
https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM
「今日は、外に開ける」
mcRCがそう言った瞬間、wataは机の上に置いていたペンを止めた。
「外?」
「配信」
「お、ついに来た?」
wataの顔が少し明るくなる。
昨日までの二日間は、完全にリバ会議だった。
夏までの地図を作る。
ヒト・コト・モノ・カネを見る。
単独ライブに必要な曲の役割を分析する。
足りない曲を探す。
画面の向こうに相談する時間ではなかった。
三人が自分たちで決める時間だった。
どんな夜にするのか。
どの曲をどう置くのか。
何を届けるのか。
それは、お客さんに投げるものではない。
リバクラが責任を持って決めることだった。
だから、wataは少しだけ確認するように言った。
「でも、セトリは聞かんよな」
mcRCは即答した。
「聞かん」
「曲順も?」
「聞かん」
「どの曲やってほしいですかアンケートも?」
「しない」
EGUIが、短く言った。
「責任を渡すな」
wataは頷いた。
「そこは昨日決めたもんな」
mcRCは、ホワイトボードの左下に残っている一文を見た。
声は聞く。責任は渡さない。
その横に、wataがふざけ半分で書いた落書きがあった。
飯はREADY
EGUIがそれを消させなかった。
mcRCは少し笑ってから、マーカーを持ち直した。
「今日は、聞いていいことを聞く」
wataが椅子にもたれる。
「つまり、物販」
「うん」
EGUIが言う。
「使う人の声」
「そう」
mcRCはホワイトボードに新しく書いた。
モノ:物販/目印/安心
wataは、その言葉を読んで少しだけ表情を変えた。
「目印」
「うん」
「物販って、ただ売るだけじゃない」
「活動費にもなる」
「でも、それだけじゃない」
「会場で、リバクルーがリバクルーを見つける目印になる」
「一人で来た人が、ひとりじゃないって分かる」
「初見が、ここには文化があるって感じる」
EGUIが短く言った。
「安心になる」
mcRCは頷く。
「そう」
wataは、机の上に置いてある自分のスマホを見た。
「たしかに、ライブ会場って一人で行くとちょっと怖い時あるよな」
「ある」
「誰が仲間か分からんし、どこに並べばいいかも分からんし、声出していいのかも分からん」
EGUIが言う。
「服で分かると楽」
wataが笑った。
「EGUI、実用性で全部突破しようとするな」
「使えるものがいい」
「それは分かる」
mcRCは、ホワイトボードに物販候補を書き始めた。
タオル。
Tシャツ。
ステッカー。
ラバーバンド。
名言カード。
赤ペン風グッズ。
リバ点呼カード。
ジムタオル。
リバクーラー。
桶。
wataがすぐ立ち上がった。
「桶!」
「書くだけ」
「書くな!」
EGUIが静かに言う。
「使える」
「使えるのは知ってる!」
「風呂で」
「ライブ会場で使わん!」
「家で使う」
「じゃあライブ物販じゃなくて生活雑貨やん!」
mcRCは笑いながら、桶の横に小さく書いた。
ネタ枠
wataがそれを見て少し安心した。
「ネタ枠ならまあ」
EGUIが不満そうに言う。
「実用枠」
「お前だけな」
三人の笑いが落ち着くと、mcRCは真面目な顔に戻った。
「ただ、今日は物販だけじゃない」
wataが見る。
「ほかにも聞く?」
「懸念事項」
EGUIが反応する。
「不安」
「うん」
mcRCは頷いた。
「単独ライブに来るとして、不安なこと」
「一人で行って大丈夫か」
「帰り道は大丈夫か」
「物販列はどうなるか」
「撮影されたくない人はどうなるか」
「初見でも入れるか」
「女性一人でも来やすいか」
「そういう声は聞く」
wataは少しだけ目を細めた。
「それは相談じゃなくて、リスク確認やな」
「そう」
「それなら聞いた方がいい」
EGUIが言う。
「見えてないものがある」
mcRCは頷く。
「俺ら三人では見えない不安がある」
「そこは、聞く」
「でも、ライブの芯は俺らが決める」
wataが言う。
「いい線引きやな」
「線引きはいる」
「近いからこそ」
mcRCはそう言って、配信の準備に入った。
黒い布を整える。
ライトをつける。
マイクを三本並べる。
ノートパソコンを開く。
今日は、ホワイトボードをいつもより大きく映す。
そこには、曲名ではなく物販案が並んでいた。
タオル。
Tシャツ。
ステッカー。
ラバーバンド。
名言カード。
赤ペン。
リバクーラー。
桶。
wataは髪をくくり直しながら言った。
「桶、映るぞ」
「映るな」
「リバクルー絶対拾うぞ」
「拾うやろな」
EGUIが言う。
「拾え」
wataは頭を抱えた。
「今日、桶で終わるぞ」
mcRCは苦笑した。
「終わらせん」
配信開始前の待機コメントは、すでに少しざわついていた。
今日は何?
