第10話 新たな精霊がやってきた
ガルドさんと契約後、あちらの世界からノームさんたちの増援がやってきた。
彼らが全員こちらに来るには物資が何もかも足りないのでしばらくはあっちとこっちを行ったり来たりするようだ。
そんなノームさんたちの半数は現在石斧で森の木を伐採中。
もう残り半数のノームさんたちは少し遠くに見える山に鉱脈探しに向かっているところだ。
一般的なノームといえば大地を守る精霊というイメージだけど、こちらのノームさんはドワーフっぽさがある。
「わしらとドワーフの違い? わしらでなければ採掘できない鉱石が存在するくらいだな。あとは土地の力を回復したり大地の力を使う魔法などを強化したりすることができるぞ」
とのことだ。
つまるところ、人間たちに寄ってるのがドワーフで、より精霊らしく純粋に力を扱えるのがノームということになるようだ。
「雇い主殿、フェアリーノームの呼び寄せ方を教えるからこっちへ来てくれんか」
ガルドさんに呼ばれたのでさっそく向かうことにする。
ちなみにガルドさんはなぜかボクのことを雇い主殿と呼ぶ。
なんだか奇妙な感覚だ。
「よく来た。フェアリーノームを呼び寄せるにはこの笛を吹くといい。わしらにもその笛の音は聞こえんがフェリーノームたちには聞こえるらしいからな」
そう言って渡されたのは木でできたホイッスルだった。
中に球が入っているらしく、揺らすとカラカラと音がする。
「わしらノームはその笛を作れるが音についてはさっぱりわからん。ちなみに一回吹くと消えてなくなるから注意するように。話によればフェアリーノームたちに好まれれば消えない笛を送られるそうだ」
結局フェアリーノームとは何なのかわからないまま、ボクは笛を預かった。
今すぐ吹いてもいいのだけど、少し後にしよう。
現在桃花たちはあちらの世界で精霊たちを勧誘しにいっているからだ。
すると……。
「主様、大変です」
「ご主人様、大変な方が来ちゃいました!」
桃花と瑞葉が大慌てでこちらにやってくるのが見えた。
「2人とも、そんなに慌ててどうしたのですか? 大変な方ってなんです? どこかの神様でも来ましたか?」
正直別の領域から神様が来てもおかしくはないので特に慌てる必要はないと思う。
でも2人を見ると首を横に振っているんですよね。
「それがですね……」
「せっ、せせせ」
「落ち着いてください」
どうにも慌てているので落ち着かせようと声を掛ける。
すると。
「貴女がこの領域の主様ですね?」
と、そのような声を掛けられてしまった。
「ええっと、そうですが、貴女は?」
声のした方向を振り向くと、そこにはすらりとした長身の精霊の女性が立っていたのだ。
その女性は美しい容貌に水色の長い髪、そして黒と白のメイド服を身に纏っていた。
「失礼致しました。この度、そちらの下級精霊たちの話を聞きまして、ぜひ貴女様に契約していただければと思いましてやってきました」
どうやら契約希望者のようだ。
それにしてもなぜメイド服なのだろうか?
実体化しているし、強い力も感じるのでおそらく上級精霊以上なのかもしれない。
ロングスカートの地球でもクラシックに分類されるような正統派メイド服はちょっと魅力的なので、条件に問題がなければ契約したいところだけど……。
「なるほどです。何か希望とかはありますか? できることなどあれば」
「そうですね。私は管理することが得意ですので、貴女様の側付きメイドとしてご活用いただければと思います」
この女性精霊は管理が得意とのことだ。
確かに今欲しい人材ではある。
しばらく試用期間を経てから正式契約でもいいかもしれない。
「わかりました。とりあえずまず仮契約でお試し期間を設けたいです。正式契約はまた後程ということで」
「はい。それで構いません。問題がなければ同僚にも勧めたいと思いますので」
話はスムーズにまとまった。
どんな精霊なのか気になるので、少しずつ見ていこうと思うけど、硬直している瑞葉の様子が気になるんですよねぇ。
何者なんだろうか?




