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小さなコワーキングプロジェクト ~貴方の居場所~  作者: RIO


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2/7

第2話 恐る恐る、扉を開けた

___貴方の居場所 コーワーキング芝生の図書室ラボ___

自転車置き場に自転車を置いて、初めて気づいた。

え?引き戸?コワーキングを検索して出てきた写真と大分違う。これ、お蕎麦屋さんか何か?でも、コワーキングの看板は確かにココだし……。


ガラ!


開いた!!思わず逃げ出そうとした私に、

「あ!すみません。御用でしたか?」

優しそうな皺の深いご老人。

「もし、御用でしたらどうぞ。私は出てしまいますが、中に分る者がおりますので……。では。」

そう言って、ペコリとお辞儀をして出て行った。

戸は開いたままだし、恐る恐る覗いてみた。

中には数人が畳の上で思い思いに作業に没頭していた。実家にあるような、大きな卓袱台を囲んで話している人達、小さな卓袱台で手芸に勤しむ人、コーヒーを呑みながらパソコン作業をしている人。子供の頃通っていた書道教室のようでもある。

「こんにちは!初めてですよね?」

あ、駅前でチラシをくれた女性。

「はい、あの、これ。」

“あのチラシ”を出した。

「あー。昨日、貰ってくれた方でしたか。」

「あの、貴方の居場所ってあって、その、私の居場所も……その……なんでもないです。」

咄嗟に出た言葉に恥ずかしくなってもごもごした。

「あ、席ですか?空いてるところに適当に座ってください。」

ニコニコしながら、その女性は続けた。

「このチラシね。私が一昨日作って、印刷して、昨日配ったの。だから、それを見て来てくれたなんて嬉しい。ささ、どうぞ。」

私は奥の小さな卓袱台の席に座った。畳なんて久しぶりで、正座するのかな?って周りをみると、皆、足を崩していた。

「これ、初めての方に記入して貰ってるの。住所と名前と電話番号をお願いしますね。それと、飲み物はあちらにお茶がありますから自由に飲んでください。勿論、持ち込みも可能ですよ。木村さん。」

「え?」

「あ、ごめんなさいね。今、書いてる途中なのに。私は小林です。さっき出て行ったおじいちゃんは中村さんって言って、ここのオーナーです。」

ニコニコしながら小林さんはここのことを色々教えてくれた。

気さくな人だ。

私とは正反対。

羨ましい気持ちと、自己嫌悪が同時に顔を出した。

その時は、もう来ないかもしれないと思っていた。


続く

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