第18話 それぞれの強み弱みと錬金術
桃花を慰めているとルビーが何か紙を取り出して渡してきた。
何かのレシピ?
「これは昔この世界から去っていった神々が残した携帯錬金工房のレシピだ。ところでご主人様は錬金術ってやったことあるか?」
「錬金術は習いましたけど今のところ何かを作ったことはないですよ。まぁ昔ながらの方法で丸薬を作ったりしたことはありますけど。習ったのは科学錬金、魔法錬金、魔法陣錬金くらいでしょうか」
妖種の学校には錬金術科というのがある。
自分の世界や領域を持った妖種や新生神族、技術を学びたい人間の学生が新たな就職先を求めるために習いに来るのだ。
なので結構な数の妖種がこういった工房を併設していることがある。
お客さんは異世界の住人が殆どらしいけど。
「この携帯錬金工房は魔法錬金で作られるんだけど、素材やら技術やらがちょっと特殊でね。もし作れるようになれば色々と便利になるはずなんだ」
ルビーの話を聞きながら手元のレシピを確認する。
【精霊の粉】や【時空の楔】、【精霊金属】などの文字が目に入る。
精霊の粉はたしか精霊からしか手に入らないもののはず。
時空の楔については不明すぎるので調べる必要がありそうだ。
「【精霊の粉】に関してはあたしたちでどうにかなるけど、【時空の楔】の方はそうもいかないんだ。時空を移動できる存在にお願いして狭間の世界にある狭間の鉱山で結晶を取ってこないといけないらしい。昔、まだ神々がいた頃は入手できていたって話なんだけどな。ちなみにあたしたち精霊ではどんなに頑張ってもそこまではいけないからな」
ふーむ。
空間の取り扱いはボクにもできるけど時空の狭間にはいったことがない。
この辺りは調べるしかなさそうだ。
ところで本当に神様はもういないのだろうか。
「今いる神的なのは神格を得た精霊が神の代行をしているって感じだな。なので本当の意味での創造神というのはもういないんだ」
神格を得た精霊というのも見てみたいけど、あの封印の祭壇で見た存在たちの系譜はやはりもういないのか。
「とりあえず錬金術についてはわかりました。ボクもそろそろ無職を卒業したいので錬金術師を名乗れるようになっておきたいです」
ちなみに、妖種の学校は妖精郷にあるのだけど、そこには異界からやってきた魔法族なる魔法使いの種族が住み着いていたりする。
そんな彼らの教えてくれる錬金術というのがほぼほぼ魔法のような魔法錬金というものだ。
具体的には魔術文字を刻んだ釜を用意し、内部を特殊な作り方をされた魔法液で満たして素材を入れて合成するというもので、 例えばすごい魔法剣を作りたいってときは、対応する魔術触媒や妖精関係の触媒、金属類を投入して特殊金属を生成する。
その後は打ったり叩いたりして剣にしたり、型に流し込んで剣にしたりするという工程になる。
ポーションも似たような作り方なのだけど、瓶ごとできたりしないので容器は用意しないといけない。
「錬金術をするなら契約精霊をもっとたくさん増やしてくれよな。素材採集もあるわけだし手はたくさんあったほうがいいだろ」
「そうですね。ルビーも手伝ってくださいね」
「おうよ。猛き火の精霊王であるルビー様にお任せよ!」
ルビーはニカっと笑うとボクに向けてサムズアップをしてくれた。
実に頼れるメイドさんだ。
「ルビーだけに頼らない。オニキスも手伝う。闇は特殊な素材をたくさん用意できる」
「であれば当然わたくしも手伝いますわ。光の素材ならお任せあれ」
話を聞いてたのか、ダイアとオニキスの姉妹も名乗りを上げる。
「あたしは~、鍛冶関係での手伝いかな~。技術系や道具系もお任せだよ」
「トパーズって技術系なんですか?」
「そうそう。地属性ってなんか地味な感じだからね。素材ったってすごく特殊な素材がほいほいあるわけじゃないしね。アクアは純水みたいな素材を用意できるけど、あたしやエメはそんなでもないし。だからお互い強みを用意してるって感じかな」
「たしかに、風の属性は素材らしい素材はありませんね。ただその分、精霊たちを利用して商圏の拡大は可能です。風の精霊に冒険に出たい子がいるので色々依頼をしてみるといいかもしれません」
なるほど、それぞれに強みが違うのか。
風の精霊の冒険に出たい子ってどんな子なんだろうか。
少し気になる。




