表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋よ咲け  作者: Lilly
恋が咲くまでのお話
13/27

第十三話 美華のお母さんのことについて

「白谷涼くんの彼女ですわ」

「・・・は?」

 私は思わずそう声を出していた。

「聞こえませんでしたか?アハ、そりゃあ、()()母親の子供ですものね」

「私の、お母さんのことを・・・知っているんですか?」

「ええ、そりゃあ知っていますわよ。・・・あら?もしかして・・・円城寺さんは綾小路流のことをご存知ないのですか?」

 舞姫(まき)の瞳には嘲笑の色が浮かんでいる。

「あぁ、そういえばそうでしたわ。円城寺流の方々は、()()母親がいなくなってから、華道家同士の交流の場にいらしてませんものね〜」

 さも今思い出したかのように、舞姫は語る。

「そうだ。円城寺さん、おばあさまはお元気で?最後にお会いしたのは、今から十六年前のことですので・・・あまり記憶がないのですが、確か、大変苦労していらっしゃられるのではないですか?」

 私の・・・おばあちゃんのことも知ってるの?

「あなたの母親がいなくなられてから、様々な教室を掛け持ちして、なんとかお金を稼いでいるらしいですわね。それに、円城寺さんが我が綾小路流のことを知らないのも頷けますわ。だって、もう落ちぶれた家が、“華の集い”に参加できるはずが、ありませんものね」

 さっきから、ペラペラと私の知らない円城寺流のことを話してくる。

「我が、綾小路家は落ちぶれていませんもの。どこかの流派と違って栄華を極めておりますわ」

「綾小路さん」

 るーさんが冷ややかな視線を舞姫に向けていた。

「少しお静かにお願いできませんか?あ、もしかして、栄華を極めている家は、他人の家の事情をペラペラと喋るような、とても品性のカケラもない行動をなさるのですね。・・・なるほど、つまり・・・栄華とは品性がなくとも極められるような、家なのですね?」

 それってつまり・・・綾小路家は下品ということ。しかも、舞姫が誇りに思っていることすら貶している・・・。るーさん、流石にそれは言い過ぎじゃない・・・?

「みーさん、私、言いすぎてないよ?」

 ドキッとした。心を読まれたのかと思った。

 ちらっと舞姫のことを見ると、眉を八の字にしていた。

(わたくし)、帰りますわ。それでは、ごきげんよう」

 そう言って、綾小路舞姫は帰って行った。


「舞姫ちゃんが、美華のもとへ来たのかい?」

 家に帰ると、おばあちゃんが花を生けていた。綾小路舞姫に話しかけられたと言うと、おばあちゃんは驚いて花を落としてしまった。

「うん、来たよ」

「・・・何か言ってたかい?」

「なんか・・・はなのつどい、とか言ってた気がする」

「“華の集い”か・・・。美華には、教えていなかったねぇ」

「私って、いつか・・・円城寺流を継ぐんだよね」

「そうさ」

「じゃあ、知りたい。・・・私、もうなめられるのは嫌だ」

 私がそう言うと、おばあちゃんは目を見開き、そして慈愛に満ちた表情をした。

「美華も、良い方向に変わったねぇ。それもこれも、全て白谷くんと付き合うようになったからかもしれないね」

「・・・そうかな」

「そうさ。美華、白谷くんと付き合って良かったと思っているかい?」

「うん、思ってる」

 私が即答すると、おばあちゃんは満足そうに笑った。

「じゃあ、教えようかね」

「いいの?」

「あぁ、教えるさ」

 そう言って、おばあちゃんは生けている途中だった花を見た。

「美華のお母さんのことについて」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