物販って見えた
タオル!?
Tシャツ!?
桶!?
桶って何!?
EGUIさん飯食った?
リバクーラーほしい
CALL ME OUT赤ペンまだ?
wataが画面を見て言った。
「もう桶バレてる」
mcRCは額に手を当てた。
「ほらな」
EGUIが少し満足そうに言った。
「需要ある」
「まだ分からんやろ!」
mcRCは配信ボタンに手を伸ばした。
「いくぞ」
wataが両手を合わせる。
「桶だけで終わりませんように」
EGUIが言う。
「飯もある」
「増やすな」
画面が切り替わった。
コメント欄が一気に流れ出す。
きた!
こんばんは!
物販!?
今日は曲?
桶見えてるぞw
タオルほしい!
Tシャツほしい!
飯食った?
EGUIさん桶推し?
EGUIが最初に言った。
「飯は食った」
wataが叫ぶ。
「開幕それじゃない!」
コメント欄。
安心した
飯報告助かる
EGUI通常運転
桶は?
桶は食えない
wataが画面を見る。
「“桶は食えない”って来てる」
EGUIが真顔で言う。
「食えない」
「分かってる!」
mcRCは笑いをこらえてから、マイクに向かった。
「こんばんは。Reverse Crownです」
三人が軽く頭を下げる。
「今日は、新曲披露ではありません」
コメント欄。
物販回?
地図の続き?
会議?
でも楽しそう
聞く!
mcRCは頷いた。
「今日は、物販と、単独ライブに向けた不安や懸念を聞きます」
wataが横から足す。
「ただし、先に言っておきます」
「セトリは聞きません」
コメント欄が一瞬で流れる。
おお
そこ言うの大事
曲順聞かないの好き
それはリバクラが決めて
相談しすぎないのいい
お客さん任せじゃないの安心
mcRCは続けた。
「俺らは、みんなの声を大事にします」
「オーダーから曲が生まれることもある」
「コメントに刺されて曲になることもある」
「でも、単独ライブの中身は、俺らが責任を持って決めます」
「どんな夜にするか」
「どの曲をどこに置くか」
「どう始めて、どう終わるか」
「それは、俺らが考えます」
EGUIが言う。
「責任を渡さない」
wataが頷く。
「その代わり、ちゃんと届ける」
コメント欄。
いい
めちゃくちゃいい
それが聞きたかった
全部聞かれると逆に不安になる
任せたい
オーダーは出すけどライブは作ってほしい
ちゃんとアーティストしてる
mcRCは、その流れを少し待ってから言った。
「ただ、物販は別です」
wataが画面に向かって指を立てる。
「ここは使う人の声がいる」
EGUI。
「使えるものがいい」
wata。
「EGUIは実用寄りすぎるけどな」
コメント欄。
使えるもの大事
タオル!
Tシャツ!
ステッカー!
