第20話 何もないときのお仕事
新しく中級精霊となった子たちを受け入れた翌日、ボクは前に植えておいた畑の薬草の収穫をすることにした。
比較的どこにでもある薬草ではあるのだけど、育つ場所によって効能が変わるので場所の選定が難しい。
魔力のない人間界で植えれば薬効から通常の散剤の材料になるし、妖力のある場所で植えれば妖力にも影響を与える薬草になる。
なのでボクの領域のボクの近くに植えれば自然と妖力に影響を与える薬草になってしまう。
これを乾燥させて粉にすれば妖力散という散剤になるし、まとめて丸薬にすれば妖力丸という丸薬になり、手軽に妖力の回復にしよう出来たりもする。
今回はこちらの妖力丸を作りたいのだけど、とても苦いので今回はちょっと甘みを加えて妖力飴にする予定だ。
良い感じにできればネットショップで売れるはずだしね。
そろそろ資金を稼がないとノームたちの酒代が足りなくなるのです。
「ええっと、これをこうしてこうで……」
「主様、お手伝いします」
薬草を採集していると桃花が手伝いに来てくれた。
桃花は薬草を傷つけすぎないよう、かといってゆっくりになりすぎないように手際よく刈り取っていく。
さすがは植物関係の精霊というだけある。
一頻り集め終えたところで今度はそれを干す作業に移る。
干し方は色々だけど、今回は網かごの中に入れておくことにしよう。
本来ならこの後、それなりの時間乾燥させる工程があるのだけど、今回は風の精霊たちも多いのでちょっとお手伝いを頼んでみた。
「薬草の乾燥ですか? お任せください。下級精霊の友達も連れてがんばりますね」
中級精霊になったばかりの風の精霊の子にお願いして薬草の乾燥を良い感じになるようお願いしてみた。
ちなみに瑞葉も水分関係を抜いたりできるのでお手伝いに回っている。
「乾燥が終わりましたら向こうにある作業台の上に置いておいてくださいね」
「わかりました」
まだ名前を付けられてないけど、率先してお手伝いをしてくれる良い子だ。
名前の候補はあるのだけど、もう少し考えて絞りたいんですよね。
なにせ4人もいるのだから。
ちょっと手が空いた隙にノームさんたちが建ててくれた作業小屋に移動する。
この小屋は本当に小さな小屋なので基本的には簡単な調剤くらいしかできない。
本格的なのはちゃんとした拠点が出来てからだろう。
5畳程度の広さの小屋には机や籠、水を入れる桶や薬研、ちょっとした竈や蒸留器などが置いてある。
はっきり言って置きすぎていてとても狭く感じる。
竈の火は薪でもいいし木炭でもいいし、精霊の火でも狐火でも問題なく使える。
ただし、狐火は温度が低いので沸騰には向かないかもしれない。
そんな小屋でボクは別の日に干してあった薬草を粉にする作業を行う。
薬草を手でつかみ、ゴリゴリと潰していくとだんだんと粉になっていく。
この粉をきれいに取り除き、瓶に詰めて一度保管する。
粉状の薬草は後で色々なものに使えるからストックは多めに作っておきたいところ。
それからしばらくはゴリゴリ潰して瓶に詰め、またゴリゴリ潰して瓶に詰めるという作業を繰り返す。
何度かやっているうちに疲労感が出て来たのでちょっと休憩を挟む。
少し休憩をしていると、フェアリーノームのメルディアがやってきたので、ほっぺたを突っついて遊ぶ。
メルディアのほっぺたはぷにぷにしていてとても気持ちがいい。
それから再び作業に戻ろうとすると、メルディアがお手伝いを申し出て来たので粉状の薬草を煮出して蒸留器で抽出する作業をお願いした。
ある程度時間が経ち抽出物が溜まってきたので、砂糖と水を用意して薬草の原液をエッセンスにして飴にしていく。
この時点で妖力を帯びた薬草飴である妖力飴ができるというわけだ。
「お疲れ様です。おひとつどうぞ」
出来あがった飴をメルディアに食べさせてあげる。
苦いような甘いような不思議な味がするようで、メルディアが若干混乱している。
そしてなぜか、メルディアの頭に狐耳が生えた。
妖種化するような効能なんてないはずなんだけどなぁ……。
しばらく調べていたらメルディアの狐耳が消えたので、一時的な影響だったようだ。
まぁとりあえず袋詰めしてから出品しようかな。
ちなみにこの後出品した飴はあーちゃんに即購入されてしまった。
その売り上げで【大蛇の涙】を購入。
ノームたちの慰労のために小出しで出していく予定なので大部分が保管となった。




