第12話 人間たちの領域へ
新しい仲間のフェアリーノームが他のフェアリーノームを呼んだ。
結果、開拓チームの作業範囲が広がり、できることが格段に増えた。
さてさて、どんな風に開拓されていくのだろうか。
ちょっと楽しみだ。
▼惑星ウル イストーの街 近郊の森
そんなこんなで日付をまたいで翌日、ボクたち4人は再び異世界にやってきていた。
リーダー格のフェアリーノームには【メルディア】と名付けた。
略称は【メル】か【ディア】かで悩んでいるけど、後程本人に聞いてみようかな。
今回は妖種ネットでおすすめ世界地図マップと転移ブックとおすすめの街転移スクロールのセットが売っていたので購入した。
その結果辿り着いたのはイストーと呼ばれる街の近くの森だった。
なお世界地図マップは携帯端末にもインストールできるので今ボクはタブレットを開いてそれを見ている。
ちなみに説明文にはおすすめの採集ポイントや出てくる魔物の強さなどの情報が記載されていた。
攻略サイトか何かですか?
「というわけで早速人間たちの街近くに来たわけなんですが、出たところは森の中。そして謎の廃墟の中でしたね」
建物は朽ち果てておりとても住めるような状態ではない。
近くには畑のような痕跡や色々な施設があったような形跡が残っている。
そしてその廃墟の敷地と思われる部分を囲むように薄い光の膜が張り巡らされていた。
「主様。この廃墟を囲う光の膜ですが、どうやら外界と隔離するための物のようです」
桃花が光の膜に近づき、手を触れながらそう話す。
となると、ある種の結界のような物と言えるのかもしれない。
「でもこの廃墟、不思議ですよね。誰が建てたんでしょうか」
瑞葉も不思議そうにしているけど世界中にいそうな精霊たちですらわからないようだ。
まぁ興味がなかった可能性もあるけど。
「とりあえず周囲を確認してから街の方面に向かってみましょうか」
「「はーい」」
桃花と瑞葉は元気よく返事をし、フェアリーノームのメルディアは親指を立ててサムズアップして応じてくれた。
さっそく周囲を見てみると宝箱のような箱が置かれていることに気づいた。
誰かの物なのだろうと思って軽く外観を調べていると日本語で張り紙がしてあったのを見つけた。
内容はこうだ。
『親愛なる妖種ネット購入者様。イストーの街へ入るには入街税が必要となりますので現地通貨で銀貨を同封いたします。なお転移先となっている廃墟ですが妖種ネットからご購入も可能です』
「……」
どうやらこの場所は妖種ネットの運営会社が用意したものだったようだ。
もしかしてまた仕組まれた?
ふと前回の封印の祭壇の件が思い浮かぶ。
「主様。その箱がどうしました?」
「難しいお顔してどうしたんですか? ご主人様」
少し考え事をしていると、桃花と瑞葉がやってきた。
どうやら心配をかけたらしい。
ただメルディアだけは見当たらない。
「メルディアは?」
「先ほど膜を抜けていきました」
「多分周囲の確認です!」
2人がそう言うので、箱を開け、箱の中に収められていた革袋を取り出す。
それから2人を伴い膜の外へ出た。
「さて、メルディアはどこですかね」
さっそくメルディアを探そうと思っていた矢先、森の奥のほうから猪を担いでやってきたメルディアを発見した。
どうやら狩りをしていたようだ。
「猪?」
メルディアは嬉しそうにそれをボクに見せてくれた。
一本角の生えたメルディアくらいのサイズの猪だ。
ボクはふと角が気になり軽く調べてみることにした。
妖種ネットからダウンロードした鑑定アプリというものがあるので写真を撮り鑑定する。
すると【一角猪】という魔獣であることがわかった。
お肉は美味しいらしく、魔素を吸収しているため体内に魔石を生成している可能性があるとのことだ。
「初の魔物との遭遇ですね。死体でしたけど」
そんなこんなで本格的なファンタジー生活が始まったのだ。




