第33話 商業組合に登録しよう
悪魔がやってきたりして色々とあったものの、気を取り直して再びの人間界。
今回は同行者が多く、ボク含め桃花と瑞葉を抜いたいつもの6人プラス新たにクルスとルナとミーティアも加えて9人という大所帯だ。
今回はクルスとルナとミーティアの身分証の発行と商業組合への登録を行い、その後ネットで仕入れた商品を街で売るという予定を立てている。
なんだったら少し周辺を冒険してもいいけど、まずはイストーの街へ行くのが先である。
「お母様。この廃墟は何なのでしょうか? ただならない力を感じるのですが」
「不気味とか怖いとかそういう力ではないです。圧倒されるような理解できないような」
現在転移ポイントとして使っているイストーの街近隣の森の中にある大きな廃墟。
クルスとルナはこの廃墟を見て何かを感じているようだ。
まぁボクにも詳しいことは分からないんですけどね。
「よくは分かりませんが、購入できるようですよ。さっき生命の雫が売れたので50万ポイントあるんですよね」
ちょうどついさっきオークションで生命の雫が売れたばかりだ。
購入したのは名前のよくわからない異界の神族だった。
そんなわけで今のボクはちょっとした小金持ちである。
となれば、とりあえずこの土地とやらをお試しで購入するのもありだろう。
「ちょっとまっててくださいね。一回この土地を購入してみたいと思います」
というわけでさっそく妖種ネットに掲載されている土地のページへ移動する。
すると下位世界の惑星ウル内にあるイストーの街近辺の土地を見つけることができた。
お値段は撤去建築費用別で10万ポイント。
さっそくポチる。
『土地の購入が完了しました。この土地はあなたの物です。現在この土地の大きさは販売時の大きさと同じです。もし土地を拡張する場合は結界の拡張カスタマイズをご購入ください』
土地を購入してすぐに権利証が端末に表示された。
これでこの土地はボクの物となったらしい。
この土地の結界の設定を考えると、入り口付近は普通に森に繋がっているのだろう。
となるとだ、拡張カスタマイズを購入した場合、おそらく広くなるのはこの結界で区切られた別の領域。
つまり結界内に別の空間を購入する形になるのではないだろうか。
「ともあれ、調査は一旦後にして街への用事を優先するべきですね」
ボクたちは早速ぞろぞろと移動し始める。
するとメルディアがミリアたちを誘って森の奥に行こうと誘い出す。
ミリアたちも「訓練ですね」といって誘いに乗るのでボクも許可を出すことに。
彼女たちはこれから冒険する際の訓練をしに行くそうだ。
メルディアはその監督者的な立場で、問題が起きたらすぐ対処することになっているらしい。
「一通り終わりましたら様子を見に行きますね」
ボクは彼女たちにそう声をかけて街を目指した。
街の門は相変わらず人が多くにぎやかだけど、神殿門はひっそりと静まり返っていた。
途中マールさんを見つけたので一緒に合流。
クルスたちの身分証発行をお願いしたところ快く引き受けてくれたので後で受け取ることにした。
神殿を後にしたボクたちはそのまま商業組合に向かう。
商業組合は錬金術士組合などと同じ建物にあるのでわかりやすい。
商業組合前の扉にたどり着き、扉を開けるとそこには色んな種族の商人のような人たちがいた。
いわゆるターバンのようなものを被った褐色の商人からケモミミの生えた商人、エルフの商人やドワーフの商人なんかもいた。
ただその中でもひときわ目を引いたのは立派な翼を持った龍人のような商人だろう。
お尻からは太い尻尾が生えていて、時折床面を叩いていた。
「お待たせいたしました。今回はどのようなご用件でしょうか」
色んな人を見ながらクルスたちと話しつつ行列に並んでいると、いつの間にか自分の番が来ていたようだ。
声をかけられて少し驚いたのは内緒。
「えっと、新規の登録と露店の出店許可をと思いまして」
「承知いたしました。ではこちらの用紙にご記入ください。身分証がありましたらそちらもご提示いただけますでしょうか」
「あっ、はい」
身分証の提示を求められたので慌てて自分の身分証を提出する。
すると受付の人の表情が少しだけど変化するのが見えた。
「失礼いたしました。身分証の提示ありがとうございます。それではこちらは詳しいことが書いてあるパンフレットになります。やってはいけないこと、問題がないことについても記載がありますのでよくお読みになった上でわからないことがあればお気軽にお問い合わせください」
「は、はい」
「それと簡単に説明しますと、商業組合もこの合同庁舎に入っている一組合である関係上、ランクの付け方は他の組合と同じとなります。最下級はI級です。露店の許可申請や行商はこのランクでも可能ですが発行状況によっては許可が下りない場合があります。出来るだけ早くランクを上げることをお勧めいたします」
「はい」
どうやら商業組合のランク制度は出店に影響があるようだ。
最下級だと露店の数が多すぎると許可が下りないことがあるということなので、注意が必要だろう。
「ランクの基本的な上げ方はご自身の商売の収益情報と組合への一定額の寄付が必要です。ですので、まずは寄付をする前にご自身の商売の収益を上げることをお勧めします」
「な、なるほど」
商業組合のランク制度はなかなかにシビアな様子。
おそらく短期的に売上を高くしてもランクは上がらないのかもしれない。
なのでまずはランクを上げるために定期的に利益を出せるようにしようと思う。
露店を出している間は平均的にこれくらい売れてますよという情報を提示すれば大丈夫だろう。
「商業組合では銀行業務も行っております。事業資金の貸付、借入金の返済、資金の預け入れ、資金の引き出し、送金などです。こちらは最低でもG級からの利用となりますので、そちらまで上げることをお勧めしております。他に何かご質問はございますか?」
「露店許可の申請方法などは」
「そちらでしたら入り口脇にある台で許可申請書に必要な情報を記入してください。その後受付に提出していただければ露店の状況に応じて審査、許可証の発行を致します。露店の許可証はその日限りですのでご注意ください」
「はい。ありがとうございます」
そんなわけでボクは商業組合に登録した。
これで一応露店の許可申請は可能となったわけだ。
とりあえず申請書を出しておこうかな。
今聞きたいことはすべて聞いたので、さっそく入り口脇の台へと向かい、用紙に必要事項を記入する。
未だにこの世界の文字はよくわからないので、エメに貰った辞書を片手にどうにかこうにか記入することができた。
エメはこの世界の文字をよく知っているらしく、ボクの知っている言葉をこの世界の文字に置き換えられるように辞書を作ってくれたのだ。
おかげでこのような状況でもどうにかなっている。
異国の地に来て辞書片手に会話するようなそんなイメージ。
申請書を書き終えしばらく、受付の順番が来たところで申請書を提出。
今日はまだ空きがあるとのことなので許可証を発行してもらえた。
あとは場所の確認と何を売るかを考えるだけとなる。
うーん、ちょっとワクワクしてきた。
「お母様、楽しそう」
「私もお手伝い」
「護衛はお任せください。マスターへの不埒な行為は見逃しません」
「あはは、ありがとう」
というわけで早速噴水のある広場へと向かおう。
今回の売り物は妖種ネットで仕入れたお酒とおつまみです。




