僕はこの世界が嫌いだ
人生はクソゲーだ。
変わり映えがなく終わりの見えない日々をただただ過ごしていくだけ。
僕はそんなこの世界が嫌いだ。
第一章
今日も一日が始まった。
起きたら顔を洗い、朝食をとり、学校の準備をする。
朝の星座占いを見て一喜一憂するようなことも今の僕にはできない。
変わり映えのない朝の工程を済ませ、今日も家を出た。
今日で一体何日目なのだろうか。そう思いながら気が狂いそうになるのを抑え、辺りを見回す。
「昨日のイッテO見た???」
「見た見た!!やっぱあれ面白いよね!私祭りのやつ好きなんだよね!」
変わらない通学路、学生たちの他愛もない会話。
その全てが僕にとってはもう鬱陶しいものだった。
まぁ風景も会話も変わるわけがないんだがな。
そんなことを考えているうちに学校に着いた。
校門を通ったら明日になれ。
そんなことを考えるようになったのはいつからだったろう。そんなことが起こり得るはずもないのに。
教室に入り、椅子に座る。
そして本を読む。
この本も一体何周目になるのだろう。
そんなとき、一人のクラスメイトに話しかけられた。
名前は須崎透馬。いわゆる一軍というタイプの人間だ。
そのクラスメイトが僕に話しかけてきたのだ。
僕は正直言って彼があまり好きではない。むしろ苦手だ。
彼はいつも僕を見かけると話しかけてきてくれる優しいやつなのだが、僕にはそれが迷惑で仕方がなかったのだ。
「おはよう!今日も本読んでるの??」
「うん、まぁ」
「へぇー、すげえな!俺本読むの苦手だから羨ましいわ!」
「あぁ。ありがとう」
僕は彼のこういうところが苦手だ。そして怖いのだ。まぁもう何回もこのやり取りをしたから慣れたものだが。
「そういえば、今日転校生来るらしいぜ!!」
「あぁ。そう」
「興味無さそうだねー。お前らしいけど笑」
そんな会話を交わしながら、朝の会が始まった。
そしていつも通りの一日が始まったのだ。
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つまらない。
その一言に尽きた。
朝は須崎に話しかけられ、昼も須崎に話しかけられ、帰りももちろん話しかけられた。
昨日と全く変わらない。何が楽しくて生きているのだろう。
最近そんなことを考えてしまう。
そんなときだった。
ふと、僕の視界の中に一人の少女が映ったのだ。
その少女はどこか儚げで、それでいて美しかった。
彼女は一体誰なのだろう。そんな疑問が頭に浮かんだ瞬間、彼女が僕の方を振り向いた。
目が合った気がしたのだ。
次の瞬間僕は走り出していた。教室に入り、自分の席に座ると鞄を開けようとしたのだが鞄に手が触れることはなかった。
なぜなら隣から手が伸びてきたからだ。
その手の主はさっきの少女だった。
僕は焦った。焦って、どう対応したらいいのか分からなかったのだ。
そんなとき、彼女が口を開いた。
とても透き通った声だった。
そしてその綺麗な声で彼女は僕にこう言ったのだ。
ーーー君さ、死んじゃえばいいのにーー そう言って彼女はどこか儚げに笑ったのだ。
第二章
一体あの子は誰なんだ...?あんな子今まで見たことがなかったぞ...?
そんなことを悶々と考えているといつの間にか夜も更けていた。
結局、彼女については何も分からなかった。
まぁどうせ明日も会うことになるのだろうからそのときに聞いてみればいいか。そう思った僕は眠りにつくことにしたのだ。
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朝が来た。また同じ一日が始まるのか。そんなことを思いながら僕は学校に向かった。
教室に入り、いつも通り本を読む。そして須崎が話しかけてくる。そう思っていた。
しかし、今日はいつもとは違った。須崎が話しかけてこなかったのだ。不思議に思った僕は彼の席の方を見たのだが彼はいなかったのだ。
すると後ろから肩を叩かれたので
「おはよう。須崎」
と言ったのだが返事がなかった。
やはりおかしいと思い、振り向くとそこには誰もいなかったのだ。
そんなことを考えていると朝の会が始まったので僕はそれに従った。
そしていつも通りの一日が終わった。
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「やっと終わった……」
授業を終え、帰る支度をしているときだった。教室の端の方で女子が数人集まって会話をしているのが見えたのでそのグループの方に耳をすませたのだが、どうやら昨日転校生が来たという話で持ちきりだったらしいのだ。
「昨日、転校生が来たんだって〜。」
「へぇーそうなんだ」
「でも、なんか変な人らしいよ?」
「そうなの?」
「うん。なんかいつも無表情で怖いんだってさ」
「えーなにそれー」
そんな会話だった。
の特徴は昨日出会った少女と酷似したものだった。
「ねぇ、その子が今どこにいるかって知らない?」
いつも喋ることがない僕が急に話しかけたから少し驚いた様子だったが、
「さっき空き教室にいた気がするよ〜」
「ありがとう」
そう言って僕は空き教室に向かって走り出したのだ。
あの子は必ず何かを知っている。そう確信していた。
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空き教室に着き、扉を開けるとそこには昨日出会った少女がいた。
「君は誰なんだ?僕がタイムリープから抜け出せたのも君のおかげなのか?」
「そうだよ。私が君を元の時間軸に連れてきたんだ。」
