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Muder World Amazing  作者: 黒澤 ユウ


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Ep1 青眼少女、街へ降り立つ その1


 林立とした都心。

 近代化の進んだ電子技術がこの街では発展している。


 総人口億人ほど。

 海外から移住してくる人も少なからずおり、渡航人も街中で度々と見かける。


「蒼衣さん、報告終わりました……それではそろそろ行きましょうか」

「そうね、あとは司令部の人に任せましょう」


 先ほど捕まえた凡庸殺人者(マダラー)は、

最終的な処理は

私たち組織を管理している区部――

司令部に任せた。


 捕らえて、連絡を早々に済ませ

しばらくすると専業の者が数人現れ、私と礼名は無名の殺人者を渡した。

 物騒な服装をしている。


 全身暗色で身にまとった強化服は

いかにも、悪さをしていると言わんばかりの身なりだった。

 彼らは軽やかに仕事を済ませた。

慣習、慣れというものだろうか。


 あとのことは技術工と司令部に任せ、

最後の野暮を終わらせよう。


「管理部への連絡をお忘れずに。

……さすがに蒼衣さんなら忘れてはいないと思いますけど」

「わかってる。だから、そんなこわばった顔しないでよ…………えぇもしもし」


 少々、皮肉に言われているような気もしたが

事を済ませる。

 私たち組織を統制する管理部へと一報を入れた。


 耳にスマホを当て。


「もしもし、こちらノヴァ(ツー)の東城蒼衣です。

管理部の方でしょうか?」

『おぉ東城さん、きみか。例の無法殺人者を礼名さんと一緒に、

捕まえることができたんだね?』


 大した力がないくせして

ひどく抵抗している姿勢をみせていたけれど

おとなしく投降すればいいのにと

心からそう思った。


 でも、この街はそういった無法者は

たくさんいるから

こんなの日常茶飯事。


 善良を全うする私たち殺人者もいれば

悪事を働く、殺人者もいるというわけだ。

 早い話、二手に分かれた派閥が長い間

争いあっているわけ。


 こりもしない殺人者に関しては

私たちはいつも首を捻っている。

 正直勘弁してほしい

って感じ。


 パッキィー(:チョコでコーティングされた細長いお菓子)

早く食べたい。


「……はい。大した殺人者相手では

なかったので楽勝でした」

『よし、わかった。それではこっちで

後処理は済ませておくから、あとはリーダーに

報告よろしくね。お疲れ』

「はい、ありがとうございます鍵澤さん」


 軽い会話で会話を済ませた。


 通話相手は鍵澤さん。

 私たち殺人者を厳粛に管理している

管理工の(ちょう)である。


 他にも私たちの組織を管理する

人たちは他にいる。

 カタゴトな日本語を話す

外国人もいるけれど、根は悪い人


じゃない気がする。たぶん。


 普段彼が戦うことはないが、

聞いた話によれば敵にすると

非常に厄介らしい。


 重要責務の人、かつ技術工内の人だ。

恐れないほうがそれはおかしい。


「終わったよ礼名。それじゃ行こうか」

「……(こくり)」


 人々の行き交う街通りを歩く。

 喧噪が鳴り響く中で、私は会話の中へと溶け込む。


 かたくなとする短髪な少女は、

いつもながら薄目で辺りを見渡す。


「問題ありませんね。警告もとくに

流れて……ないですね」

「そこまで神経質になる必要

ないと思うけど。あはは」


 出会って数か月。

 ようやく、彼女の心を少し理解できるようになった。

 最初は無表情すぎて、考えていること

を汲み取ることすら困難だった

けれども、今はもはや慣れたもの。


「……それで? また大好きなパッキィーでも

買いに行くんですか。お昼前ですよ」

「お腹が空いてね。ほらすぐ近くにあるコンビニあるじゃない。

大丈夫、政希さんにはそれらしい

弁明でも考えておくから」

「まったく、あなたという人は」


 少々笑った様子を見せるこの少女は。


 柚木礼名(ゆずきれいな)

