第19話 錬金術の準備と新しい従者
「ふむ。それならわしらに任せてくれ。魔法錬金術用の釜を作ればいいんだな?」
さっそくボクはガルドさんに相談していた。
残念ながら鍛冶仕事はボクの専門外だからだ。
「大きめのであればいいんですけど、最初は普通の材料でいいです。慣れてきたら色々と新しい素材が作れると思いますので」
最初の工程は極めて単純だ。
1.普通の大きめの釜を用意してもらう。
2.魔力や妖力などが込められた文字を刻む。
刻む内容は【分解】と【合成】と【創造】の3つ。
3.魔力素材を沸騰したお湯に投げ込み数時間待つ。
その間、水を足すことを忘れずに。
4.液体の色が変わったら完成。
以上である。
ちなみに魔力素材は日本にもあるにはあるけど、地球全体では近年ほとんど絶滅しているらしい。
妖精郷は妖怪や精霊、神族などが住まう地があるのでそれぞれの素材を獲得しやすい。
なお、地球から魔力素材がなくなっている理由は地球が安定しているからだという。
安定していない世界では魔力という外部要因が必要になるらしいけど、魔力自体の起源はわからないのだとか。
そういう意味では妖力も謎なんだけども。
「作成にはしばらくかかる。その間素材集めをしてはどうだ? エメラルド様とトパーズ様が候補者を見繕っていたぞ」
「そういえばそんな話がありましたね。ちょっと行ってきます」
というわけでトパーズとエメラルドのいる場所まで移動する。
「では新しく中級精霊となったばかりの貴女方にお願いするとしましょう。名前に関しては希望があればその名前を。なければご主人様に名付けてもらうといいでしょう。今回は私たちからは名を与えません」
エメラルドたちの場所に到着するとメイドさんたちが大集合していた。
目の前には3人の中学生くらいの身長の少女が4人。
全員中級精霊になったばかりの精霊とのことだ。
というわけで早速契約。
「よ、よろしくお願いします!」
「よろしくおねがいしま〜す」
「よろしくです」
「よろ」
なかなか特徴的な4人だった。
一番真面目そうな子が風の精霊で、間延びした子が水の精霊、簡単な挨拶をした子が光の精霊で短い挨拶の子が闇の精霊らしい。
中級精霊というくらいだから精霊力的なものに溢れているのかと思ったら案外そうでもない様子。
「この子たちはまだ中級精霊になったばかりで力は下級精霊とさほど変わりません。とはいえそこはやはり精霊。ある程度力が漏れるものですがご主人様との契約で人間に近しい身体を得られたので必要なとき以外は漏れないように制御できるようになっています」
つまり見た目や気配は人間たちに近いということだろうか。
なるほど、冒険に行きたいと言っていたしそれが叶った結果なのかもしれない。
「それじゃあちょっと名前を考えるとして、よろしくお願いします」
全員に挨拶を済ませ、今後の予定を考える。
名前についてはもう少し考えてみようと思う。
だっていい感じ名前が思いつかなかったんだもん。
「この子たちの種族は契約の精霊にお願いして精霊人として登録しました。ですので人間たちの街で登録をしても珍しい種族くらいにしか思われないでしょう。少なくとも精霊人は今も現存していますからね」
エメラルド改めエメの言葉を聞いて今日のことを思い出した。
そういえば桃花たちの種族も精霊人だったっけ。
「わかりました。とりあえずこちらでの住宅の件も考えないとですね。精霊の住む家って考えたこともないですけど」
「その辺りはノームたちが詳しいでしょう。人間界ではそもそも家のようなものはありませんからね」
「なるほど」
というわけで今後のタスクに精霊たちの家を入れておこう。
人型になった上に普通に人間のように暮らせるようになってる以上、良い感じの住まいは用意したい。
そんなことを考えていると、現在建築に携わっているガルドさんがやってきて案を出してくれた。
「であれば、雇い主殿の大きな家を作り、そこに住まわせればよかろう。精霊との信頼関係も築けていいことだらけだぞ」
「なるほど」
それは名案ですね。




