第81話 続々リフォーム
あんずちゃんと一緒に廃墟だった建物を見ている。リフォーム済みの場所がおおよそ7割、残り3割はまだ廃墟のままだ。
寝室こそまだないものの、ほぼ暮らせる程度までには完了しているので移住自体は問題ないだろう。ちなみにキッチンからは食料庫に続く通路があったのを確認。
「あとは寝室、お風呂、トイレ、このあたりがあれば一番ですけど……」
あんずちゃんにそう語りかけながら端末を操作すると、20万ポイントでそれらの設備が整うことがわかった。
具体的には奥側が寝室や執務室などのある館になるらしく、そこに大浴場、各部屋のお風呂、トイレなどが設置されるようだ。
残念ながらこの時点で20万ポイントは存在しない。館の修復で38万ポイントほど使い派遣錬金術師の契約で10万ポイントを使っているのだ。
「稼がねば……」
はい、お金がありません。つらっ……。
「こはくちゃんなんだか暗い顔してますけどどうしたんですか?」
「単純にリフォーム資金が尽きただけですよ。頭は豪華なのにお尻だけ惨めな感じになりました」
「あらら」
ちなみにあんずちゃんはポイントの稼ぎ方を知らないのでいいアイデアを考えてもらうことはできない。さて、ラミーさんたちにご相談しますかね。借金はしたくないのでできるだけ売上を上げる方向で前向きに……。
「そういえば今更ですけど個人用のあのテントって結構快適な個室のはずなんですよね。入居したくなるかは怪しいですね」
「このまま使われない建物になるかも?」
「ありえますね。かといって現地人を迎える気はないですし……」
他に彷徨ってたり困ってる異世界人がいたら優先して招待してあげるのもいいかもしれませんね。
「あれー? またきれいに大きくなってるー」
「にゃ!?」
アイリの声が聞こえた途端、あんずちゃんは物陰に身を隠してしまう。
可愛いからと構いすぎた結果避けられてしまったようだ。
「おぉ? これはこはくちゃんの匂い! それとあんずちゃんの匂いもする!!」
こっわっ。どれだけ鼻が良ければ扉で区切られた場所からボクたちの匂いを嗅ぎ分けられるというのだろう。
恐ろしすぎて泣きそうになってきた。現にあんずちゃんは物陰に隠れて震えている。
あんずちゃんにとってはここは地獄かもしれない。
「こーはーくちゃ〜ん、あーんーずーちゃ〜ん、どこ〜?」
まだ離れているはずなのに声がひどく近くから聞こえてくる気がする。底冷えするような地獄の底から響いてくるようなそんな呼び声だ。
「んん〜? こっちから匂いがするぞ〜?」
ここは黄泉平坂でしょうか。まるで追ってくる黄泉の鬼のよう。ちなみにボクたちは黄泉平坂にも行ったことはあるけど、基本的に暗くてジメジメしていて生暖かい、そんな場所だ。長居しないほうがいいですよというアドバイスをしておきます。
「ひぃぃぃぃ」
あんずちゃん、すっかり怯えてしまった様子。猫って警戒心強いもんね。
「はいはい。大丈夫ですよ。とりあえずボクが守ってあげますから」
「こはくちゃんさま~~~」
物陰から出てきてひっしとボクに抱き着くあんずちゃんをなだめながら2人でそそくさと移動。
アイリが来る前にあんずちゃんだけ領域に帰すことに成功した。
さてと。
「アイリ、ホラーみたいな展開はやめなさい」
「あ、こはくちゃんみっけ。あれれ? あんずちゃんは?」
「もう帰しましたよ。あんまり構いすぎると嫌われますよ?」
「うぅ、ごめんなさい」
ボクは田中さんとアイリとあんずちゃんの保護者みたいなものですからね、しっかり注意すべきところは注意します。
まぁアイリも反省しているようなので良しとしますか。
「ところでだいぶリフォームできちゃったんだね。なんかお城みたい」
「ですよね。ボクも想定外でした。おかげで最後のリフォーム代金が尽きたのでお風呂とかトイレとか執務室とかそういうのが足りないままですよ」
このままだとトイレだけ外とかなりかねないですしね。
「あー、そっかぁ。何か手伝えることってある?」
何やらアイリからお手伝いしたいという話が出たので遠慮なく頼むことにする。
「そうですね。魔法薬用の薬草摘んできてください。とりあえずはそれくらいですかね」
「はーい。この間薬草の巻物買ったんだよね。それで調べてみるね」
「お願いします」
アイリにもお手伝いをお願いしたし、あとはどうやってポイントに変換するかを考えないとですね。