リバクルー目印ほしい
一人参加だから目印ありがたい
女子一人だと仲間分かるの嬉しい
mcRCは、そのコメントを見て頷いた。
「そう。そこです」
「物販は活動費にもなります」
「でも、それだけじゃない」
「現地で、リバクルー同士が見つけ合う目印になる」
「一人で来た人が、ひとりじゃないって思えるものになる」
「だから、何が欲しいか、どんなものなら使いやすいか、今日は聞きたい」
wataがホワイトボードを指差した。
「候補はこちら」
画面に、物販案が映る。
タオル。
Tシャツ。
ステッカー。
ラバーバンド。
名言カード。
赤ペン風グッズ。
リバ点呼カード。
ジムタオル。
リバクーラー。
桶。
コメント欄が一瞬止まった。
そして、爆発した。
桶wwwww
桶あるwww
なぜ桶
EGUIさんだろ
絶対EGUIさんだろ
リバクーラーなにw
赤ペン欲しい
タオル絶対
Tシャツもほしい
名言カードいい
桶は草
wataが両手で顔を覆った。
「ほら! 桶に全部持っていかれた!」
EGUIが言う。
「需要ある」
「笑われてるだけ!」
「笑いも需要」
「強引!」
mcRCも笑いながら、画面に向かって言った。
「桶はネタ枠です」
EGUIが小さく言う。
「実用枠」
wataが即座に遮る。
「ネタ枠です!」
コメント欄。
EGUI桶派w
桶ライブ会場に持っていくの?
リバクルー桶持参はやばい
銭湯ライブ
桶にサインしてほしい
風呂でREADYする
飯はREADY、風呂は桶
mcRCが肩を震わせながら言った。
「一旦、現実的なところからいきます」
wataも何とか立て直す。
「まずタオル」
コメント欄が急に現実に戻る。
タオルいる
絶対いる
ライブで掲げたい
首にかけたい
夏単独ならタオル必要
汗拭けるし目印になる
色違いほしい
EGUIが頷く。
「使える」
wataが言う。
「これは正しい使える」
mcRCはメモを取る。
「タオルは優先高そう」
「サイズは?」
コメント欄。
マフラータオル
フェイスタオル
首にかけやすいやつ
回せるやつ
ジムでも使えるやつ
READYジムタオル兼用にして
夏なら吸水大事
wataが反応する。
「READYジムタオル、普通に良くない?」
EGUIが頷く。
「使える」
mcRCもメモする。
「ライブでも使えて、ジムでも使える」
「READYの流れにも合う」
wataが笑う。
「歌詞が生活に侵食してる」
コメント欄。
READYタオル欲しい
ジムで使う
夏までに仕上げる用
ライブ当日も持っていく
これいい
mcRCは、タオルに大きく丸をつけた。
次に、Tシャツ。
wataが少し楽しそうに言う。
「Tシャツ案、来い」
コメント欄。
黒Tほしい
白Tもほしい
普段着できるやつ
デカロゴは恥ずかしい
名言Tなら欲しい
背中にリバ点呼
前面は小さめロゴ
夏ならドライ素材
仕事帰りに着替えたい
女子も着やすいサイズ感がいい
mcRCの目が少し真剣になる。
「女子も着やすいサイズ感」
wataが頷く。
「ここ大事やな」
EGUIが言う。
「大きすぎても困る」
wataが見る。
「EGUIがサイズ感を語った」
「着るものやろ」
「まあそう」
mcRCはメモした。
普段使いできる
ロゴ大きすぎない
サイズ展開
ドライ素材検討
wataがコメントを拾う。
「“名言Tなら欲しい”」
「何を入れるん?」
コメント欄。
飯はREADY
聞ける人から変われ
呼ばれたら返せ
走るな。続けろ。
喜ばせる。迎合しない。
声は聞く。責任は渡さない。
距離感も調整中
wataが叫んだ。
「最後やめろ!」
コメント欄が爆笑する。
距離感も調整中Tシャツw
wata専用
欲しい
着るの勇気いる
CALL ME OUTされるT
逆にモテるかもしれん
EGUIが真顔で言う。
「着ろ」
wataが両手を振る。
「着ない!」
mcRCは笑いすぎて少しマイクから離れた。
「名言Tは、慎重に考えます」
コメント欄。
逃げた
でも欲しい
飯はREADYは絶対
呼ばれたら返せ、強い
聞ける人から変われ、ほしい
仕事に着ていけないけど欲しい
mcRCが言う。
「普段使いできるものと、ネタとして強いものは分けた方がいいかも」
wataが頷く。
「ライブ用のネタTと、日常用のロゴT」
EGUIが言う。
「二種類」
「増やすな」
「需要」
「コストもある」
mcRCがそこを拾う。
「そう。コストもある」
「最初から種類を増やしすぎると危ない」
「作る側の在庫リスクもある」
コメント欄。
現実
在庫怖い
受注生産できる?
