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狐宮狐白の異界開拓記 のんびりしつつ便利な妖種ネットを駆使してお手軽物資調達で生活を豊かにしていきます  作者: Jまる


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第35話 イストーの街と迷い込む異世界人

 結果的に初めての商売はほぼ売り切れの状態で終了した。

 狐獣人のお姉さんの助力もあってか、その後おつまみ系もお菓子系も飛ぶように売れていったのだ。

 そんなボクたちは現在撤収の準備をしているところだ。

 といっても、台を片付け敷物を片付けてバッグにしまうくらいだけど。

 大きく展開しいない分しまうのも楽ちんだ。


「お母様。狐さんのぬいぐるみをありがとうございます」


「お母様ありがとう」


「いえいえ」


 2人に狐のぬいぐるみをプレゼントし、ミーティアにはボクの作った手作りのお菓子をプレゼントした。

 お手伝いのご褒美である。


「マスターお手製のクッキー。おいしいです」


 ミーティアもまた笑顔でクッキーを頬張っている。

 そんなに喜んでくれるならたまには作ってあげないとかな。

 今後はもう少し作ってあげる機会を増やしてみようと思う。

 

 最後の持ち物をしまい終え、神殿へ身分証を受け取りに行こうとした立ち上がる。

 ふと噴水の方向を見たとき、何やら奇妙な2人組の黒髪の男女を見かけた。

 服装はこの世界には合わないきれいな布地のワンピースを着た小柄な女性とスーツと合わせるようなシャツを着た三十代くらいの成人男性の2人組だ。

 気になったのでなんとなく2人の様子を伺ってみることにした。


「田中さん。どうにか街に入れましたけど一体ここはどこなんでしょうか」


 ワンピースの黒髪の女性はシャツを着た黒髪の男性にそう問いかけていた。

 どうやら男性の方が田中という人らしい。


「どう考えても日本じゃないですね。やっぱり異世界転移ってやつなのかなぁ。でもそんなことってありえるんだろうか」


「異世界転移ってラノベとかでよく聞く単語ですよね。私も好きで結構読んでるんですけど、まさか自分が実際に転移してしまうなんて……」


「とりあえずなんとなく言葉がわかるのだけは救いでしたね。あとで何かほかにできないか調べてみますか」


「そうですね。もしかしたら言語がわかるのもスキルか何かの影響かもしれませんし。あ、でも異世界ってことはモンスターもでるのかな」


「可能性はありますね。とりあえずテンプレですが宿と冒険者ギルド的なものを探してみましょうか」


「そうしましょう。たまたま持っていたものが良い値段で売れただけでお金に余裕があるわけじゃないですから」


 そんな2人組は話し合いを終えると、南側へ向かって歩き出した。

 どうやら探索者組合を目指すようだ。

 突然異世界に来てしまったというのに決断力がありますね。


「お母様、どうしたんですか?」

 

「いえ。何やら迷い人がいたようでしたのでちょっと」


「迷い人ですか?」


「迷い人、迷った人?」

 

 迷い人という言葉を聞いて反応を示すクルスとルナ。

 まぁ確かに実際に目にする機会はそうそうないか。

 なので簡単に2人に教えてあげることにした。


【迷い人】とは神隠しに遭った対象を指す言葉だ。

 時折人の世界からボクたちの世界である妖精郷に迷い込む人々がいる。

 そんな彼らを総じてボクたちは【迷い人】と呼んでいる。

【迷い人】に出会ったらすぐに手は差し伸べず、様子を見ること。

【迷い人】が困難に直面して助けを求めたときは手を差し伸べること。

 これが妖精郷の一般的な対応だ。

 それは異世界であっても変わらない。

 なのでボクも彼らがボクに関わってこない限りは様子を見守ることにする。

 

「なるほど」

 

「よくわかりました」


「2人とも偉いですね。ところでミーティア」

 

「はい、どうされました? マスター」


 ボクに呼ばれこちらに顔を向けるミーティア。

 その口元にはクッキーの食べかすがくっついていた。


「いえ、大したことじゃないんですが。日本とこの世界の間の障壁って穴が開いてたりしませんか? 些か多いようにおもうのですが」


 ミーティアの口元についていた食べかすを取りつつ、ちょっとした懸念事項を伝える。


「そうですね。実は少し調べたのですが、【アルゴス】という王国が何やら異界からの大規模召喚を行ったらしいんです。現在はその影響で壁が緩くなっているようですね。地球世界からこちらに滑り落ちてしまう可能性はまだまだ低いほうですが、修復はされた方がいいかもしれません」


 どうやらミーティアはこの世界に起きている現象について何か知っている様子だった。

 ということは、この件には父が関わっているということですか。

 ふむ。


「グランドマスターからはついででいいので、見つけたら私の同僚と話して修繕してほしいとは言われています。どこにいるかはわかりませんが」


「なるほど。なんとなく予想はしていましたが、わかりました。ある程度街が形になったら行動しましょうか」


「はい、その時はもちろんお手伝いいたします」


「私たちも」


「一緒に」


 「うん。ありがとうございます」


 どうやらボクの予定には1つだけやることが追加されたようだ。

 父の同僚を見つけて、世界感の障壁の修復をする。

 ところで、父の同僚ってどんな人なんだろうか。

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