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第22話、諜報部イアンの視点



 俺の名はイアンと言い28歳だ。今はアラン様に仕えていて諜報部の責任者をしている。

 

 この国では闇魔法使いは悪人と決めつけられて親からも嫌らわれ親子の縁を切られることもある。


 だから15歳で闇魔法を授かった俺は両親にも魔法を授からなかったと言い、王国軍の兵士になった。


 ところが運が悪く俺が闇魔法を使ったところを国の陰の者に見られてしまい、暗殺者になるように言われたのだ。


 俺は暗殺者など人殺しは嫌なので断ると陰の者は俺の所属する隊長に俺が闇魔法使いだとバラし、軍隊を追放された。


 仕事もなくなり貧民街で暮らしていたが兵士の時に知り合ったデニスさんの誘いでクラーク子爵領の農民として働いていたが、領主アラン様の功績は信じられないものだった。


 父親が大災害でなくなり15歳の若さで領主になったが、たった4年で大災害から復興させただけでなく、移住者を募集して住民を増やすなど常識外れで増やし。


 この国では初めて水道や下水道を作り、それに海水から塩を取り出す方法を考えるなどして領地は豊かになり住民の税金は普通は20%から50%なのに5%だ。


 父親の代からクラーク子爵領を奪い取ろうとして何回も攻めて来たモーガン伯爵を簡単に破り、モーガン伯爵領地をクラーク子爵領に組み入れてしまった。



 クラーク子爵領の住民がアラン様を神様の生まれ変わりだと言って崇めるのも当然だろう。


 あの変わり者で偏屈のデニスさんが惚れて仕える気持ちも分かる。



 そんなアラン様から呼び出しがあり闇魔法使いを差別せずに、俺に諜報部を作るので責任者になって欲しいと言われた。


 勿論喜んで承諾し、こんな俺を慕ってナル王都から来た同じ闇魔法使いのオーエンとユアナに伝書鳩と早馬での連絡員4人の7人で諜報部を作って、バーカビ国王と貴族たちを調べる為にナル王都に向かったのだ。



 クラーク子爵領からナル王都までの貴族が前国王派か現国王派か調べたが、同じ辺境地の男爵と伯爵がアラン様の傘下に入りたいと言っていたので連絡しておいた。


 ナル王都に着くまでの間に貴族は7人いたが、2人の貴族は現国王派で2人は前国王派で残り3人の貴族は中立派だ。俺には実際は有利な方につくために様子を見ているように思えた。




 ナル王都に着いて俺が居たとき時と違い余りに寂れていたのだ。


 貴族たちが街中で争い前国王派が地下組織を作り、現国王派の貴族たちの屋敷に火をつけて焼き払い焼け野原になっている場所もある。


 商店は略奪を恐れて閉めている所が多く住民は安全な地域に避難や移住をしたと聞いた。


 俺が仕えるアラン様のクラーク子爵領への移住者が一番多いらしい。


 ナル王都の住民は以前に比べて半分に減っているみたいだ。


 俺はオーエンとユアナの3人で危険を承知で王宮に忍び込み色々調べたが、バーカビ国王はどうやらノウタリ公爵に操られていて彼の言う通りに動いているみたいなのだ。


 この国の貴族たちは独自の軍隊を持っていて利で動いているが、前国王のカーシ・アーサー

はそんな貴族たちを上手に使っていた。


 それに比べてバーカビ国王は、貴族たちは国王の命令には絶対服従すると勘違いしているらしい。


 バーカビ国王の寝室に忍び込んで夫婦の話を聞いたが、やはり前国王を毒殺したのは権力欲の強い王妃ドクフナーに毒薬を渡され、カーシ国王を殺して自分が国王になるように言われたバーカビ国王だった。


 その事を娘のドクフナーに聞いたノウタリ公爵はカーシ国王の時は忠臣を装っていたが、アーサー王国を思いのままに出来るチャンスだと思い、バーカビ国王を脅し自分の操り人形にしたのだ。


 欲にかられたノウタリ公爵は北の僻地のクラーク子爵がお金になる塩を海水から取り出すことに成功していることを知り、自分の派閥に入れて塩を作る方法を知ろうとした。


 諜報員を潜入させて調べたが領主のアラン子爵は自分の派閥に入る気はなく、どうやら前国王の娘のオーロラを匿っているらしいのを知った。


 ノウタリ公爵はアラン子爵を謀反の罪で処罰することにして、バーカビ国王に王国軍の総大将にして北の僻地の成敗に向かわせたのが今回の戦いの真相だ。


 一番悪いのは権力欲に取りつかれたドクフナー王妃で毒婦と言うのに相応しいだろう。


 その父親のノウタリ公爵も同罪で真相を知ったアラン様がどんな出方をするのか分からないが、正義感の強いアラン様なら絶対許さないだろう。




 俺はその後、現国王派と前国王派の貴族たちを調べて全ての調査を終えてアラン様に報告する為にクラーク子爵領に戻ることにしたのだ。


 帰る直前にバーカビ国王が10日後にクラーク子爵を処罰するために王都を出発すると発表があった。


 バーカビ国王軍は5万人と言っているが、直接の王国軍は1万人で4万人は現国王派の貴族たちの兵士で、その中身は奴隷兵士が多くバーカビ国王の為に本気で戦うとは思われない。




 俺たちは急ぐので馬で帰ったが、バスター・キンソン侯爵領に関所が出来て北の僻地領に行くのを禁止していた。


 俺たち闇魔法を使う者にとっては関所などないも当然で難なく関所を通り抜けて北の僻地領に入って驚いた。


 何と谷底を抜けた所にまるで要塞みたいな砦が出来ていて既に沢山の兵士が戦いの準備をしていたのだ。



 アラン様も砦に来ていて俺を見つけたデニスさんが。


「イアンさん帰って来たのか。アラン様の所に案内しよう」


 アラン様の所に案内されて今まで調べたことを報告するとアラン様は。


「やはりそうか。ドリスさんの弟さんから聞いていたがバーカビ国王はノウタリ公爵とドクフナー親子の操り人形で元凶はノウタリ公爵親子みたいだな。イアンよく調べてくれてご苦労だった。情勢が詳しく分かって助かった。下がってゆっくり休んでくれ」


 アラン様は静かに何か考えている様子で何を考えているのか、思慮深いアラン様の心の内など俺には分かるはずもなかった。


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