予約販売がいいかも
サイズだけ先に聞いてほしい
当日販売少なめでもいい
通販も欲しい
mcRCはメモを続けた。
「予約販売」
「サイズ事前確認」
「当日販売数」
「通販」
wataが横から言う。
「ここ、完全に物販会議やな」
「今日はそう」
「いいね」
次に、ステッカー。
EGUIが短く言った。
「安い」
wataが笑う。
「言い方」
mcRCは頷いた。
「でも大事」
「買いやすい価格のものがいる」
コメント欄。
ステッカー欲しい
スマホに貼りたい
PCに貼りたい
楽器ケースに貼りたい
車はちょっと悩む
小さいロゴがいい
曲別ステッカー欲しい
READYステッカー
CALL ME OUT赤ペンステッカー
wataが反応する。
「曲別ステッカー、いいな」
mcRCも頷く。
「低単価で買いやすい」
EGUIが言う。
「配れる」
mcRCが少し考える。
「買ってもらうだけじゃなくて、初回特典とか、チケット特典にもできるかも」
wataが言う。
「来場者特典ステッカー」
コメント欄。
ほしい!
来場記念になる
初単独記念ステッカーいい
チケットと一緒に残したい
日付入りは欲しい
でも日付決まってからね
mcRCは、そこで少しだけ止まった。
日付。
まだ決まっていない。
物販の話をしていると、急に日付の現実が顔を出す。
日付がないと作れないものがある。
告知できないものがある。
ポスターも、チケットも、限定ステッカーも。
mcRCは小さく息を吐いてから言った。
「やっぱり、日程は早めに決めないといけないな」
wataが頷く。
「物販でも日付いるもんな」
EGUI。
「告知にもいる」
コメント欄。
日程早く知りたい
休み取りたい
遠征組は早めに知りたい
仕事調整いる
宿取る人もいる
夏は予定埋まるから早めに
mcRCは真剣にメモを取った。
日程早期告知が必要
これは物販の話ではない。
でも、物販の話から見えた懸念だった。
こういう声は、聞くべき声だった。
次にラバーバンド。
コメント欄は安定していた。
ラババン欲しい
手につけたい
色で曲分けとか
安いなら買いやすい
仕事中もつけられるかも
シンプルなのがいい
黒ベースで差し色
wataが自分の手首を見た。
「ラババンは現地の一体感出るな」
EGUIが言う。
「邪魔にならん」
mcRCはメモする。
「タオル、Tシャツ、ステッカー、ラババン」
「ここが現実的な初期候補」
コメント欄。
赤ペンは?
CALL ME OUT赤ペンは?
赤ペン欲しい
刺される用
指摘されたらメモする用
変われる人は聞ける人だよペン
wataが笑う。
「赤ペン人気やな」
mcRCも笑った。
「CALL ME OUT由来としてはあり」
EGUIが言う。
「使える」
wataが言う。
「これは使えるな」
「でも、ライブ物販で赤ペン買うの面白すぎる」
コメント欄。
実用性ある
職場で使う
勉強で使う
CALL ME OUTノートもほしい
指摘メモ帳
自分磨き手帳
だんだん自己啓発になってきた
mcRCが慌てて言う。
「自己啓発グッズにはしない」
wataが笑う。
「でも“指摘メモ帳”はちょっと欲しい」
EGUIが言う。
「聞ける人ノート」
wataが吹き出す。
「EGUIが商品開発してる」
mcRCは苦笑しながらメモした。
赤ペン風グッズ:ネタ兼実用。要検討
そして、ついにリバクーラー。
wataがホワイトボードを見て言う。
「リバクーラーって何?」
mcRCが首を傾げる。
「俺も分からん」
EGUIが言う。
「冷えるやつ」
wataが笑った。
「そのまんまやん」
コメント欄。
夏だからクーラー
保冷バッグ?
