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ラップ付き小説 ReversCrown 元気ないやつこっちおいで  作者: egubi
sound session編

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180/186

5-5-5 ODD NODE



SMALL WINの拍手は、なかなか消えなかった。


大きな勝ちではない。


でも、誰も見ていない一歩に名前をつけた。


その言葉が、会場のあちこちに残っていた。


リバクルーのタオルが、まだ小さく揺れている。

BEEF勢は、腕を組んだままDJブースを見ている。

ReShiNa勢の男たちは、「ReShiNa」タオルや「れなたん」タオルを膝に置いたまま、少し困ったように拍手していた。


困ったように、というのは、悪い意味ではない。


リバクラを見に来たつもりではなかった人たちまで、何かを持たされてしまった顔だった。


NEW ERAで、入り直した。

QUESTで、旅に変えた。

SMALL WINで、小さな勝ちに名前をつけた。


三曲が終わったあと、会場には、ひとつの物語を見たあとのような余韻があった。


派手な爆発ではない。


けれど、鮮やかだった。


白紙の地図。

旅。

小さな勝ち。


それぞれの曲が別々の色を持ちながら、最後には同じ火に集まっていた。


ステージ上で、mcRCが深く頭を下げた。


wataも続く。

EGUIも。


BEEFは、DJブースの奥で、ほんの少しだけ顎を下げる。


その仕草は小さかった。


けれど、BEEF勢は見逃さなかった。


「今のBEEF、満足してるだろ」


「顔はしてない」


「顔はずっと不機嫌」


「でも手元は良かった」


「リビルド二段やったからな」


「NEW ERAからQUEST、QUESTからSMALL WIN。あれ、普通に怖い」


「三人がついていったのもでかい」


リバックラインの席で、Miwaはまだ泣いていた。


Ninaが横から言う。


「本当に大丈夫?」


「大丈夫じゃないけど、大丈夫」


「どっち?」


「Small win」


Saraが静かに言った。


「便利な言葉にしないでください」


Miwaは鼻をすすった。


「便利じゃなくて、必要」


Kateは、ステージを見たまま微笑んだ。


「それはそう」


Yuiはメモ帳を閉じた。


もう書く必要がない、という顔ではない。


書きたいことが多すぎて、いったん閉じた顔だった。


ステージの照明が、ゆっくり落ちる。


Reverse Crownの三人が、袖へ向かう。


客席から声が飛ぶ。


「リバクラ!」


「よかったぞ!」


「BEEFやりすぎ!」


「Small winありがとう!」


「下から来たな!」


wataが一瞬だけ振り返り、片手を上げた。


その顔はサングラスで見えない。


けれど、口元だけは少し笑っていた。


mcRCは、客席をもう一度見た。


今日、伝えなきゃ伝わらないと思って、言葉で渡した。


そのあと、BEEFに壊された。


QUESTへ行った。


SMALL WINへ行った。


予定通りではなかった。


でも、届いた。


何か分かってきた。


全部を自分たちだけで完成させるのではない。


客席が入る。

BEEFが壊す。

三人が走る。

また客席が返す。


その繰り返しの中で、曲が自分たちだけのものではなくなっていく。


EGUIは、袖に入る直前、後攻チームのロゴを見た。


スクリーンの中央に、次の名前が浮かぶ。


ODD NODE


文字が少しだけ歪んでいる。


まっすぐな線のようで、途中で折れる。

丸のようで、どこか欠けている。

無機質なのに、妙に人間くさい。


会場のあちこちから、低く濃い歓声が起きた。


「ODD NODE!」


「来た!」


「待ってた!」


「ノード!」


「今日やっと現地で聴ける!」


その歓声は、リバクラの歓声とは違った。


爆発的ではない。


でも、根が深い。


