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狐宮狐白の異界開拓記 のんびりしつつ便利な妖種ネットを駆使してお手軽物資調達で生活を豊かにしていきます  作者: Jまる


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第38話 迷い人と狐白

 クルスとルナとミーティアの身分証を神殿から受け取り、色々な素材を購入。その穂森の廃墟前へと戻ってきたボクは意外な人物を見つけることになった。

 イストーの街で見かけた迷い人2人組だ。


 どうしてこの2人と一緒なのか気になったボクはみんなに理由を聞くことにした。

 その結果わかったことは、5人で戦闘訓練をしているちょうどその時、迷い人2人がいた場所が悪かったのかタイミングが悪かったのか、一角兎という獣の狩猟依頼を受けたもののまったく見かけずに困り果て、森の浅瀬ではなく中層まで入り込んでしまったらしい。

 

 その結果、一角猪に遭遇、応戦するも手も足も出ずに敗走したところでミリアたちに救助されたとのことだ。

 その遠因がミリアたちの一角猪狩猟訓練にあるようだった。

 どうやら5人の戦闘訓練は弱い種の動物などに影響を与え、その場から遠ざけてしまっていたらしい。

 結果として他の人が獲物を追って中層まで入ることになってしまったのだとか。

 ちなみに一角兎という兎は普段は森の浅瀬に生息しているらしい。

 基本は臆病で危険が迫ると反撃してくるんだとか。


「なるほど。よくわかりました。ご迷惑をおかけしました」


 ボクが頭を下げると迷い人の男性が「いえ、そのようなことは」といっておろおろしていた。

 もう一人の迷い人の女性はというと、なにやらボクの方をじっと見つめている。


「えっと、何か?」


「あ、いえ。本当にケモミミが生えてるんだな〜と改めて実感しただけです。街でも見かけましたけど、じっくり見る機会などなくて……」


 どうやら迷い人の女性はケモミミが珍しいようだった。

 一応日本にもいるんですよ? 見えないようにしているだけで。例えば道端でしゃがむ帽子を被った少女とかね。

 とはいえ、そのことに気が付いていればこんな風に珍しがることもないわけで。


「とりあえず自己紹介で。ボクは狐白といいます。貴方方は?」


 先手自己紹介。これで相手に名乗る機会を与える。


「私は谷口愛莉たにぐちあいりです。アイリと呼んでいただければ」


「私は田中秀一たなかしゅういちと申します。しがないサラリーマンです」


 2人はそれぞれ田中さんとアイリさんというらしい。

 少なくとも田中さんの職業だけは判明したけど、若そうなアイリさんはおいくつなのだろうか。

 見たところ高校生くらいなのだけど。


「えっと、信じてはもらえないかもしれませんけど、私たち異世界から来ちゃったんです」


「本当はこんな話を気軽にしていいわけではないのですが、頼るすべもなく……」


「なるほどです。となるとまずはお金と泊まれる場所が必要ですよね」


 やはり2人は迷い人だったらしい。

 となると、やはり帰りたいのだろう。


「はい。とはいえ路銀はほとんどなくて」


「私も高校生なので持っている物といえばスマホと多少のお菓子くらいで……」

 

 どうやら2人は相談しつつも途方に暮れていたようだ。

 さて、どうしたものか。


「ボクもよくは知らないですが、異世界から来た人が集まっている街があるそうです。まずはそこを目指してみるのもいいかもしれませんよ」


「本当ですか!?」


「はい。ダラムという街だそうで。日本から来た人が集まっているんだとか」


 聞きかじった情報ではあるけど、2人への道しるべとして提示することにした。

 ボクのほうで帰還させてあげてもいいのだけど、今のままだと色々と2人にデメリットが降りかかるのでお勧めできない。

 

「そこならなんとかなるのかな……。でも……」


 日本人たちが集まる街の情報を聞いてもアイリさんのほうはどうも乗り気ではない様子。

 まぁ場所も遠いだろうし、色々と不安なのは理解できる。


「運よくそこまでたどり着ければいいですが、道のりはどうなのか。モンスターみたいなのはどのくらいいるのか、本当に信用していいのか、色々と考えることが多くて判断が難しいですね」


 田中さんは色々と考えて結論が出せない様子。

 たしかに同郷の人が集まるからといって必ずしも手助けしてくれるとは限らない。

 それにそこまで無事に行けるかも未知数だろう。


「うーん。みんなはどう思いますか?」

 

 ボクの方も良い提案ができないので、仲間たちに聞いてみることにした。

 ボクが良いといえばすべて解決するかもしれないけど、出来る限りみんなの意見も聞いておきたい。

 ちなみにボクの意見としては帰りたいならリスクを承知で帰してあげることはできる。

 でももう少し残りたいならどうしたいかによって招き入れたり餞別を贈るつもりだ。


「私はマスターの思う通りにしていいと思います。出来ることはあるわけですし」


 ミーティアはボクの判断に従う様子。


「お母様にお任せします」


「私たちなら大丈夫」


 クルスとルナはいつも通りというかミーティアと意見の差はない様子だ。


「!」


 メルディアはただボクを見つめてサムズアップ。

 これはお前の道を行けという後押しのような気がする。


「私は2人が今後どうしたいかによると思います。どこかに行きたいかそれとも留まって基盤を整えたいか。それ次第で手助けするのはありだと思います」


 ミリアは2人の考え次第で手助けするべきとの意見。


「こはくちゃんがやりたいこともミリアちゃんの意見もわかるよ~。お互いの意見が合えば~、こはくちゃんのやりたいようにすればいいとおもうの~」


 ゆるふわなアルカはボクもミリアもどちらも立てようとしてくれている様子。

 まぁボクの意見もミリアの意見も基本は同じなんだけどね。


「こは様のやりたいようにしていいかと思います。問題が起きればわたくしたちが支えるだけです」


 イリスは何が起きても支える宣言をしてくれている。

 つまりなんとなくどういう結果になるか予想しているということだろう。


「こはちゃんを推す」


 アルマは端的過ぎてもはや何の意見なのかがわからない。

 ともあれやりたいようにすればいいってことのようだ。


「2人はどうしたいのですか?」


 というわけで当人に聴取。

 2人の意見次第では受け入れることも考えよう。


「私としては基盤を整えるべきだと思います。元の世界に帰れる保証もない以上居場所は作らないとですから」


「私はあまり何かを決めたりはしてこなかったんですけど、決めないとですよね。狐白さんがどんな人なのかはわからないですけど、手を貸していただけるなら、私がんばります」


 どうやら2人はすぐに冒険に出ることを避けたようだ。

 たぶん田中さんを抜いて女性ばかりだからというのもあるのだろうけど。


「わかりました。では私たちは貴方方を一旦受け入れます。でもお互い信頼できるまでまだ秘密があっても教えません。居場所の提供は任せてくれれば大丈夫ですよ」


 どうなるかはわからないけど、一旦2人を受け入れようと思う。

 まぁ居場所っていってもすぐ近くの廃墟くらいしかないのでしばらくはテント暮らしをしてもらうんですけどね。


 こうして新たに迷い人の人間が2人加わった。

 でもこの惑星ウル以外にはまだ連れて行かないからね。

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