第68話 宇宙だ! 宇宙です! 宇宙だよ!!
ミーティアに案内されてやって来た場所は大きなガラスで覆われた外が見える部屋だった。
わーお、眼下に月っぽい衛生と遠くに青い惑星、更に遠くに光り輝く恒星が見えますよ。
って、めっちゃくちゃ宇宙じゃないですかっ!!
「あはは。驚いていただけましたか? あの遠くに見えるのが地球です。それとあっちで輝いている恒星がこの太陽系の主系列星の太陽ですね。それで眼下に見えるのは月です。ここは月の裏側なんですよ」
「へ、へぇ〜……」
「すごいですね。ラビットシティでは外部から宇宙船がやってきますけど実際に見たのは初めてです」
「ですよねぇ。ボクも宇宙には初めて来ました。でも宇宙ってあれですよね? ふわ〜って浮く感じの」
「あぁ。無重力状態ですね。人類が体験するのは惑星周りでの出来事ですけど、あれは常に落ち続けている状態なんですよ。天体の重力が及ばない場所も無重力状態になりますけど、ここは月に近いですね。艦内は重力制御していますので無重力を感じませんよ」
「ほへぇ〜……」
なんとなく現実味がないというかなんというか。やっぱふわって浮いてなんぼみたいなところあるじゃないですか。
「ふふ。さてマスター。眼の前にある機械が星光炉です。自動的に星光を収集してインゴットに精錬する装置ですね。まずは星水を星光インゴットにしてしまいましょう」
「あ、はーい」
というわけでミーティアに言われるがままに持ってきた星水の入った水筒を取り出し、ミーティアに引き渡す。
ミーティアは水筒の中身を全自動の星光炉に投入。しばらくすると鈴の音のような音が鳴り響き、星光炉がまばゆい白い光を放ちだした。
「さて、出来上がるまでに少しお時間がかかりますので初級の星光炉の作成方法についておさらいしましょうか」
「お願いします」
更紗さんは無言でボクのそばに近寄ると一緒にミーティアの話二耳を傾けている。
「いちばん簡単な方法はマスターがご自身のお身体で集めた星の光の粉を粘土に混ぜて焼成することです。こうすることで星光レンガが出来上がりますので、出来た濃度の低い星光レンガで星光レンガの炉を作り、また同じように粘土を焼きます。何度か繰り返していくと星光の濃度を上がっていきます。完全に上げきると白いレンガになりますので、それを組み上げて中心に陽光からできた火種を設置します。これで簡易的な星光炉が出来上がりますので後ほど一緒に作りましょう」
作り方を再度確認すると、星光レンガの元になる粘土を作り焼成。その後にそのレンガを使い炉を作りまた同じように粘土を作り焼成。これを繰り返すとどうやら星光を混ぜた粘土の星光の量が増すようで、やがて白い粘土に変わるのだとか。この状態で星水を鉄に混ぜ、型に入れ焼き上げると星光鉄インゴットができるという仕組みだ。
その後、星光鉄インゴットで型を作り、星水を星光炉で焼成すると星光インゴットになる。
星水は水のようで水じゃない不思議な物なので、鉄に混ぜても特に問題はない。
「そうやって作るんですね。でも私たちでは星光レンガを作る時点でだめかもしれませんね」
「まぁそうかもしれませんね。ボクやお父様は星の光に手を翳すとそこから輝く粉が零れてきますので、それを利用して色々な物を作ったりしますけどね」
そのあたりはボクたちの得意な分野かもしれない。妖種としての力や術や薬の知識、父の血筋としての特殊素材の作成方法や素材の調達方法。これらはとても大事な物だからだ。
もちろんボクの親戚にも同じような子がいるので、その子も使えるわけだけどね。
「焼きあがるまではもう少しかかりそうですね。うーん、さてどうしましょうか」
ミーティアは説明を終えると周囲をきょろきょろと見まわした。現在いる場所は一種の工作室のため、工作用の設備がたくさん置いてある。
とはいえ、特に今作りたいものがあるわけではないので星水以外は特に準備をしていない。
「そういえば私の同僚がそろそろ戻ってくるころ合いですね。後程マスターにご挨拶に向かわせます。彼女たちも同じくマスターの従者ですので」
「そういえばまだ数人いるって聞いてますね。ミーティアしか知りませんけど」
「まぁ私はお世話係も含まれていますので。身長も近いですし……」
ミーティアは若干自虐気味にそう話す。
ということは他の子はボクよりも大きいということですね。
一体どんな人たちなんだろうか。