長く追っている人間の声だった。


分かっている人の声。


初見に説明するというより、自分たちはもう知っている、という熱。


BEEFは、袖へ下がる前に一度だけスクリーンを見た。


ODD NODE。


癖がある。


その一言で片づけるには、少し違う。


彼らは、変わったことをしているだけのチームではない。


自分たちの世界へ耳を引き込むのが上手い。


一拍ずらす。

フックをまっすぐ置かない。

声を重ねる場所を少し変える。

リズムの気持ちよさを、分かりやすい場所から半歩外す。


ハマれば、抜けない。


客席がその半歩外れた気持ちよさに入った瞬間、ODD NODEのものになる。


だから、強い。


ただ、今の会場には、まだリバクラが作った物語の余韻が残っていた。


白紙の地図。

旅。

小さな勝ち。


床に、まだその色が薄く残っている。


ODD NODEがそこへどう入るか。


BEEFは、表情を変えずに袖へ下がった。


司会者が、ステージ中央へ戻る。


「先攻、Reverse Crown」


拍手が起きる。


「NEW ERA、QUEST、SMALL WIN」


スクリーンに三つのタイトルが並ぶ。


客席がまたざわめいた。


「QUEST入った!」


「やっぱ曲変わってたんだ」


「SMALL WINまで行ったの強かったな」


「三曲の流れ、綺麗だった」


司会者は、余韻を切りすぎないように、少しだけ間を置いた。


そして、声の温度を変える。


「続いて、後攻」


スクリーンが暗転する。


黒ではない。


少し青みのある、冷たい暗さ。


そこに、ノイズのような細い線が走る。


一本。


二本。


三本。


その線が、複雑に絡まり、最後にひとつのロゴを形作った。


ODD NODE


司会者が名前を呼ぶ。


「根強い支持を集める、テクニカル・オルタナティブユニット」


客席のあちこちから声が上がる。


「ODD NODE!」


「来い!」


「ずらせ!」


「ノード鳴らせ!」


司会者は続ける。


「変則的なフロウ、緻密な構成、独自の音像で、聴く者を自分たちの回路へ引き込む三人組」


スクリーンに、三つのシルエットが映る。


一人目。


細身で、前髪をセンターで分けた男。

長いコート。

動きは少ない。

手元だけが細かい。

声で空間を歪ませるタイプ。


二人目。


眼鏡をかけた小柄な男。

首元まで閉めたシャツ。

ラップの拍をずらして遊ぶ。

音の隙間に言葉を入れるテクニシャン。


三人目。


銀色に近い短髪。

少しだけ笑っている。

マイクを持つ手が軽い。

ストレートに見えて、言葉の置き場所が少し変な男。


そして、後ろにはDJ。


細い身体に、白いグローブ。

手元の動きが異様に静かだった。


司会者が声を張る。


「ODD NODE!」


照明が落ちる。


音が出る前に、客席のODD NODEファンが静かになった。


騒ぐためではない。


聴くためだった。


その沈黙で、初見客が少し戸惑う。


「え、静かになるんだ」


「始まる前に黙るタイプ?」


「聴き込む系か」


ODD NODEの一人目が、ステージへ出る。


長いコートの裾が、ライトの中で少し揺れる。


二人目が続く。


眼鏡の奥の目が、客席を見ていないようで見ている。


三人目が、軽く肩を回しながら出てくる。


最後にDJがブースへ入る。


歓声は大きい。


でも、どこか低い。


濃い。


ODD NODEのファンたちは、手拍子を急がない。


彼らの曲は、簡単に乗ると置いていかれることを知っているからだった。


一曲目。


スクリーンにタイトルが出る。


PATCH CODE


細い電子音が鳴る。


ピッ。


ピッ。


ピピッ。


ビートが入るかと思ったところで、入らない。


半拍遅れて、低音が来る。


どん。


客席の一部が、そこで小さく沸いた。


「来た!」


「そのズレ!」


「PATCH CODE!」


初見客は、一瞬だけ身体の揺らし方を探す。


リズムが分かりやすい場所にない。


