第5話 精霊契約
2つの卵を持って一旦自分の領域に戻ってきた。
一応日本の自宅と同じような構造を持つ部屋があるのでそちらに卵を一時的に置いておく。
倒れないようにしつつ、余っている座布団の上に乗っける形にした。
座布団の上に卵が乗っている光景はちょっと奇妙だけどね?
「しっかし、中身は一体どうなっているのでしょうね。古代兵器ということですが……」
こういった古代兵器に詳しいのはボクの父だけだろう。
父は母と同じ妖狐の類なのだがもっと別の上の世界からやってきたそうだ。
今は日本に住んでいるがたまに旅行感覚でボクたちをその世界に連れて行ってくれることがある。
そのせいかはわからないけど、ボクは空間を扱ったり繋げたりするのが得意だったりする。
当然封印や封印の破壊、呪いの解除など色々なことに応用が利く。
まぁ、空間拡張バッグみたいなのはまだ作ったことがないのだけど。
「とりあえずこの辺りの空間は固定しておきましょうか。揺れても割れないように」
卵の保護はこれでばっちりだろう。
それにしても、この卵からはどんな子たちが生まれてくるだろうか。
生まれるような様子もないし、しばらくは大丈夫だろう。
先に精霊たちを雇い入れたて、それから孵化の方法を考えてみるのもいいかもしれない。
いったん卵を保管したボクは、再び先ほどの異世界へと舞い戻った。
とりあえず予定していた雇用を済ませるために。
▼惑星ウル 精霊の森 封印の祭壇
封印の祭壇にはもう卵はない。
水晶の目だった物は今やあの気持ちの悪い視線を発してはおらず台座にぽつんと取り残されていた。
なのでまずは水晶の目を回収。
祭壇については一旦このままにしておこうかな。
とりあえずこの付近に建物を建てるのもありかもしれないしね。
「あれ? 気配が増えた?」
今日起きた出来事を思い返しながら今後の予定を立てていると、ボクの周囲の森に何者かの気配が増えていることが分かった。
その中の2つがこちらにまっすぐやってくるのを感じる。
気配の正体を探るためじっと待っているとそれは現れた。
水色の光る球と桃色の光る球だ。
それはまるで魂か何かのようでもある。
「ふむ。気配の正体は精霊でしたか。これは下級精霊ですね」
二つの球の正体の正体は精霊だったのだ。
となれば目的は1つ。
「精霊さん、開拓のお手伝いをお願いしたいのですが、ボクと契約してくれたりしませんか?」
ボクはさっそく周囲をぐるぐる回って飛び回る精霊にお願いする。
すると精霊は飛び回るのをやめ、ボクの手元までゆっくりと漂ってきたのだ。
「では開拓に必要な身体を得る力をあげますので、問題がなければ受け取ってください」
身体の無い精霊では付喪神になることはできても人間のように行動することはできない。
通常自力で人型になる精霊は中級以上と言われている。
それだけ多くの力を集めて成長したという証拠でもあるのだ。
ボクは契約用の力を捻出して手のひらの上にわかりやすく出してみせる。
すると桃色の下級精霊がその力に近づくと数度触れ、やがてそれを取り込んでいった。
力を取り込んだ桃色の下級精霊はだんだんと球状から人間の子供のような形になっていく。
そしておおよそ130cmくらいの大きさになったところで桃色の下級精霊は光の人間状の姿から色の付いた普通の人間の姿に変わった。
「力を分けてくださりありがとうございます、主様。契約の証に名前を付けていただきたいです」
桃色の下級精霊は桃色髪の可愛らしい小学生くらいの少女の姿に変わったのだ。
そんな精霊はボクに名づけを求めてくる。
これはいわゆる契約の証というもので、名前のない怪異を従者にした場合も同様の現象が発生する。
自己確立のためというわけ。
「では少々安直ですが、桃色髪なので桃花にします」
すると桃花は嬉しそうな笑顔になる。
「はい、主様。私は今日から桃花です! よろしくお願いします」
「うん、よろしくです」
こうしてボクの元に一人の精霊が加わった。
なお、ボクの身長は140cmしかないので桃花とは10cmほどしか差がなかったりする。
「じゃあもう1人ですね。さっそく始めましょうか」
そしてボクはもう1つの水色の下級精霊に手のひらを向けるのだった。




