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狐宮狐白の異界開拓記 のんびりしつつ便利な妖種ネットを駆使してお手軽物資調達で生活を豊かにしていきます  作者: Jまる


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第11話 フェアリーノーム

 そんなこんなでボクの元にメイドさんがやってきた。

 水色髪の身長の高い美人さんだ。

 見た感じ160cmから170cm程度と推測できる。

 まぁボクよりは圧倒的に大きいんですけど。

 名前は【アクアマリン】というらしくボクはアクアと呼ぶことにした。


「狐白様。あの卵はもしかして……」


 ボクたちが寝泊まりするための小屋の中は日本にあるボクの部屋と同じ作りになっている。

 そこに持ってきた2つの卵を安置しているのだけど、それを見たアクアはすごい顔をしていた。


「あちらの世界に行った時に変な結界に阻まれちゃいまして、色々探ったらこれを見つけた次第です」


 ちなみにあちらにあった封印の祭壇はいつの間にか消えていた。


「な、なるほど。狐白様。くれぐれも取り扱いにはご注意を」

「ありがとうございます。ともあれ、しばらくは様子見ですけどね」


 もしかするとアクアは確認に来たのかもしれない。

 それならそれでボクは構わないんですけどね。


「おーい、雇い主殿! ちょっとこっちへ来てくれんか」

「あ、はーい。アクア、一緒にいこ」


 ガルドさんに呼ばれたのでアクアと一緒にさっそく移動する。


「うわっ、なんですかこれ」


 そこで見たのは木の枝と草と葉っぱで作られたたくさんの簡易テント群だった。

 その1つ1つにノームが入っている。


「木材の乾燥には時間がかかるからな。しばらくは簡易テントで過ごそうかと思っておる。さすがに女子供には同じことはさせられん」

「なんていうか、すごいですね。こんなテントは動画でしか見たことありません」


 少し前に良く見てたネット配信のブッシュクラフトを思い起こさせるような光景だった。


「動画ってのはよくわからんが、物資が調達できるまでの仮だ。良い石材があれば石材で作ってもいいが選定が難しくてな。鉱山予定地にいる仲間にも探させておるよ」

「苦労を掛けます……」

「なーに、良いってことよ。それよりフェアリーノームの呼び出しもやっといてくれんか。彼女らは木材を乾燥させる術を持っておるからな。今一番必要なものだ」

「わ、わかりました」

 

 ガルドさんの要望に応えて、早めにフェアリーノームとやらを呼び出してみよう。

 それにしてもブッシュクラフトか。

 ボクもいつかやってみたいなぁ。

 ガルドさんたちの簡易テント群を見ながらボクはそう思うのだった。


 ガルドさんに勧められたのでさっそくフェアリーノームを呼び寄せてみることにする。

 そばには桃花と瑞葉、そしてアクアがいる。

 さっそく木のホイッスルを口に咥え息を吹き込む。

 思いっきり吹いたはずなのにフスーという音が虚しく響いた。


 失敗したのだろうか? そう思った瞬間、なんと目の前の空間が不自然に歪んだのだ。

 

「!?」


 身構えるボクとボクにしがみつく桃花と瑞葉。

 アクアの方をちらりと見ると落ち着いているように見えたので何が起きるのかわかっているようだ。

 ぐにゃりと歪んだ空間の歪みはやがて水面のように波紋を残して収まる。

 するとその波紋の中心から小さな手が伸びて来たのだ。

 そしてその中心から、小さな黄緑色の髪の女の子が姿を現した。


「お、女の子が出てきました」

「あんな出方をする子は精霊にもいませんよ~!」


 2人のしがみつく腕にさらに力がこもる。

 ちょっと苦しい。

 でもわかる気がする。

 だって登場の仕方が完全にホラーなんだもん。


 ホラーな登場の仕方をした少女は辺りをきょろきょろと見まわすと、ボクの方に視線を固定する。

 じーっとボクを見つめているのだけど、真顔なのでちょっと怖い。


「その子は雇い主殿を品定めしているようだ。まぁ試練だと思って耐え抜いてくれ」


 ガルドさんはその様子を楽しそうに見ている。

 たしかにとてもかわいい子ですけどね。

 行動がとてもこわいです。

 

 少女はやがてコクコクと頷くと、ボクの方にゆっくりと近づいてきた。

 そしてボクの目の前に来ると鼻をすんすんと鳴らして何やら匂いを嗅ぎだしたのだ。

 少女はボクよりせがちょっとだけ低く、桃花や瑞葉よりはちょっと大きい。

 ちょうど中間くらいの大きさをしていた。

 そんな少女はひとしきり匂いを嗅ぐと、次にボクに抱き着いてきたのだ。

 何やら感触を確かめているようで、顔をしきりに動かしている。

 やがてその行動が終わると、少女はおもむろにボクに対して親指を立ててサムズアップをしてみせたのだ。

 どういうこと!?


「どうやら雇い主殿を仲間と認めたらしい。よかったじゃないか」


 ガルドさんは嬉しそうにそういうものの、仲間とはどういうことだろうか?

 そこでふと考える。

 先ほどまで少女はボクの身体に顔を埋めて感触を確かめていた。

 ここから導き出される答えは、まな板の同志ではないだろうか?

 つまりボクは自分たちとあまり変わらない大きさをしているといわれてしまったようなものなのではないか。

 

「ぬぬぬ。解せぬ」

「何を考えているかは知らんが、仲間と認めたのは体形ではないぞ。波長だ。彼女たちは波長が合うかを確かめているのだ」


 と、ガルドさんから要らぬフォローが入ってしまった。

 しかしその情報は有益である。

 そのせいかはわからないが、先ほどまで真顔だった少女はとても可愛らしい笑顔を浮かべていた。


「まぁ雇い主殿であれば受け入れられるだろうと思っておったよ。これでこの辺りの開拓がしやすくなるだろう」


 ガルドさんはそれだけ言うとテント地帯へと戻っていってしまった。

 残されたのはボクとボクにしがみつく桃花と瑞葉、そして後ろで控えるアクアと件の少女だけとなった。


「あ~えっと。ボクは【狐宮狐白】です。よ、よろしくお願いします……」


 ボクが自己紹介をすると、少女は嬉しそうにコクコクと頷いた。

 しかし言葉が返ってくることはなかった。

 もしかしてしゃべれないのだろうか?


「アクア、何か知っていたりしますか?」


 ここでボクはアクアに尋ねることにした。

 色々知ってそうなガルドさんは今ここに居ないしね。


「フェアリーノームはある程度信頼を得られないと心の回廊が繋がらないと聞いています。彼女たちは彼女たちの住む世界があり、そこでは言葉を話せるようですが、それ以外の場所では念話での会話のみとなるようです」

「なるほど。ということは行動を共にしながら信頼度を高めないといけないんですね」

「そうなります」


 物知りなアクアのおかげで事情が呑み込めた。

 となると、ボクたちは一緒に行動してお互いを知っていかなければいけないようだ。


「一番早く信頼関係を築く方法って何がありますかね」

「そうですね。あちらの世界を共に冒険してみてはいかがでしょうか? 私はフェアリーノームが仲間を連れてきた際の補助をしますので、あのフェアリーノームと桃花瑞葉の4人で行くとよいと思います」

「そう、ですね。ちょっと森以外の場所にも行ってみますかね」


 こうしてボクたちの仲間にフェアリーノームの少女が加わった。

 はてさて、どんな冒険になることやら。

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