けれど、ODD NODEのファンはもう入っている。


一人目の声が、淡々と入る。


歌詞は難解ではない。


ただ、置き方が少し変だった。


都市の信号。

壊れた通知。

未読のまま積まれる名前。

自分の中にある、つぎはぎのルール。


そんな言葉が、細い電子音の上を滑っていく。


客席のODD NODEファンが、頷く。


「この冷たさよ」


「音数少ないのに、ちゃんと街がある」


「PATCH CODE、現地だと低音気持ちいいな」


二人目が入ると、拍がさらにずれる。


韻は硬い。


でも、wataのように前へ押す硬さではない。


ズラして、引っかけて、遅れて気持ちよくなるタイプの韻だった。


「今の入れ方、変態」


「半拍後ろで踏んだ」


「気持ち悪いのに気持ちいい」


「これがODD NODEなんよ」


初見の客も、だんだん身体の揺らし方を見つけ始める。


最初は分からなかったズレが、二周目で少し気持ちよくなる。


三人目が入る。


軽い声。


けれど、言葉は不思議と残る。


「正しさはアップデートされる」

「昨日のバグを抱えたまま進む」

「つぎはぎでも、自分のコードで動け」


そういう意味が、断片で飛んでくる。


リバクルーの一人が、小さく言った。


「こっちも白紙じゃなくて、つぎはぎなんだな」


隣が頷く。


「世界観あるわ」


「分かりやすくはないけど、入ると面白い」


曲の終盤、ODD NODEのDJが白いグローブの指で音を切る。


スクラッチではない。


音を削るようなカット。


BEEFの破壊とは違う。


BEEFは荒く壊して再構築する。

このDJは、最初から欠けた形を作る。


PATCH CODEが終わると、会場に拍手が起きた。


爆発ではない。


けれど、確かに盛り上がっている。


「ODD NODE、やっぱ濃い!」


「現地で聴くと分かる!」


「最初置いていかれたけど、途中から入れた」


「これ、後攻で空気変えに来てるな」


袖で、mcRCは腕を組んで聴いていた。


「やっぱ作ってくるな」


wataが頷く。


「癖あるけど、雑じゃない。ちゃんと構成してる」


EGUIが短く言う。


「強い」


BEEFは何も言わない。


ただ、ODD NODEのDJの手元を見ていた。


二曲目。


タイトルは、STATIC GARDEN。


スクリーンに、ノイズの粒が降る。


白い砂嵐のような粒が、少しずつ植物の形になっていく。


電子音の中に、歪んだピアノが入る。


一曲目より、少しメロウ。


だが、普通のメロウではない。


ざらついている。


ODD NODEの一人目が、低い声で始める。


静電気の庭。

触れたら少し痛い距離。

近づきたいのに、弾かれる人間関係。

会話の前に走るノイズ。


そんな景色。


ReShiNa勢の男が、小さく呟く。


「これ、音が冷たいのに綺麗だな」


隣が頷く。


「ReShiNaとは全然違うけど、これはこれで繊細」


「しほたん好きそうな低さある」


そこへ二人目が入る。


細かい韻。


かなり詰める。


だが、こちらも押し切らない。


音の奥へ潜っていく。


「この人、韻を見せびらかさないな」


「後ろで踏むから、気づいた時に気持ちいい」


「wataとは逆方向のテクニックだ」


「表に剣を出さないタイプ」


三人目が、少しだけ明るい声でフックを持ってくる。


それでも、フックは大合唱向きではない。


一度で覚えるというより、二度目で耳に引っかかる。


三度目で、口が動きそうになる。


ODD NODEのファンは、そのタイミングを知っている。


一回目は聴く。

二回目で乗る。

三回目で小さく返す。


客席のあちこちにいるODD NODEファンが、同じようなタイミングで頷き始める。


その反応が、周りの初見客にも伝わる。


「今の返すところか」


「なるほど」


「遅れて入る感じなんだ」


「気持ちよくなってきた」


STATIC GARDENは、徐々に会場を引き込んだ。


一気に掴む曲ではない。


浸透する曲だった。


