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年末誕生日プレゼントにぼっちアフタヌーンティーをプレゼントする夫の話

作者: raociahon

 私の夫はサプライズが大好きだ。

 『喜んでもらいたい』という気持ちに嘘はないのだろう、とは思う。

 悪気は、たぶん無いのだ。……たぶん……

 ただ、そのサプライズの方向性が完全に私の希望とはズレている、という致命的欠陥さえなければ……

 今までも、まあそれなりにそこそこ良い物はもらってきた自覚はある。

 電動のアイマッサージ機や、サーフェスやら。


 ぶっちゃけサーフェスはとても役にたってくれているし本当に有難い。それは否定しない。


 しかし、やはりサプライズにはそれなりのリサーチ力と推察が必要ではないかと思う。

 そう、やつはここでついにやらかした。


 2023年11月某日。

 夫と子供がにやにやコソコソ、チラチラとこちらを見ている。

 なんだなんだ?と思っていたが、ニマニマ顔で堂々と宣言された一言に開いた口が塞がらなかった。


「ママ!帝国ホテルのアフタヌーンティーに行けるよ!お誕生日に!」

「え、帝国ホテル?誕生日?ママの?えーそうなの?みんなで?」

「ううん、ママ一人で!」

「え、ま、ママ一人?一人で行くの?年末に?え、一人?アフタヌーンティーに?」


 ……この衝撃をどう説明しようか。とにかく聞いた瞬間眩暈がした。

 目をキラッキラさせて喜ぶ私を期待する娘、ソファーでさもいいプレゼントだろうと後ろでドヤぁしてる旦那……

 いやもうこれは……どこからどう突っ込めばいいのやら……


「ママ、嬉しくないの?」

 明らか戸惑い動揺している私に、しゅーんとした顔を向ける娘の顔を見て慌てて

「いや、う、嬉しいよ!ありがとぉ~……」


 ……引きつった笑顔しか向けることのできない母を許しておくれ……


「よかったな~!ママ、嬉しいって。行きたがってたもんな、アフタヌーンティーに!」


 『コイツ締め〇したろかな、ほんま』

 そんな殺意が湧いた瞬間だった。


 そもそも私が『アフタヌーンティーに行きたいな』と言っていたのは、決して!決してボッチで行きたいという意味ではない、断じて。

 9月某日に縁があり、とあるコミティア参加サークルのとある同人誌に参加させてもらい、それで繋がりのできた方々がアフタヌーンティーに行くとなり、自分も参加したかったが仕事の休みが取れず止む無く諦めた経緯があった。

 巷では『アフタヌーンティー』というもが流行していたこともあり、とあるドラマでも『ソロ活』の一環として『女性ソロでアフタヌーンティー』の回があったりなんかして、影響を受けやすい自分も一度は行きたいと思っていた。思っていたのだけれど!


 それは決して!決して!決っっして!!!!


 誕生日にソロで!しかもボッチで行きたいというわけでは!

 断じて!!!無い!!!!!


 500歩くらい譲ったとして、年末誕生日プレゼントでさえなければ、まぁまぁ喜んだと思う。

 微妙な気持ちにはなったろうけど……


 そして何より場所!よりにもよってその場所のチョイス!!


 だってあーた!帝国ホテル、帝国ホテルですよ!!

 あの格式高き帝国ホテル!!!!


 そこに年末にボッチで!?バースディしに行くの!?

 誰が?私か!?私が行くのか!?私だね?

 意味わかんないんだけど!!!


 そして追い打ちをかけるように


「窓際の席にしておいたから」ドヤぁ再び。


 だめだ、やっぱコイツ〇ろう。


 あ、いかんいかん。

 これでも喜ばそうと……してくれているんだから……我慢我慢……

 って、できるかい!!!!


 こいつのことだから、誕生日って絶対ホテルの人に伝えているだろうし、ボッチで参加してるのきっと私しかいない!誰も気にしないかもしれないけど、あんなハイソな空間でボッチで「お紅茶お代わりくださる?」なんてできない!!!というか、そんな勇気はなから無いんだけど!!!


 半ばパニック&ヤケクソな気持ちになり、当時のTwitterに事の経緯を書き殴り、ほとんどのフォロワーさん達にかなりの衝撃を与えてしまった。

 まぁ、大体ドン引きされるか爆笑されるかだったので、どれだけ世間からみて非常識なプレゼントだったかはわかっていただけるかと思う。


 もう予約もされているし、今更『一人で行きたくない』、などとは口が裂けても言えず、ここは覚悟を決めて一人で行くしかないか……と半ば穴に埋まりたい、いやむしろ透明人間になりたい気持ちでいた。

 が、な、なんと!!


 神は私を見捨てはしなかった!!


 なんと心優しき数名の女神様達が『一緒に行きましょうか?』と、救いの手を差し伸べてくれたのだ!

 ド年末のめっちゃ忙しいであろう日に、一日お付き合いしてくださるという、ほんっとうに有難すぎる申し出に、申し訳ないやら有難いやらで、感謝してもしきれぬ程の恩を頂いた。


 誕生日当日は、とても楽しく思い出に残るものになり、最高の一日を過ごさせてもらいました!

 まさかこんな歳になって、こんな素敵な大人の誕生日会ができるとは思ってもみなかったですが、本当に良い日になりました。


 まぁ、その結果。


 『俺のおかげだな』


 と、どや顔でいう夫の顔面をいつか張っ倒してやろうと思っています。


 何度でも言うわ。


 お前のおかげではないことだけは確かだからな!!

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