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努力のやり方を間違えている世界で、成長効率チートを授かりました ~現代知識で最短成長、凡人が無双するまで~  作者: 七瀬ミコト


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第9話 教えただけなのに

朝、村の広場が騒がしかった。


「おい、見てくれ!」

「昨日より、ずっと楽だぞ!」


集まっていたのは、俺が直接教えた連中――ではない。

その横で、別の若者たちが走っている。


しかも。


「……姿勢、直ってるな」


腕の振り。

足の運び。

呼吸のリズム。


俺が言ったことを、そのまま真似している。


「誰に教わった?」


近くにいた若者に声をかけると、彼は少し照れたように答えた。


「いや……直接じゃない」

「昨日、あいつがやってるの見ててさ」


指差した先には、訓練を続けていた仲間の一人。


「聞いたら、“楽になるやり方がある”って」


……なるほど。


俺は、軽く額を押さえた。


「広まるの、早すぎだろ」


その日の訓練は、俺がいなくても回っていた。


合図を決める。

無理をしない。

疲れたら下がる。


誰も、倒れていない。


「……おかしいな」


古参の男が、腕を組んで呟く。


「お前が指示してないのに、動けてる」


「ええ」


俺は、複雑な気持ちで頷いた。


「一番危ない兆候です」


「危ない?」


「俺がいなくても回る」

「つまり……もう、止められない」


やがて、模擬戦が始まった。


俺は参加しない。

完全に、観察役だ。


二対三。

人数差がある。


――それでも。


「下がれ!」

「今、魔法!」


短い指示。

迷いのない動き。


結果は、二対三の側の勝利だった。


「……マジかよ」


誰かが、乾いた声で呟いた。


俺は、はっきり分かった。


これは、もう「個人の成長」じゃない。

集団が、成長している。


しかも、勝手に。


昼過ぎ、村の外れで一人になった時、行商人が声をかけてきた。


「やっぱり、あんただな」


振り向くと、例の行商人が立っている。


「今朝の訓練、見てたよ」

「誰が指揮してるわけでもないのに、妙に洗練されてた」


「……たまたまです」


そう返すと、彼は笑った。


「そう言うと思った」

「だが、たまたまで続くもんじゃない」


少し、声を落とす。


「冒険者ギルドはね」

「“強い個人”より、“強くなる仕組み”を欲しがる」


胸の奥が、静かに鳴った。


「今のあんたは……」

「歩く仕組みそのものだ」


……評価が、重すぎる。


「まだ、何者でもありません」


俺がそう言うと、行商人は肩をすくめた。


「なら、余計に危ない」

「目を付けられる」


誰に、とは言わなかった。

だが、分かる。


冒険者。

騎士団。

貴族。


この世界は、便利なものを放っておかない。


夕方。


古参の男が、焚き火の前で言った。


「……お前、早めに出ろ」


俺は、頷いた。


「このままいると、村が巻き込まれます」


「分かってるなら、いい」


男は、静かに笑った。


「だがな」

「お前が教えたものは、残る」


視線を向けると、若者たちが自然に集団で動いている。


無理をしない。

欲張らない。

判断が早い。


……確かに、残った。


「俺は、ただ言っただけです」


「それが、一番厄介なんだ」


夜。


納屋で、荷物をまとめる。


多くはない。

だが、十分だ。


「教えただけで、これか」


笑うしかない。


才能も、派手な力もない。

だが――


「やり方を変えるだけで、世界は動く」


この先、何が起きるか分からない。

だが、もう後戻りはできない。


外では、夜風が草を揺らしていた。


明日、村を出る。


――教えただけなのに。


それが、こんな結果を生むとは。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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