第65話 ラビットシティと狐白
星兎族のお姉さんに案内された場所は劇場の一角だった。そこには色々な年齢の星兎族の女性たちが集まっている。
下は10行くかどうかで15から20の子が多く、30代以上はあまりいなかった。
ちなみに20歳未満の子はバニーガールのような衣装は着ておらず、暖かそうな厚手の服を着ている。
「ここは子供たちを養ってあげる施設でもあるの。劇場といっても変なショーはしないわよ? この子たちの適正はそのうち授業を通して見ていくことになるしね」
今集まっている子たちは女性ばかりだ。理由を聞くと星兎族は女性だけしか生まれない種族なんだそう。
基本的に長寿な傾向にあるので、すぐに子供が必要かと言われるとそうでもないようだ。子供が欲しい場合は外の人から種を貰って出産することになるんだとか。ちなみに全員美女美少女である。
「家族単位というよりは種族単位、街単位で育てる感じですか?」
「そうそう。街の治安は良いほうだけど時折子供たちを攫おうとする人がいたりするからね。治安維持担当の子たちもいるにはいるけど……」
見目が良いだけあって抵抗できない子供を攫おうとする人がいるようだ。たしかに髪は奇麗だし兎耳は可愛いし目は大きくてパッチリしてるし顔は整ってるしで引く手あまたなのは間違いないだろう。
「見た目が良いのも大変ですね」
「あら? 子狐ちゃんだってとっても可愛らしいわよ? 星兎族にもひけを取らないくらいだと思うし」
「ありがとうございます。そういえばウーヌスという人はここで何を買っていったんですか?」
気になっていたことの1つ。ウーヌスさんは何を手に入れどこに向かったのかを尋ねることにした。
上手くいけばあっちの世界で起きている異変を手早く解決できるかもしれないし。
「【星光結晶】を定期的に購入しているわね。今はあのゲートではなく別のゲートを使っているみたいよ」
「あれ?【星光結晶】ってここでも手に入るんですか?」
「むしろ特定の人たち以外はここでしか【星光結晶】を手に入れることはできないわよ? ここは星の光の集まる地でもあるしね。伊達に星兎族なんて名乗ってないわ」
星兎族恐るべし。まさかボクたちくらいしか手に入れられないと思っていた結晶を星兎族も作れるとは。
「とはいえ、星の祭壇で光を集めて加工して結晶にするくらいかな。生身では作れないしね。ここで【星光結晶】を買う人は専用の容器に入れて持ち帰るしか扱う方法もないし。私たちは一応触れるけど」
「へぇ~。そうなんですね。それで【星光結晶】の主な使い方って何なんです? ボクが知ってる限りでは粉末を素材に混ぜたり、結晶からエネルギーを抽出したりするくらいですけど」
【星光結晶】や【陽光結晶】、【月光結晶】や【ネブラクリスタル】はそれぞれ色々な用途に使うが、基本的には強力なエネルギー物質だ。父がクリスマスプレゼントにくれたそれら結晶は今後領域のエネルギー供給に用いる予定だ。
まぁネブラクリスタルだけで惑星規模のエネルギー問題が解決できるわけなんだけど。そのためにはエネルギー生成施設が必要になるわけだけど、残念ながら素材が足りないので建設することができない。
「私たちは街のエネルギー供給や錬金術、調薬なんかにも用いているけどほかの人たちはそれで武器を作ったり宇宙船のエネルギーにしたりしているようね」
「なるほど。宇宙船のエネルギーにも使えるんですね……。ん? ということはウーヌスさんはそれだけのエネルギーを必要とするものを作っていると」
「そうなるかしらね。でも星光結晶のエネルギーを使い切るには相当な期間が必要よ? 現に最近こっちに来たんだって10年くらい前のようだし。向こうで何をやってるかなんて私たちにはわからないしね。ゲート所有者以外はこっちからじゃアクセスできないもの」
どうやらウーヌスさんは最低でも10年単位で結晶を買いに来ているらしい。
ウーヌスさんの出自を考えるなら、本来は自ら作ることもできるはず。でもそれをしないということはできない場所にいる。
星光結晶は星の光がなければ作ることはできない。つまり、ウーヌスさんはあの世界のどこかの地下にいるということになる。
「なるほど。色々と見えてきました。居場所がわかりそうです」
「そう? ならよかったわ」
ウーヌスさんがいそうな場所。そのどこかにある地下はおそらく過去の都市の廃墟かダンジョン的な何かなのだろう。
何の関係もない場所の地下にいるとは思えないし。
「ふふ。問題が解決したのなら街をもっと見ていかない? 実は星兎族は狐と縁があるのよ」
「そうなんですか? 狐ねぇ」
兎と狐の関係。一体どんな関係があるのだろうか。
この街はまだまだ謎がたくさんありそうだ。