冷たいノイズの庭に、少しずつ人が入っていく。


曲の終わり、DJが高音を細く引き伸ばし、最後に一瞬だけ無音を作った。


そこで、客席が拍手する。


タイミングが難しい。


少し遅れて、でも厚く。


「いい!」


「STATIC GARDEN、今日かなり良かった!」


「二曲目で温度変えてきたな」


「さっきのリバクラの火とは違う。冷たい庭」


「でも世界はある」


袖で、Ninaが小声で言った。


「相手もちゃんと作りますね」


Saraが頷く。


「世界観が明確です。入口は狭いですが、中に入ると強い」


Miwaは、まだ泣いたあとの顔で言う。


「なんか、暗いのに綺麗」


Kateはステージを見たまま言った。


「根強いファンがいる理由は分かるね」


Yuiは、メモ帳に書きかけて止まった。


「入口が狭い、内側が深い……」


Saraが横を見る。


「それは書いてもいいと思います」


Yuiは、少し嬉しそうに書いた。


三曲目。


ODD NODEの照明が、急に明るくなる。


だが、明るさの色が少し変だ。


黄色でも赤でもない。


青とピンクがズレて重なったような光。


スクリーンにタイトルが出る。


ODD PARADE


ODD NODEのファンが、一気に沸いた。


「来た!」


「PARADE!」


「最後これか!」


「踊れるやつ!」


初見客にも、今度は分かりやすい。


ビートが跳ねる。


ただし、まっすぐではない。


跳ねているのに、少し斜め。


手拍子を入れようとすると、一拍ズレる。


でも、そのズレが笑いになる。


一人目が、淡々とした声のまま、奇妙に明るいフレーズを投げる。


二人目が、そこへ細かい言葉を絡ませる。


三人目が、軽い声で客席を引っ張る。


ODD NODEのファンが、ここで一気に声を出した。


「ODD!」


「NODE!」


「ODD!」


「NODE!」


コールは簡単。


でも、入る場所が少し変。


初見客が一回遅れる。


二回目で笑う。


三回目で合わせようとする。


「むずい!」


「でも楽しい!」


「なんだこのズレ!」


「気持ち悪いのに上がる!」


ODD PARADEは、強かった。


ODD NODEの癖を、最後にちゃんと祭りへ変えていた。


ただ難しいだけではない。

ただ暗いだけでもない。

自分たちの歪みを、そのままパレードにする。


その強さがあった。


リバクルーも、思わず笑っていた。


「これは盛り上がるわ」


「癖あるけど、最後ちゃんと持ってくな」


「ODD NODE、強いな」


「後攻でこれ出せるのはさすが」


BEEF勢の一人が、DJを見ながら言った。


「あの白グローブ、上手いな」


隣が頷く。


「BEEFとは違うけど、かなり細かい」


「壊すんじゃなくて、最初から歪ませてる」


「手元、静かなのに効いてる」


ReShiNa勢の男たちも、タオルを握りながら笑っていた。


「これ、変なのに楽しいな」


「リバクラとは全然違う」


「でも大会で見るなら、こういうのも面白い」


「コラボから来てよかったわ」


曲の最後、ODD NODEの三人が一列に並ぶ。


ビートが半拍ずつズレながら落ちていく。


ODD。


NODE。


ODD。


NODE。


最後に、DJが音を一瞬止める。


無音。


そして、三人の声だけが残る。


「We are ODD NODE」


音が切れた。


一瞬の静けさ。


そのあと、会場が沸いた。


「ODD NODE!」


「よかった!」


「PARADE楽しい!」


「やっぱ癖あるな!」


「でも盛り上がった!」


「三曲ちゃんと違った!」


ODD NODEの三人は、深く頭を下げた。


派手に叫ばない。


でも、自分たちの世界を持ち込んだ顔だった。


その後ろで、白いグローブのDJが静かに片手を上げる。


客席からまた歓声が起きた。


袖で、mcRCは黙って見ていた。


ODD NODEは強い。


分かりやすく全員を一気に巻き込むタイプではない。

でも、入れた人間を離さない。


