表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
努力のやり方を間違えている世界で、成長効率チートを授かりました ~現代知識で最短成長、凡人が無双するまで~  作者: 七瀬ミコト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/6

第1話 目覚めた世界は、努力が報われない世界だった

この物語は、いわゆる「才能無双」ではありません。

正しい努力の仕方を知っているかどうかで、

世界の見え方が変わる物語です。


バトル・成長・仲間との冒険を中心に、

ゆっくりですが確実に主人公が強くなっていきます。


お楽しみいただければ幸いです。


――気がつくと、空はやけに青かった。


病室の白い天井も、耳障りな機械音もない。

代わりに耳へ届くのは、草が風に揺れる音と、どこか遠くで鳴く鳥の声だけだ。


「……ここは?」


起き上がろうとして、すぐに後悔した。


体が、重い。


いや、正確には――力が入らない。

腕に意識を集中しても、まるで自分の体じゃないみたいに反応が遅れた。


「……は?」


視界の端に映った自分の手は、細く、頼りなく、見覚えのないものだった。

社会人として十年以上使ってきた手とは、まるで別物だ。


その瞬間、理解が追いつく。


「……転生、か」


口に出してみると、不思議とすんなり腑に落ちた。

過労続きの毎日。

深夜のオフィス。

気づけば、机に突っ伏したまま意識が途切れて――。


そこまで思い出して、ため息をつく。


「ずいぶん、ベタだな……」


だが、状況を嘆いても意味はない。

俺は、そういう人間だった。


まずは確認だ。

立てるか。歩けるか。周囲に危険はないか。


ゆっくりと体を起こし、地面に足をつける。

ふらつきながらも、なんとか立ち上がれた。


周囲は、小さな村の外れらしい。

木造の家が点在し、畑が広がっている。

文明レベルは――中世、ファンタジー系。剣と魔法の世界だろう。


「テンプレ、揃ってるな」


次の瞬間、不意に視界が揺れた。


頭の奥に、何かが流れ込んでくる感覚。


――スキル《適応成長アダプティブ・グロウ》が付与されました。


短い声。

機械的で、感情のない響き。


「……スキル?」


思わず呟く。

鑑定だの、無限魔力だの、最強チートだのを少し期待した自分がいた。


だが、続く説明は拍子抜けするほど地味だった。


――正しい方法で行った行動のみ、成長効率が大幅に上昇します。


「……それだけ?」


魔力増加も、剣術補正もない。

数値の可視化すらない。


ただ、「正しい方法でやれば、伸びやすい」というだけ。


「……ずいぶん、渋いな」


苦笑しながらも、なぜか心は落ち着いていた。


才能がない。

それは、前の人生でも嫌というほど味わってきた。


だが――


「方法なら、知ってる」


それだけで、十分だった。


まずは体の確認だ。


歩く。

十歩で息が上がる。

二十歩で、視界が暗くなる。


「体力、低すぎだろ……」


近くを通りかかった村人が、ちらりとこちらを見て鼻で笑った。


「おい、あんた大丈夫か? 風に吹かれたら倒れそうだぞ」


悪意はない。

ただの事実だ。


「……ええ、まあ」


苦笑で返しながら、内心で状況を整理する。


この体は、間違いなく非力だ。

筋力も持久力もない。

いきなり冒険に出たら、即死コース。


だが。


「最初から走る必要はない」


俺は深く息を吸い、ゆっくり吐いた。


前の世界で知っていた。

運動音痴でも、虚弱体質でも、体は「正しく使えば」変わる。


歩く。

姿勢を正す。

歩幅を一定に。

呼吸を乱さない。


たったそれだけで、さっきより楽に歩ける。


「……なるほど」


数分後、再び足を止めた時、胸の苦しさは明らかに減っていた。


成長した、というほどではない。

だが、確実に「昨日よりマシ」だ。


「これが……適応成長、か」


一歩ずつ。

無理をしない。

壊れない範囲で、負荷をかける。


知っている。

これは、正しい。


その夜、簡単な食事を分けてもらい、納屋で眠った。


体は疲れているはずなのに、頭は冴えていた。


「……才能の世界、か」


昼間に見た村の若者たち。

軽々と走り、簡単な魔法を使っていた。


きっと彼らは「才能がある」のだろう。

だから、疑問を持たない。

なぜできるのか、考えない。


「でも……」


暗闇の中で、天井を見つめる。


「才能がないからこそ、考える」


前の人生で、俺が身につけた唯一の武器だ。


正しい努力。

再現性。

改善。


それらは、この世界には存在しない。


――なら。


「俺が、持ち込むだけだ」


弱い体を、ゆっくりと握りしめる。


まだ何者でもない。

最強でも、天才でもない。


だが。


「この世界で一番、伸びる可能性があるのは――」


小さく、笑った。


「間違いなく、俺だ」


外では、夜風が草を揺らしていた。

静かな村の夜。


この場所から、すべてが始まる。

ここまでご覧いただきありがとうございます。


1日に3話を投稿予定です。


ブックマークをして、続きを楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