ドリンクホルダー?
冷感タオル?
扇子?
うちわ?
リバクーラー=冷感タオルでよくない?
夏単独なら冷感グッズほしい
熱中症対策大事
mcRCの顔が真面目になった。
「熱中症対策」
wataも頷く。
「夏やもんな」
EGUIが言う。
「水」
mcRCはすぐ書いた。
夏対策:水分/冷感タオル/終演後の導線
「これ、物販だけじゃなくて運営にも関わる」
「夏にやるなら、入場待機や物販列で暑くなる可能性がある」
「水分、待機場所、終演時間、物販列」
wataが言う。
「リバクーラー、ネタかと思ったら現実につながった」
EGUIが短く言う。
「使える」
「また勝った顔すんな」
コメント欄。
夏対策ほんと大事
物販並ぶなら暑さ心配
会場内ならいいけど外並びはきつい
女子は化粧崩れもある
荷物増えすぎるのも困る
ロッカーある会場がいい
クロークあると助かる
mcRCはメモの速度を上げた。
ロッカー/クローク確認
外並び回避
物販列の導線
水分補給
wataが画面を見ながら言った。
「懸念事項、めちゃくちゃ出るな」
mcRCは頷く。
「こういうのは聞かないと見えない」
EGUIが言う。
「三人では分からん」
「うん」
mcRCは画面に向き直った。
「今の流れで、物販以外の不安も聞きます」
「単独ライブがあるとして、来る時に不安なこと」
「現地で困りそうなこと」
「一人で来る人、遠くから来る人、女性一人、初見、仕事帰り」
「気になることがあれば書いてください」
コメント欄の速度が変わった。
笑いから、少し現実へ。
一人参加が不安
誰とも話せないかも
物販列で浮かないか心配
女子一人で行って大丈夫か
終演時間が遅いと帰れない
駅から遠いと怖い
初見でリバ点呼分からなかったらどうしよう
声出せない人もいていい?
撮影OKだと映り込みが心配
切り抜きに顔映るの怖い
物販の支払い方法知りたい
現金だけだと困る
サイズ売り切れ怖い
荷物多いときつい
途中参加できる?
体調悪くなったら外出られる?
三人とも、しばらく黙った。
これは聞いてよかった。
wataは、ふざけずに言った。
「めっちゃある」
EGUIが頷く。
「ある」
mcRCは、マーカーを握ったまま、ひとつずつ拾っていった。
一人参加。
女性一人。
終演時間。
駅からの距離。
撮影映り込み。
切り抜き範囲。
支払い方法。
サイズ。
荷物。
体調。
声出せない人。
「ありがとう」
mcRCは、画面に向かって言った。
「これは、すごく大事です」
「全部を今すぐ解決できるとは言えません」
「でも、見る項目として残します」
wataが続ける。
「ライブの中身は俺らが決めるけど」
「来る時の不安は、ちゃんと聞く」
EGUIが言う。
「安心して来れる場所にする」
コメント欄。
それだけで嬉しい
聞いてくれるの助かる
女子一人でも行きたい
声出せない人もいていいなら行きたい
顔映り込み配慮あると嬉しい
初見説明あると助かる
物販キャッシュレスあるとありがたい
mcRCは「声出せない人もいていい」に丸をつけた。
「これ、言っておきたい」
彼はマイクに少し近づいた。
「声を出せる人は出してほしい」
「でも、出せない人がいてもいいです」
「手を上げるだけでもいい」
「頷くだけでもいい」
「そこにいるだけでもいい」
「無理に叫ばせる場所にはしません」
コメント欄が一瞬ゆっくりになった。
ありがとう
それ助かる
ライブ行きたいけど声出し苦手
いるだけでいいって言ってくれるの嬉しい
でも出せる時は出す
手上げるだけならできる
泣きそう
