第二十一話 ありがとね、るーさん
デートの日は、次の日曜になった。
一度好きという感情を理解してしまうと、色々と大変だ。感情が今までと違って、荒ぶってしまう。
今日も、荒ぶってしまった。
帰り際、涼さんに頭を撫でられただけで、一日その事を忘れられなくなってしまっている。
私、こんなに弱い女だったっけ。
それとも、恋というのは、愛というのは、人を弱らせるものなんだろうか。
「それは違うよ、みーさん」
るーさんは、そう言う。
「人を弱らせるんじゃない。人を強くさせるの」
るーさんは、誇らしげにそう言った。
制服をしまうために、自分の部屋のクローゼットを開けた。
そこには、あまり服はなかった。
・・・あれ、これダメじゃない?
私、次の日曜にデートに行くのに、あんまり服ないのって、ダメでしょ。
今クローゼットの中に入っている服は、この前お父さんとご飯を食べに行った時に来た服と、水色のパーティードレス。それと、中学時代の制服。
あんまり外出はしないし、服にもさして興味もない。流行りの服とか分からないし・・・。
あ、いっそのこと着物とか着ちゃう?
・・・いや、絶対ダメだ。
そもそも遊園地に行くには、どんな服を着ればいいの?
分からない、何も分からない・・・!!
そうだ、るーさんに連絡しよう。
るーさんはワンコールで出た。
『あ、みーさん。どうしたの?』
「ちょっと、るーさんに聞きたいことがあって・・・」
『何〜?』
「えっと・・・その・・・、涼さんと、今度の日曜日に・・・」
『日曜日に?』
「遊園地に、デートへ行くことになりまして・・・」
『え、デート!?それも遊園地!?いいじゃん、いいじゃん!』
「あ、うん。いいんだけどさ・・・」
『何か問題でもあったの?』
「服が、なくて・・・」
『え』
「だから、るーさんと一緒に買いに行けたらなぁと思いまして・・・電話しました」
気づいたら、敬語になっていた。なんなら、電話しながら正座してしまっている。
『分かった!!行く!!ついでに自分の服も買う!!じゃあ、明日の放課後ね!!』
るーさんは、謎のハイテンションで返事をしてきた。
「ありがと。じゃあ、切るね」
『は〜い!!』
電話を切る直前に、るーさんが「楽しみだなぁ」と言っているのが聞こえた。
次の日の放課後、私はるーさんと一緒に最寄り駅の一駅先まで行くことになった。
最寄り駅の一駅先の駅は、大型ショッピングモールが多く、流行りの服とかもたくさんあると聞いたことがある。
いざ、大型ショッピングモールに入ると、キラキラしていて私はあまり馴染めないような場所だった。
どこを見ても、人、人、人。クラクラしてきた・・・。
「遊園地だもんね、スカートよりズボン系の方が良いよね」
「そ、そうなんだ・・・」
ショッピングモール内をぐるぐる回りながら(ついでに私の目も回りながら)、るーさんはデニム生地のガウチョパンツを見せてきた。
「これとか、よくない!?」
今は秋。調節のしやすい服装がいいらしい。
「あ、あのガウチョパンツとさ、このカーディガン合わせたら良くない!?」
「そ、そうだね・・・」
もう、訳わからない。どれも同じに見える。
「みーさん?大丈夫?」
「あ、ごめん。ぼーっとしちゃってた」
「・・・みーさん、服選ぶのやめようか。何か、甘いの食べよう」
「え?でも、服選ばなきゃ・・・」
「私が選んじゃ意味ないでしょ。それに、みーさん私の話聞いてないでしょ」
「あ・・・」
バレてしまった。
「デートするのは、私じゃなくてみーさんなんだから、みーさんが主体となって選ばなきゃ」
「うん、そうだね・・・」
「ということで・・・とりあえず甘いの食べよう!!何食べる?」
正直言って、るーさんの気遣いが嬉しかった。
「ありがとね、るーさん」
私がそう言えば、るーさんは太陽のように笑った。




