第72話 すごいぞ! ビルダーキューブ!!
さっそく金髪小悪魔のラミーさんの言う通りに建築物を複製してみることにした。
対象はノームさんたちが住んでいる石造りの小屋だ。さっそくガルドさんに資源の融通を交渉する。
「ガルドさん、簡単な建築物は複製できるようなんですが、複製してもいい建物ありますか? あと資材なんか頂けると」
「ん? 雇い主殿か。資材なら基本的に雇い主殿の物なんだから気にせず持っていけ。ただトパーズ様が物資の出入り記録付けてるから伝えておいてくれると助かる。それと簡単なのだったら一人暮らし用の家を複製するといい。ほれ、そこのだ」
ガルドさんが指さした建物は長方形の三角屋根の石造りの建物だった。だいたい2部屋分くらいの大きさだろうか。
「手前に玄関、台所、奥に部屋って簡単な構成だ。水浴び場とトイレも手前側にあるぞ」
「なるほど。じゃあ失礼してさっそく」
一人暮らし用の建物の横にビルダーキューブを設置してスイッチを入れる。
すると青い光が建物全体をスキャンするかのように発射され、しばらくすると元の静かな状態に戻る。
ラミーさんに言われた通りにキューブのウィンドウを開くと、部屋数と大きさが表示されていたのでそのまま閉じる。
「ガルドさん、ありがとうございます。ちょっと設置してみますね」
「おう。出来たら呼んでくれい。おーい、次の作業始めるぞ! 次は西側の住宅街の建築だ」
「おうよ、まかせとけ」
「簡単なのなら1日かそこらで建つからな」
ガルドさんはそれだけ口にするとほかのノームたちに指示を出しに行ってしまった。
現在領域の建築従事者はノームだけじゃなくて精霊もいる。そのためかなりの数の建物が建っている。
一応ボクが前に意見を出していた街計画に則っているようなので、あとでアクアたちに確認しておこうと思う。
さて、トパーズはっと。
「あ、主じゃん。どうしたの?」
倉庫前に移動するとトパーズがフレンドリーの話しかけてきた。
どうやら物資の管理をしているようで、手元には紙の束を持っている。
「金髪小悪魔のラミーさんから面白い道具を借りたので建築してみようかなと思って、素材を貰いに」
「ほぉ~、面白そうですね! 持ち出し数だけ書いてくれればいくらでも持っていっていいですよ。あたしも持ち運び手伝いますし」
「じゃあお願いしますね。とりあえず数量を確認してみましょう」
トパーズの許可ももらったところでビルダーキューブに保存された情報を一緒に確認してみる。
おりあえずボク1人では運べない量なのでトパーズにお手伝いを頼むことにした。
「今回は積み上げるための石材、モルタル、木の板、柱用の丸太、こんなところみたいですね」
普通に作るなら土台を作り、その後四隅に柱を立ててから間に石材や石レンガなどの壁材、間に塗るモルタル、屋根に丸太などの木材と板材で建てることになるだろう。もちろん屋根からの雨漏り防止のために藁などを使ってもいい。
「じゃあそのあたりをさっそく運びますか」
というわけで早速ボクの小屋の付近に建ててみよう。
「やってきましたボクの小屋付近の空き地。隣では大きな屋敷が絶賛建築中ですが!」
ボクの小屋から少し離れた場所ではメルディアたちが鋭意建築中だった。穴を掘り土台を作り柱を立て、その上を丸太で枠組みしてさらに床を敷いてという感じで少しずつ建てられている。どうやら地下も用意するみたいだ。
「メルディアたちはもはや職人ですね」
ボクのつぶやきが聞こえたのか、メルディアがこっちを見て手を振る。
「じゃあこっちも試してみますかね」
屋敷の反対側にビルダーキューブを置き、素材を隣に用意する。
すると青い光が放たれ、建築範囲を円形に覆う。そして普通の建築のように無人で勝手に穴が掘られたり柱が立てられたりしていく。
「うわ、資材がガンガンなくなっていきます……」
ビルダーキューブの横に置いてあった資材はあっという間に底をつく。
「追加お待たせー」
「ナイストパーズ」
少ししてトパーズが残りの材料を運んできたところで再び自動建築が再開された。
この道具の面白いところはどういうわけか石を置いたらモルタルを塗りまた石を置くという作業を人の手で行うかのようにやってしまうところだろう。でもすごい速さであっという間に石造りの建物が出来上がってしまった。
どうやらこのビルダーキューブは作業手順をインプットされているようだ。
「まるで職人じゃないですか」
「驚きの早さですね。作りもしっかりしていますし……」
「狐さ~ん、キューブどうですか~?」
トパーズと成果を確認しているとラミーさんがやってきた。
「圧倒的に早いです。これすごいですね」
「でしょでしょ? でも複雑な物は注意してくださいね~? シンプルな物には強いんですが凝った建築には弱いんですよ。その場合手順の設定を変えたりする必要があるので~、まぁ後でマニュアルあげますね」
「ありがとうございます」
「シンプルな物だけといっても十分ですね~」
あっという間に出来上がった石造りの家を見ながらトパーズがそう口にした。
うん、これならテント村がなくなる日も近いですね。




