第69話 星光インゴット
星光インゴットを焼成している最中は若干暇なのでぼーっとしていると部屋の扉が開き誰かが入ってくるのが見えた。赤い髪のスラリとした背格好の女性きれいな女性だ。その女性は部屋を見回すとこちらで視線を止め、人懐こそうな笑顔をしながら近づいてくる。
「お、ここで合ってたか。おーいミーティア来たぜ」
「【スール】、やはり帰ってきていましたか」
「んだよ、帰ってきたら悪いってのかよ」
「いえいえ。そうじゃないですが、今日はマスターがいらっしゃいますので驚かせないか心配に」
「だから来たんじゃねえかよ。よっ、オレは【スール】、マスターの頼れる従者だぜ? ちなみに属性は火だ。光のミーティアとは相性の良い属性でもあるぜ。よろしくな」
「あっ、はい。よろしくお願いします。【狐宮狐白】です」
とても女性らしいスタイルをしているのに性格は気さくな姉御という感じのスール。
髪の色と性格が属性にマッチしているようでなんだかとても眩しく感じられた。
「マスター。スールは初期型である【スルト】型の派生タイプなのであまり地上の戦場には向きませんよ」
「そうなんですか? 戦斧とか持っててすごく強くて頼れそうなんですけど」
スールは背中まで伸ばした赤い髪が特徴の身長高めのスタイルの良い美人さんだ。
一定数の男性なら確実にものにしたいと思うような女性だろう。そんなスールさんの武器は黒い戦斧だ。
身につけている衣服は朱色を貴重としているようで赤々としているようにも見える。
もう見た目が本当に頼れる姉御という感じなのだ。
「スールを戦場に出すまではいいのですが、一度スールが能力を開放すると周囲を炎とマグマの海に変えてしまうんです。まるで世界の終わりのような光景ですよ? そらも赤く染まり上がりますし」
「ふむ……」
ミーティアの言葉を聞き想像してみる。戦場に舞い降りた美しき女戦士。見た目には凄くインパクトがあるだろう。それこそ戦乙女のように。そしてその後に現れる災厄にも似た超常現象。
「だめそうですね」
想像してみた結果、だめだということが分かりました。戦後の地上の修復が大変そう。
「大丈夫だって、ちょっと熱くなることがあるくらいだからよ」
「そのちょっとが壊滅的なんです。スールは執行形態が一番最適ですね」
「まぁそうだなぁ。あ、マスター。一応言っておくけどオレは赤い炎ってだけで原型のスルト型は黒い炎だから一応注意してな」
「それぞれオリジナリティを出すように白い炎だったり青い炎だったり色々とありますよね」
「まぁ炎ならではってとこだな」
仲良さそうに話す2人。ボクにはわからない2人だけの時間があるようだ。よきよき。
「うへぇ~……。まさか子狐ちゃんがこんなにすごい人たちのマスターだったなんて……」
「お父様の娘ってだけですけどね。元々はお父様の部下ですよ」
凛々しいお姉さんだった更紗さんが若干引き気味だ。ボクにはわからない何かに圧倒されているのだと思うけど。
そんなことを話しているうちに星光炉が稼働を停止した。
「出来上がったようですね。見てください、この白い輝き。これが星光インゴットです。星の光を1つに集めたような輝き、素晴らしいですよね」
ミーティアが星光炉から取り出したインゴットは白く輝く光の棒そのものだった。
一見温度が高そうだけどそうではないらしく、強い力を秘めているからとのことだ。
「星光インゴットなぁ。オレたちは作れねえからなぁ。マスターやグランドマスターたちだけの特権だよなぁ」
「そうですね。これがないと全盛期のような出力も耐久力も獲得できませんし」
どうやらこの星光インゴットは武器や防具などにも使用されていたらしい。
まぁボクはいずれこれで錬金釜を作るつもりなんですけどね。そりゃもうすっごいチートですよチート。
「ではこれを器の形に成型してっと」
ミーティアはしばらく作業し、更紗さんが希望した形に成型して手渡した。
「ありがとうございます! これがあればラビットシティも問題なく運営できます!」
「それはよかったです。ラビットシティといえば私たちもたまに立ち寄るんですよね。ゲートを使ったりはしないのでゲート前のことはわかりませんけど」
「あのきらびやかな街か。賑やかでいいところだよな! 酒も旨いし!」
「ふふ。いつでもお立ち寄りください。サービスしますから」
ラビットシティの話題が出たせいか、更紗さんは2人に少し慣れたようだった。
あとはこれを持って帰ってもらえば依頼完了ですね。