「じゃあ君は一体誰なんだ?」
「それは言えないな〜。君には関係のないことだしね。それよりさ、もっと面白い話をしようよ!」
彼女はそう言って笑ったのだ。その笑顔がとても眩しかったのを覚えている。そして僕はしばらく彼女と話をしていたのだが突然彼女がこんなことを言い出したのだ。
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「ねぇ、ちょっとこっちに来て?」
そう言われて彼女についていくとそこには一つのドアがあった。どうやらこの空き教室は隠し部屋になっているようだ
「この中に入って」
そう言われたので僕は恐る恐るその部屋に入ったのだ。
そこには大きな鏡があった。そして彼女は僕にこう言った。
「ねぇ、君はさ自分の人生が楽しいと思う?」
「いや……楽しくはないかな……」
「そっか〜。じゃあさ、もし君が人生をやり直せるって言ったらどうする??」
そんな突拍子もない質問に僕は驚いたのだが、それと同時に少し興味を持ったのも事実だ。
だから僕はこう答えたのだ。
「もちろんやり直したいよ!だってこんなつまらない世界で生きるくらいなら、もう一回別の人生を歩んでみたいじゃないか!」
それを聞いた彼女はとても嬉しそうに笑ったのだ
そして次の瞬間、僕の意識は遠のいていった。
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目が覚めるとそこは自分の部屋だった。どうやら夢を見ていたようだ。それにしても不思議な夢だったなぁ……そんなことを思いながら僕は学校に行く準備を始めたのだった。
第三章
あの夢を見てからというものの僕はずっと彼女のことを考えていた。一体あの子は何者なのか、なぜ僕にあんなことを聞いてきたのか、考えれば考えるほど謎が深まるばかりだった。
そんなある日のこと、また彼女に出会うことになったのだ。場所は学校に向かう途中の交差点だった。信号待ちをしていると後ろから肩を叩かれたので振り向くとそこには彼女が立っていたのだ。
僕は驚きのあまり声が出なかった。すると彼女はこう言ったのだ。
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「私はね、君みたいな人を待っていたんだ! 君はタイムリープから抜け出せたよね?それは私が手助けしたおかげなんだよ!だから今度は私のお願いを聞いて欲しいんだ!」
そう言って彼女は一枚の紙を差し出した。そこには
明日の放課後、屋上に来て欲しい
と書かれていたのだ。僕はその紙を受け取りながら聞いた。
「お願いってなんだい?」
すると彼女はこう言った。
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「それは明日のお楽しみだよ!」
そう言って彼女は微笑んでいた。
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次の日、僕は言われた通り屋上に向かった。するとそこにはすでに彼女がいたのだ。彼女は僕の姿を見つけると手招きをした。そしてこう言ったのだ。
もうそろそろかな……
そう言った瞬間だった。僕の体は光に包まれ始めたのだ。そして次の瞬間にはもう僕はタイムリープする世界に戻ってきていたのだった。
一体なぜこんなことが……??そんなことを思いながらも僕は再び日常へと戻って行ったのだ……。
それからというものの、毎日同じような一日を過ごしていたのだが、ある日のこと、またあの少女に出会ったのだ。彼女はこう言った。
「出れたと思ったらまたおんなじところに戻されちゃう感覚はどう?」
「君は一体なんなんだ?」
「それは内緒。タイムリープ楽しんでね。」
彼女はそう言って僕の前から消えた。
それから一ヶ月が経った。その間あの少女と会うことはなく、同じ一日をずっと繰り返していたのだが、今日は少女が僕の前にやってきた。
「もうそろそろ私ともお別れかな〜??最後にいいことを教えてあげるよ!!タイムリープから抜け出せる方法だよ!それはね、自分の人生がつまらないと心から思うことなんだ!そうすればきっと抜け出せるはずだよ!頑張ってねーー!!!バイバーイ!! 」
そして次の瞬間、彼女は火が消えるようにフッといなくなってしまった。
自分の人生がつまらないと心から思う?
そんなことずっと前から思っている。
もう僕が助かる道はないのか?
そういうことなのか?
聞いても返事は返ってこない。
これからも僕は同じ世界をずっと繰り返すことになるのか。
そんなんならもう僕はこの世に居たくない。
父さん。母さん。須崎。
今までありがとう。
僕はこんな世界もう耐えきれないよ。
じゃあな。
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昨日未明、高校生の草薙彰吾さんが遺体で発見されました。
死因は首吊りによる自殺と見られています。
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「あーあ。死んじゃった。せっかく私がリープから抜け出せる方法を教えてあげたのにひどいなぁ。
今度は誰のことを閉じ込めちゃおうかなぁ。ふふふっ。」
End
こんにちは。海月と申します。
初めて短編を書いてみたのですが、本を書くのって難しいですね!
ダメ出し批判多いに結構です!どんどん送ってください!
今回は読んでいただきありがとうございました!