wataが静かに言った。
「でも、出せる人は出してな」
EGUIが頷く。
「呼ばれたら返せ」
wataが笑った。
「そこは言うんや」
mcRCも笑った。
「出せる人は、出してほしい」
「出せない人は、無理しなくていい」
「それでいい」
次に、撮影と映り込み。
mcRCは真剣に言った。
「撮影ルールは、かなり大事です」
「切り抜きで広がってきた部分はある」
「でも、顔が映りたくない人もいる」
「撮影OKにする範囲、NGの範囲、客席を映さないルール」
「ここは新川さんとも相談します」
wataが補足する。
「ステージ撮るのはOKでも、客席を勝手に撮るのは違う、とかね」
EGUIが言う。
「人を雑に扱うな」
その言葉で、コメント欄が反応した。
それ
顔映り込み怖い
撮影ルール先にあると安心
切り抜き文化大事だけど配慮も大事
人を雑に扱うな、ここにも来るのか
mcRCは頷いた。
「来ます」
「俺らの曲だけじゃなくて、現場でもそうしたい」
「人を雑に扱わない」
「それを、ルールにもする」
wataは、そこで少し笑った。
「リバクラ、物販会議のはずが、運営理念になってきたな」
EGUIが言う。
「つながってる」
「そうなんよな」
mcRCは言った。
「物販も、導線も、撮影ルールも、結局そこにつながる」
「来てくれる人を雑に扱わない」
「応援してくれる人を雑に扱わない」
「初見も、女子一人も、声を出せない人も、切り抜く人も、撮られたくない人も」
「ちゃんと見て設計したい」
コメント欄。
それがリバクラ
これ聞けただけで行きたい
安心して楽しみたい
物販も導線も思想なんだな
人を雑に扱うな、現場設計まで行くの強い
そのあとも、物販案と懸念事項はしばらく続いた。
リバ点呼カード。
初見説明カード。
物販列に並ぶ時の番号札。
タオルの色。
Tシャツのサイズ。
女性用サイズという言い方ではなく、サイズ展開を広くしてほしいという声。
キャッシュレス対応。
終演時間。
駅近。
ロッカー。
撮影エリア。
立ち位置。
具合が悪くなった時に出やすい場所。
wataは途中で言った。
「俺ら、ライブハウス作るんか?」
mcRCは笑わずに返した。
「一夜を預かるなら、近いところまで見る」
EGUIが頷く。
「できる範囲で」
「そう」
mcRCは画面に向かって言った。
「全部を叶えるとは言いません」
「会場によってできること、できないことがあります」
「でも、項目として見ます」
「これを持って、新川さんに相談します」
コメント欄。
新川さん頼む
プロの人の出番だ
ちゃんと持っていくのいい
リバクラだけで抱えないで
でも自分たちで考えてるのがいい
wataが頷いた。
「新川さんに丸投げじゃない」
EGUIが言う。
「仮説を持っていく」
mcRCは画面を見た。
「そう」
「俺らはイベント会社のプロじゃない」
「だから、そこは新川さんに頼る」
「でも、自分たちの客のこと、自分たちの文化、自分たちの数字は持っていく」
「今日のコメントも、その材料になります」
コメント欄が少し温かくなった。
参加できた感じある
でも決めるのはリバクラなのがいい
物販は声聞いてくれるの嬉しい
セトリは任せる
ちゃんと届けて
mcRCは、そこで少しだけ表情を和らげた。
「届けます」
wataが続ける。
「物販は一回整理します」
EGUIが言う。
「桶も」
wata。
「桶は保留!」
コメント欄。
桶保留w
諦めてないEGUI
いつか桶出そう
リバクーラーは冷感タオルにして
READYタオルほしい
飯はREADY茶碗も保留?