そして最後には、初見も少し巻き込んだ。


wataが、小さく舌打ちした。


悪い意味ではない。


「やるな」


EGUIが頷いた。


「強い」


BEEFは、白いグローブのDJを見たまま言った。


「ズレを武器にしてる」


wataが横を見る。


「お前と違うな」


「違う」


BEEFは短く返す。


「でも、上手い」


その一言で、三人は少し黙った。


BEEFが素直にそう言うなら、本当に上手い。


会場の熱は、ちゃんと上がっていた。


ODD NODEは、自分たちの色を持ってきた。

三曲で、自分たちの回路を開いた。

根強いファンはもちろん、初見にも爪をかけた。


ただ、会場の底には、まだ少しだけリバクラの火が残っていた。


白紙の地図。

QUEST。

SMALL WIN。


その火は、大きく燃え上がっているわけではない。


でも、消えてもいない。


ODD NODEの冷たい光と、リバクラの小さな火が、会場の中で並んでいる。


どちらが強く残ったのか。


それは、まだ誰も口にしない。


司会者がステージ中央へ戻ってくる。


「先攻Reverse Crown、後攻ODD NODE」


会場が拍手する。


「両者、まったく違う世界を見せてくれました」


その言葉に、客席の何人かが頷く。


まったく違う世界。


リバクラは、白紙の地図から旅へ行き、小さな勝ちへ着地した。

ODD NODEは、つぎはぎのコードから静電気の庭へ入り、歪んだパレードで締めた。


どちらも強い。


どちらも、ただの盛り上げではない。


司会者が続ける。


「このあと、審査員評価、観客評価、変化・チャレンジ評価を集計します」


スクリーンに、採点項目が出る。


審査員評価。

観客評価。

変化・チャレンジ評価。


客席がざわめく。


「これ、難しいな」


「リバクラは流れが綺麗だった」


「ODD NODEは曲の癖が強かった」


「先攻であれ作ったリバクラ、かなり良かった」


「ODD NODEも三曲目でちゃんと巻き返したぞ」


「観客評価、割れそう」


「チャレンジはリバクラ強いんじゃない?」


「ODD NODEも自分たちの世界は完成してた」


リバックラインの席で、Ninaが息を吐いた。


「相手、強かったですね」


Saraが頷く。


「弱い相手ではありません。むしろ、かなり明確なチームです」


Miwaは、泣いたあとで少し落ち着いていた。


「でも、リバクラも残ってますよね」


Kateは、ステージを見たまま言った。


「残ってる」


Yuiが、小さくメモ帳を開く。


書いたのは一行だけだった。


ODD NODE:入口は狭い。でも中は深い。


Ninaがそれを見て、静かに頷いた。


「それ、いい」


ReShiNaの席で、renaはアコギケースの横に手を置いていた。


リバクラの火と、ODD NODEの冷たい庭。


全然違う。


でも、どちらも音楽だった。


shihoは、ODD NODEの低音の残り方を思い返していた。


派手ではない。

けれど、深く潜る音。


natsuは、ステージ上の空気の流れを見ていた。


さっきまでリバクラが作った火は、まだ完全には消えていない。


でも、ODD NODEのノイズも会場に残っている。


混ざってはいない。


並んでいる。


それが、今の会場だった。


ステージ上では、ODD NODEの三人がもう一度頭を下げている。


Reverse Crownは袖で、それを見ていた。


mcRCは、胸の奥に残った小さな火を感じていた。


wataは、ODD NODEの二人目のズレた韻を思い出していた。


EGUIは、観客の反応の深さを見ていた。


BEEFは、白いグローブのDJの手元を、最後まで見ていた。


まだ結果は出ない。


でも、第4戦はもう、ただの復帰戦ではなくなっていた。


世界を作ったチームと、世界を差し込んだチーム。


二つの色が、同じ会場に残っていた。

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