第76話 廃墟の館をリフォームしよう
あんずちゃんとポーションを作り続けた次の日、ボクは人間界に来ていた。
アイリと田中さんは相変わらず廃墟で農作業中だったので、ラミーさんから貰ったポイントを使って廃墟の館を修復することにした。
さっそく修復のために端末で情報を確認してみる。すると各箇所でポイントがたくさん必要だということが分かった。
「まずは玄関先ですか。玄関先で3万ポイントっと、とりあえずポチってみましょう」
最初はまず玄関からしか修復できないらしく、そこから開始となった。お値段は3万ポイントでまぁまぁお高い。
ちなみにこのポイント、1ポイント約10円くらいとのことだ。つまり玄関先だけで30万円というわけだ。
さっそく玄関の修復をポチった結果、画面内にタイマーが出現した。作業完了時間は1時間後らしい。
ちなみにその状態の玄関は朽ち果てたままだ。たぶん一気に修復されるんだと思うけど、不思議で仕方ない。
「とりあえずほかのことを少しやっておきますか」
そんなこんなで一旦領域へと戻ることにした。アイリたちと話すのはまたあとででも出来るしね。
「お帰りなさいませ、狐白様」
「ただいま、アクア」
領域へ戻るとアクアに出迎えられた。ちなみに今日のアクアはボクの身の回りのお世話をすることに専念するそうだ。
昨日なんかはエメラルドとあんずちゃんと一緒にひたすらポーションを作り続けていたし。
そんなエメラルドは今日は現身を使ってイストーの街に出向いている。
精霊王はそのままの姿で顕現すると世界に負荷を与えるらしく、お出かけ専用の現身を用意しているらしい。
アクアも買い物に行く際は現身を使っているようだ。
「エメラルドからの伝言なのですが、近々もっとたくさんのポーションの買い入れがありそうとのことです」
小屋に戻りながらアクアの話を聞いていると、アクアが新しい仕事の話を持ち出してきた。
どうやらエメラルドは新しい仕事の情報収集に向かっているようだ。
「なんでしょうね? ずいぶんな量必要なようですが」
気になることは多いもののとりあえず必要数量を作ることを優先すべきだろう。
「話を聞いた限りではダラムより東にある国が戦争のために多くのポーションを買い入れているようです。イストーからダラムへと大きな商会による輸送の流れがあるようですよ」
「戦争ですか。文明レベルからすると日常茶飯事といったところでしょうか」
中世から近世にかけて地球でもかなりの数の争いがあったと記憶している。そういう意味では戦争も小競り合いも本当はもっと起きてても良いのだろうけど……。平和を享受している身からすれば受け入れたくない日常ではある。
「国と国の威信をかけた争いというのはあまり多くはありませんよ。どちらかといえばあの国のあの領の砦を占拠したから取り返すためにあの国が攻めて来た。そんなものが多いようです。長い間占領してしまえば実質その占領者の領土みたいなものになってしまうようですし」
「ふむぅ」
訂正。戦争というよりは小競り合いのようなものらしい。どちらにしても回復魔法が使えたとしてもポーションはたくさん必要になるだろうから、魔力回復ポーションの方も潤沢に用意しておこう。
それから小一時間ほど作業小屋でポーションを作ると、再び人間界の廃墟の館まで戻ってきた。
「さて、修復状況はどうなって……。おぉ!?」
アイリたちはまだほかのことをしているようで近くにはいなかったので、玄関の修復状況を確認したところ驚くべき結果が出ていた。
なんと朽ち果てていた玄関が白色の大理石の柱や床でなどできれいにリフォームされていたのだ。
ただその後ろが相変わらずの廃墟なので、ちぐはぐ感がすごい。
「修復の続きを確認っと。玄関の修復は完了で、次は玄関ホール? 5万ポイントですか。むむ。全体を修復するのには相当なポイントがかかりそうですね。とりあえずポチりますか」
玄関ホールの修復完了時間は2時間と表示された。また2時間後に状況を確認すべきだろう。
それにしても今のところ玄関周りでおおよそ80万円ほど。全体修理は一体どのくらいかかるのだろうか……。
「屋敷なんて持つべきじゃないですね……」
まさに負動産となったわけだ。