mcRCが笑いながら言った。
「茶碗は、かなり保留」
EGUIが少し残念そうに言う。
「使える」
wataがすかさず返す。
「それは家でな!」
配信の終わりが近づいた。
ホワイトボードは、物販案と懸念事項で埋まっていた。
最初はタオルとTシャツの話だった。
でも終わってみれば、それだけではなかった。
一人で来る人。
女性一人の帰り道。
声を出せない人。
撮影されたくない人。
支払いで困る人。
暑さでしんどくなる人。
初見で文化が分からない人。
そこには、ライブの外側にいるようで、実はど真ん中にあるものが並んでいた。
mcRCは、最後に画面に向かって言った。
「今日はありがとう」
「物販案、かなり助かりました」
「それ以上に、不安や懸念を出してくれたのが大きかった」
「ライブの中身は、俺らが責任を持って作ります」
「でも、来る時の不安、使うものの声、そういうものはこれからも聞きます」
wataが続ける。
「タオル、Tシャツ、ステッカー、ラババンあたりはかなり現実的」
EGUIが言う。
「桶は保留」
wataが叫ぶ。
「最後に残すな!」
コメント欄が笑いで埋まる。
桶は保留
タオル待ってる
Tシャツ待ってる
READYタオル欲しい
赤ペンも欲しい
懸念聞いてくれてありがとう
安心して行けそう
夏までREADY
mcRCは笑いながらも、少し真面目に締めた。
「夏まで、少しずつ形にします」
「今日はここまで」
EGUI。
「飯食って寝ろ」
wata。
「やっぱり最後それか!」
配信が終わった。
画面が暗くなる。
部屋には、さっきまでのコメントの熱だけが残っていた。
wataは椅子にもたれ、長く息を吐いた。
「いや、出たなあ」
mcRCはホワイトボードを見た。
「出た」
EGUIも頷く。
「聞いてよかった」
「うん」
mcRCは、書き出した懸念事項を見つめた。
どれも、三人だけでは見えなかったかもしれない。
見えたとしても、優先順位を間違えたかもしれない。
タオルやTシャツは分かりやすい。
でも、帰り道や映り込みや声を出せない不安は、聞かなければ軽く見てしまう可能性があった。
wataが言った。
「これ、新川さんに持っていく資料に入るな」
「入る」
mcRCは頷いた。
「リバクルーの声として」
EGUIが言う。
「でも決めるのは俺ら」
「うん」
mcRCは、最後にホワイトボードの空いた場所へ一行を書いた。
物販は目印。不安は設計項目。
wataがそれを読んだ。
「また名言っぽい」
「名言じゃなくて方針」
EGUIが頷く。
「方針」
wataは少し笑った。
「方針Tシャツ出す?」
mcRCがすぐ言う。
「出さない」
EGUI。
「使えない」
wataが拍手した。
「珍しく却下が早い」
三人は笑った。
けれど、その笑いの下で、次にやることはまた増えていた。
物販案を整理する。
懸念事項を分類する。
新川さんに見せるための資料にする。
会場候補に必要な条件を考える。
そして、足りない曲を作る。
また一つ、地図が濃くなった。
夏はまだ遠い。
でも、もうただの夢ではなかった。
タオルの色。
Tシャツのサイズ。
駅からの道。
物販列。
撮影ルール。
帰り道。
声を出せない人の居場所。
そういう具体的な線が、少しずつ夜の形を作り始めていた。
mcRC「この小説の歌は実際に聴けるから、聴きながら読んでみてくれよな」
聴く場合はこちら:
コピペしてブラウザに貼り付けて、、、。とぶぞ。
CALL ME OUT
https://youtu.be/Y161l0pX_wA?si=GZjh8_JyrDkMdkLv
READY
https://youtu.be/P2sNZMSjjdU?si=GsE110DD92sYEhr4
SHOWTIME!
https://youtu.be/RrqmZjsded4?si=kZt8W-O5sWGhMJaN
ATTACK
https://youtu.be/tRSOHKXvij8?si=xqiYugwdtS0mTWMu
SAY IT TO ME
https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM
ORIGIN
https://youtu.be/v7r3_l4mYQM?si=l1vPLtDcNWjW9O6H
nofake
https://youtu.be/oV7c-3TJMgM?si=WDW85lU6iqQsmqZy
決めろ!はコチラ
https://youtu.be/P_2d3hcx3Uw?si=hvvTW3RMB2adTtwN
RUN IT
https://youtu.be/ptZZJdr_2hc?si=1Fw9cRYCdJAd1so4
ORDER
https://youtu.be/AdAhmiHwxfM?si=BMBopJs6y9S6hLWM




