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狐宮狐白の異界開拓記 のんびりしつつ便利な妖種ネットを駆使してお手軽物資調達で生活を豊かにしていきます  作者: Jまる


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第4話 天使の卵と魔王の卵

 拠点から離れて森の中を歩き始める。

 周囲は不思議と音がせず動物の声すら聞こえない状況だ。

 ただ時折風が吹き、木々を揺らす音だけが聞こえてくる。

 それが却って奇妙さを演出していた。


「周囲は木々以外は特になし。でも、どう見ても進行方向の景色は今までと変わらない気がする。幻術? それとも結界? とりあえずもう少し歩いてから対応を決めようかな」


 森を進めば進むほど不快感と違和感が強くなっていくのだ。

 例えるなら、進むほどに何かが体にまとわりつくように感じ、進むほどに正しくないとボクの中で警鐘が響くのだ。


「もしかして、ボクが降り立った場所が祭壇のある場所で、今は離れようとしているのかな?」


 そう考えると降り立った場所が気になってくる。

 ちょっと戻ってみようかな。


 拠点までの位置はボクがわかっているので特に困ることはない。

 拠点の方向に進むにつれて違和感や不快感は薄まっていくが、不思議な力と気持ちの悪い視線は強くなっていく。

 やはり拠点付近に何かあるように感じる。


「この視線はなんだろう? でも誰かがいるというわけじゃないんですよね~」


 未だに視線の正体は不明だけど誰かがいるならわかるはず。

 それにもかかわらず発見できないということは、ボクがいる場所からずれた場所に視線の主がいるはずだ。

 となればやることはただ一つ。


「【破封】【破呪】」


 お気に入りの錫杖を取り出し地面を突き、ちょうどよく同封されていた呪符を使用して封印破壊と呪い破壊の言葉を口にする。

 簡潔ではあるがこれだけで呪符が反応して力に応じた効果を発揮してくれる。

 それにしても都合良く今必要な呪符が入っているなんて。

 もしかして誰かに仕組まれたのだろうか?

 そんなことを考えていると、【破封】の呪符が光を放ってはじけ飛び目の前の空間が揺らぐ。

 そして【破呪】の呪符が燃えると同時にそこにあったものが姿を現した。

 祭壇だ。

 

「祭壇ですか。空間を捻じ曲げて隠ぺいするなんて、一体何を隠しているのですかね」


 目の前に現れた祭壇には白と黒の大きな2つの卵が安置されている。

 そしてその真ん中にはこちらを見つめる水晶で作られたの目が安置されていた。

 安置されている水晶の目からは相も変わらず不快な視線を感じる。

 不快な視線の正体はこれだったようだ。


「この水晶の目はなんなんでしょう。それにこの2つの卵は? うーん、分からないことが多すぎますね。とりあえず水晶の目に触れてみますか」


 両脇にある卵に触れる前に、ボクは真ん中の水晶の目に触れてみることにした。

 水晶の目に触れた瞬間、水晶の目が一瞬輝き、謎の純白の翼の生えた女性の映像が映し出された。

 女性はこちらを見て微笑むとゆっくりと口を開く。


『監視者の目の視線に気が付きこの祭壇を見つけた者よ。あなたが何者なのかはわからない。ただ、監視者の目が卵を再び隠さず、私の言葉を伝えているのなら、あなたはきっと悪い存在ではないのだろう。ゆえに祭壇を見つけ出したあなたに私は、私たちは託したい。白き天使の卵と黒き魔王の卵を。これは古の時代、この世界を滅ぼすに至った2つの兵器の卵なのだ。これは神をも作りだした私たちが生んでしまった古代の過ち。私たちの愚かな戦争のために作り出された哀れな魂なのだ。私は、私たちはあなたに託す。この封印された無垢なる魂の卵を。できることなら、この世界より持ち去ってほしい。もはや肉体の存在しない私たちにはできぬことだから。そしてもし、再び卵が孵り、善良なる魂が生まれたときは、どうか愛してあげてほしい。私たちにはできなかったことだから』


 その言葉を最後に女性の映像は途絶えた。

 それと同時に不快な視線が消え去り、この付近を覆っていた不思議な力が消え去ったのを感じた。


「ふむ。卵、ですか。偶然にしては出来すぎている気もしますね。ともあれ、回収しておきましょうか。どういう結果になるにしろ、人間も文明も存在しないボクの領域であればどうにかなりますからね」


 ボクはそう考えると、2つの卵を回収することにした。

 とりあえず一旦帰りますか。

 お手伝いの精霊探しは後で再開することにしましょう。

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