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狐宮狐白の異界開拓記 のんびりしつつ便利な妖種ネットを駆使してお手軽物資調達で生活を豊かにしていきます  作者: Jまる


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第87話 ゴブリンで実力を見よう2

 気を取り直して、逃げてしまったゴブリンは放置して別のゴブリンを探すことにしたボクたち。

 しばらく探索した結果、別の石器ゴブリンを見つけることができた。


「お母様。また逃げてしまわないように抑えておくことはできますか?」


「できますよ」


 ゴブリンから視線を外さずにそう尋ねてくるルナに対してボクは軽く答えると、右手を上げる。


「足止めって、そんなスキルを持っているのか?」


 アルドさんは冷静に問いかけてくるのでボクは軽く頷き、「拘束しろ」とだけ口にする。

 するとゴブリン3体の影が足に纏廻り付き身動きを取れなくしてしまった。

 驚き焦るゴブリンはどうにか抜け出そうと藻掻いている。


「なんだれ……。闇魔法か何かか? 足止めの罠やしびれ薬なんかは知ってるが……」


「何も感じないあの魔法は何なんでしょう。まるで本当に影が自分の意思で拘束しているような……」


 アルドさんとエミリーさんは驚きつつそんな考察を口にする。

 エミリーさんの解釈は結構近いかもしれない。影に意思はないけど影の空間を操っています。


「お母様、ありがとうございます。では私も行きます」


 ルナはそうお礼を述べると少し前に出てクルスと同じような言葉を口にする。


「我らに立ち向かいし愚かな者たちよ。その罪を今贖うといい【シャドウナイト】」


 ルナの言葉により、目の前に漆黒の鎧を着た騎士が生み出される。

 その姿は人間の騎士そのものなのだが、存在感が圧倒的に強い。

 そのためかボクとクルス、ルナとミーティア以外の存在はその騎士に注目せざるおえなかった。


「【シャドウナイト】よ。我らが敵を討滅せよ」


 ルナの言葉に呼応するように漆黒の騎士は剣を振りかざす。

 そして手に持った抜き身の漆黒のロングソードを地面に突き刺す。

 直後、ゴブリン3体の足元から漆黒の剣が飛び出し全員を串刺しにした。

 ルナに比べれば地味なのだがこの騎士を出してもルナは余裕といった感じなので、大量に出せるものと推測できる。

 ほかにも大きな技を持ってそうだけどね。


「なんだこれ……」


 アルドさんは唖然とした様子で呟き、エミリーさんは役目を終えて消えていく漆黒の騎士をただひたすら見つめていた。


「ルナの騎士は大量に出せそうですね」


「はい、お母様。数十万体くらいなら簡単に出せます。とはいえ、クルスと戦った時はお互いじり貧になるだけだったんですが」


「懐かしくも悲しい話です」


「す、数十万体……」


 チートな娘を持って母親としては嬉しい限りですよ。


「いいですね~。軍勢はロマンがありますよね。私も軍勢は出せますが……。出します?」


「「それは絶対やめてください」」


 ミーティアも軍勢を出せるようだけど、なぜかクルスとルナは揃って止めてしまう。

 ボクは見てみたかったなぁ。


「そうですか……。残念です」


「ミーティアお姉様の軍勢は【終末の軍勢】とも【審判の軍勢】とも言われる【最後の軍勢】ですよね」


「【光輝の総司令】の呼び声と共に【神門の守護者】が大地に降り立ち【天門】と【地門】を開く時、世界は悪魔の軍勢と天使の軍勢により炎に焼かれる。【炎の巨人】が大地に降り立ち世界を燃やし、【大地の守護者】が大地を割る。浄化が終わった世界を【氷の守護者】が冷やし【生命の守護者】が新たな命を誕生させて再生させる。でしたっけ」


「懐かしいですね。私たち1型の光タイプはそういった役割を持ってますからね」


 ボクとアルドさん、エミリーさんを置いてけぼりにして同じ存在3人が話に花を咲かせている。

 ボク、その話聞いたことないです。父、秘密にしていましたね?


「なんか似たような話を神殿で聞いたことがあるな」


「創世神話だっけ。いやまさかね……」


 乾いた笑いを漏らす2人の目は若干虚ろだった。


「おや? 話しているうちにまたゴブリンが来たようです。様子を見ていますね。邪魔なので始末してきます」


 ミーティアはこそこそと様子をうかがっているゴブリンを目ざとく見つけ、すぐにその場から消えた。

 そしてそろ~っと進もうとするゴブリンの背後に現れるとその首を持っている剣で断ち切ってしまった。

 早業である。


「き、君たちの実力はもう十分わかったから帰っていいかな?」


「常識が分からなくなってきた……。私なんで教官してるんだっけ? もしかして私弱い?」


「お、落ち着いてください。大丈夫です。他の子がちょっと強いだけです」


「お母様。ちょっとと言ってる時点でフォローになっていません」


「止め刺すのは良くない」


 こうして一悶着はあれど初の実戦は終了した。

 教官たちの評価は『あいつらの心配をするより自分たちの心配をした方がいい』だった。

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