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狐宮狐白の異界開拓記 のんびりしつつ便利な妖種ネットを駆使してお手軽物資調達で生活を豊かにしていきます  作者: Jまる


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第57話 父と狐白

 途中色々な物を見ながら自宅へ戻ると、鞄から鍵を出して鍵穴に挿入。そのまま回して鍵を開けようとしたところ空回りしたので鍵が開いていることが分かった。

 母でもいるのだろうか? そう思い扉を開け、「ただいま戻りました」と声を掛ける。

 すると出てきたのは優しい風貌の顔の良い長身の男性だった。


「やぁお帰り。狐白。それとミーティアも」


「あれ? お父様? 今の時間帯は神社なんじゃ?」


 そう、そこにいたのはボクの父【詠心】だった。

 父は顔立ちもよく優し気で、かつ青みがかかった銀色の髪をしているのが特徴だ。

 これはボクも従姉妹も似たような髪色なので父たちの血筋によるところが大きいようだ。

 なお、普段は黒髪に変化させている。


「うん。狐白たちを出迎えたくてね。この前狐白の領域に行ったけどほかの世界に行っていて会えなかったからね」


「あはは。ごめんなさい」


 基本的にお父様は優しいし穏やかな性格をしている。ちなみに母も似たような性格をしているせいか、ボクはあまり怒られたことがない。ただし母の母親、つまりボクの祖母は代わりにボクを叱ってくれていた。

 祖母曰く、「葛葉は叱るのには向いていないが別の方向で芯が強く心に残る諭し方をする」とのこと。


「構わないさ。葛葉も少しずつ育っていく狐白の領域を見て喜んでいたよ。あっちの世界の精霊たちとうまく心を通わせられたようだし移住も実現しているみたいだしね」


 父はボクの領域を見てどう感じたのだろうか。


「開発が遅いのはボクが寄り道しているせいですけどね……」


「いや。たしかにもっとさくさくと開発が進めば訪れる人も楽しめるだろうし、テンポよく進めば訪れる人も増えるだろう。ただそれにはどこかしらかの世界に負担をかけるかもしれない。特にあの世界はだいぶボロボロになっているからね。向こうにただ1人残る私たちの仲間がどうにか修復しようとしているけど、如何せん、世界にダメージを与え続ける悪い国がある。それをどうにかしない限りは【決断】をしなきゃならないだろう」


 父の口から出た【決断】という言葉。これは非常に重い意味を持っているようだ。

 現に、父の顔は少し悲しげだ。


「【決断】とは?」


「本来、あの世界はあの世界の住人たちのためにある。なので私たちが作ったとしてもどうこういうべきではない。でもね、あの世界もたくさんの世界に繋がる1つの世界なんだ。そこが揺れ動き続け不安定になり続ければほかの世界が歪む。現に日本国内の行方不明者の数も少しずつ増えている。このままでは私たちも高天原を始め、ほかの神界の神々を抑えることは難しくなっていくんだ。最悪、この世界を守るためにあの世界を神々が直接滅ぼしにいくかもしれない。だから早めに決断をしなければならないんだ」


 たしかに父の言う通りあの世界には日本人の迷い人が増えている。他の国の人もいるかもしれない。

 でも父が考える決断とはどんなのなのだろうか。


「お父様はどういう方向で考えているのですか?」


「私かい? 手っ取り早いのは例の国を潰して見せしめのようにすることだろう。一時的に世界に大きな影響と被害を与えるけど緩やかでも確実に回復できるだろう。もちろん後続の国が同じようなことをしなければだ。次に何もしないという選択肢もある。ただし、【世界の枝】からは切り離される」


「【世界の枝」?」


 確かうろ覚えだけど高天原の授業で習った覚えがある。

 世界は上下に分かれた層構造になっていて、そこに実がなるように細い管のようなものが伸びているとか。


「具体的にはね。各宇宙はそれぞれ層状の境界の上に乗っているんだ。その層状の境界からは世界がどこかに飛んでいかないようにつなぎとめた上、存在するのに必要な力を常に供給し続けている。これを世界の枝と呼んでいるんだ。これから切り離されることで切り離された世界は独立し、どんな実験をしてもほかの世界には影響を与えなくなる。でもね、切り離された世界はエネルギーを徐々に失い、緩やかに死に向かっていくんだ」


 父の言う世界の枝から切り離す行為。それは真綿で首を締めるように緩やかに死を与える宣言だった。


「まぁすぐにではないからね。精霊たちとも話し合って狐白なりの手段を模索してみてほしい。私は、私たちは神でもなければ死神でもないのだから」

 

 父は困ったような顔をしていた。そしてボクはミーティアの方を見る。

 ミーティアは俯いて、手をぎゅっと握りしめていた。


「さ、もうすぐ葛葉も帰ってくる。私は夜に一度神社に戻るからゆっくり休むといい。ミーティア。私は非常な命令はもう下さない。もう銀河戦争は終わったのだから。だから安心してほしい。あの世界で生まれた双子も同じだよ」


「はい……」


 銀河戦争。父の元々いた世界で起きた非常に大規模な戦争らしい。

 ミーティアたちは元々そこで戦う戦闘用の人工生命体だったのだとか。


「さ、行こうか」


 父はそう言うとずっといた玄関先からリビングへと歩き出した。

 ボクたちも当然ついていく。

 でもその時、不意に玄関先のチャイムが鳴った。

 

「来客? お母様かな?」


 そう思い扉を開けてチャイムを鳴らした人物を確認する。

 するとそこには先ほど見た帽子を被った猫又の少女がいたのだ。


「えっと、どちらさまですか?」


 すると猫又少女はボクの顔を見てこう言った。


「あたしのこと、見えてますよね? 見ましたよね? 気が付きましたよね?」


 この問いかけ方、怪異かな?

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