第31話 合間に下水道工事現場を視察
しばらく様子を見ていたが、ミーティアとクルスとルナはすっかり仲良くなったようでよかった。
ミーティアは2人を妹ちゃんと呼び、2人はミーティアのことを姉様と呼んでいる。
聞けば2人は元々双子で作られたものの、運用する陣営の考えの違いでお互いに戦い合っていた時期があったのだとか。
いわゆる代理戦争というやつらしい。
「同じ派閥どうしでも争いはありましたから、いつまでも平和という風にはいかないようです。もっとも、戦闘指揮をしていた頃の方々は色々な場所に散っていったとのことですので、妹ちゃんたちを生み出した時と私たちが生み出された時では状況も人も違うようです」
些細なことで争い合うのが生き物と言うなら間違っていないのかもしれない。
だって神様同士でだって争うのだから。
せめてボクたちといる間くらいは平和に過ごさせてあげたいと思う。
「さて、開拓の続きをしましょう。早速他の場所を見に行きますよ」
ボクたちが向かったのは下水処理場予定地。
ここには山をくり抜いたような大きなトンネルができており、色々な準備が進められていた。
現場ではノームさんたちと鬼族の鬼島さんが何やら話し合いをしているようだった。
そんな鬼島さんは、ボクを見つけると手に持った紙を見せながらでこちらに歩いてくる。
「ちょうどよかったです。今回ゲートを設置して高天原から直接作業員と重機を搬入しようと思っていたところなんです。そのための【越境許可証】と【入境許可証】にサインをいただけないかと思いまして」
「あー、わかりました。そういえばよそから大きなものを運び入れる際は必要でしたね」
「えぇ。まぁ下界とかなら特に必要はないんですが、私たちが互いの領域を好き勝手に移動してしまったら色々と摩擦が起きることがありますので」
「たしかに。うちなんかは比較的緩いですけど、ほかは厳しいところもありますからね」
「はは、そうなんです。狐白さんのところは緩いのかもしれませんが天照様が目を光らせていますので、もしかすると一番厳しいかもしれませんよ」
「あー、じゃあ提出先はあーちゃんです?」
「そうです」
そういえば鬼島さんたちはあーちゃんに依頼されたと言っていましたね。
【越境許可証】とは互いの世界を行き来する際に必要なパスポートのようなもの。
これがないと領域の主によっては敵対行為とみなされたりすることがあるので注意が必要だ。
【入境許可証】とは互いの世界を行き来する際に必要なビザのようなものを申請するのに必要となる。
基本はこの2つの許可証がセットとなっており、これがあることで色々な商売や観光旅行が可能となる。
まぁ許可を申請しなくてもいいところもあるのだけど、そこはお互いの信頼関係によるところが大きい。
ちなみにボクの領域は特殊な神格生命体以外は現在特に制限をかけてはいない。
なので自由に来ようと思えばこれるのだけど、そもそもこの領域に来る人が少ないというか知っている人自体が少ないので結果的にほとんど誰も来ない状態だ。
制限しているという特殊な神格生命体の一例をあげるとすると、存在するだけで精神に異常な影響を与えるタイプの神格生命体などである。
何もしなければ勝手にあちこちの領域に現れては精神災害などをばらまき去っていく。
なのでそのあたりは注意が必要だ。
「じゃあこれで」
「はい、ありがとうございます。工事には結構な期間がかかりますので仮設トイレを搬入しておきます。地面に穴を掘ったり川に流すよりはまだいいと思いますので。結構な台数を搬入する予定ですが念のため3日に一回は様子見に来ますのでよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
鬼島さんとの簡単な打ち合わせを終えたボクは、次にノームさんたちから鉱山の開発許可を求められたので許可しておいた。ただ銅鉱山もあるらしいので、公害について考えないといけない。
ボクは頑張って歴史から学ぶのです。
「次は建築現場の確認と今後の予定の確認ですかね。異世界に行くのはもう少し後でしょうか」
やることをやったら次は異世界の冒険と異世界グルメを堪能しよう。
ついでにクルスとルナとミーティアの身分証も発行してもらわなきゃね。