私の1つ下の後輩――高1で、

いつも義理堅い性格をした子だ。


「仕方ないですね、はい。非常食用に買って

おいたんですけど」

「えいいの? やった」


 1か月前、

2人私たちの組織に入ってきたが

そのうちである1人になる。

 とても作戦に関しては一流であり、

的確な判断・臨機応変の対応を行えるのが

彼女の素晴らしいところだ。


 そんな彼女も私の所属する特殊組織『NVS:ノヴァスター』

通称ノヴァの重要なムードメーカーである。


 気前がいいのか、非常食用に買っておいた

パッキィーを手渡してくれる礼名。


「……もう溶けちゃってるね。手にチョコが」

「そんな何時間前に買ったと

思うんですか。時間が経てばなんだって溶けますよ」

「あとで冷蔵庫にでも、冷やしておけばいいのでは?」

「その手があったね。そうする」


 でも自分に褒美をと。

 軽く口にする。

 昼食近くなので、今は1本程度に留めておくことにした。


「あなたという方は。そのお菓子、本当に好きですね」

「あなたも食べてみたらほら?」


「ま、まあ蒼衣さんがそういうなら1本だけ……頂きます。

…………あれ意外と美味しいですね。チョコの部分が格別です」

「数百年以上前からある絶品よ」

「文明続きすぎはしませんかそれ。あ私にもチョコが手に」


 どうやら気に入ってくれたみたいだ。

 小さな口で、美味しそうに味わう様子をみせる。

 黙々と食べ。


「すみません、今度詳しく……このお菓子を。

いろんな味が店内に並んでいたので興味が湧いてきました」

「いいわよ。よかった気に入ってくれて。

そろそろ政希さんの家、私たちの基地に到着するわ」

「そうですね……今度買いに行こう」


 電車を経由し光学装置の通った道を、ひたすら進むと。

 少し陳腐な住宅街に行き着く。

 都市中心部とは打って変わった佇まい。

 機械ではなく、木造建築が数多く立つ。


 そして歩くこと数分。

 周りとそんなに変わらないであろう

木造建築の家を前に足を止めた。


 褐色を基調とした、

キリヅマの屋根が目立つが

そこへと足を入れ。


「帰りました」

「ました……」


「帰ってきたか。よぉし俺も仕事だいぶ終わったし

ナイスだぞ、蒼依、礼名」

「政希さん、管理工からのメッセージ受け取りました。

ノヴァ2、4無事任務完了。帰還しました」


 のんきに横の机にいる

場違いな大人な風貌をする子が

口を入れる。


「狙ったようなタイミングね。

絵美ちゃん、ちょうど帰ってきたみたいよ」


 玄関を潜ると少し騒々しい声が

聞こえてきた。

 みんなの待つリビングへ。


 長机が3か所。

 中心のテーブルには断髪な青年が1人。

この人がリーダー。天童政希さん。


「ちょっと政希さん? 疲れ切った顔していますけど

大丈夫ですか」

「大丈夫もなにも、この調子よ。

手が追いつかなくて手一杯だって本人は言ってたわよ?」


 全くそれならそうとどうして。

 いつも強がってばかりいて

このように頑張りすぎるところが

彼のいいところでもあり

同時に悪くもある。


 無茶ばかりするところは

彼の悪クセでもあるけれど

いつものことだ。


 机に体を伏して

疲れ果てた様子をする政希さん。

 気兼ねした彼は

過敏に反応しとたんに体を起こした。


「あの政希さん。だから私がやりましょうと」

「絵美。これは俺の誤算だ。悪い」


 腕組みする白髪の少女。

 指を差しながら頭ごなしに言うと。


「リーダーとして無様な体たらくな様子をみんなに……」

「(強がっちゃって……)はいはい。わかりましたよ。

おかえり蒼衣、礼名ちゃん」

「ん? 今なんか言ったか?」

「いえ気のせいですよ? 政希さんの空耳では」


 疲れ果てる彼を見ながら、余裕と話を

うまくはぐらかした。

 そのなにごとにも動じない

姿勢には遠回しに威圧感・権威さえも覚えてしまう。


 彼女の名前は華崎美咲(はなさきみさき)


 ここ都市部の三代名家――華崎家の跡取り娘である。

 とても私と同年とは思えない

美貌を兼ね備えており、外見がどう見ても大人。


 豪族らしいが、数億という資産が山ほどあるらしい。


 そして先ほど、作業を終わらせた礼名似の少女。

 橋本絵美(はしもとえみ)は、


組織メンバーに指示を出す通信技師――

オペレーターを担っている。

 礼名似な見た目が彼女との相違点は、

感情が豊かなので見分けやすい。


 礼名とは同期だが、なぜか礼名は敬語で話す。

不思議なものだ。


「……その政希さん、理奈さんは?」

「たしかに。どこにいるんですか」


 もう1人いるのだが、彼女の姿が見つからない。


 黄美江理奈(きみえりな)。私の親友はどこだろうか。

 任務とは言いがたいが。


「理奈なら今買い物に行ってるよ。俺が食料の調達するよう言ったきり」

「なるほど」


 スマホを見ると、12時30分を回っていた。

 理奈は、なるべく早く帰る子なんだけど、どうしたんだろう。


 私が、浮かない顔で沈黙していると。


「心配か? ……そうだな、もし心配なら行ってもいいぞ」

「そうですね。蒼衣、私も少し不安なのよ。電話しても出てこないし」

「……だそうですよ、どうします?」


 どうするって?

 そんなの選択は1つしかないじゃない。

 しぶるのではなく、ここは実際見に行ったほうが

得策かもしれない。


「なら親友の顔を見に行ってきますよ。

……あぁ付き添いはいらないので」

「そうか……それじ……。あ、行っちまった」


 リーダーの言葉をさえぎるように、

私は早々に基地を出た。

 疾走する最中

画面を見ると、絵美からのメッセージ。


『理奈先輩の座標値を送っておきました。都心部D地区、オカイドキスーパー前』


 絵美から送られてきた座標値を参考に、

指定された場所へと向かう。

 数キロを瞬く間と超過し、迅速に駆け抜け

高層ビルを上る。


都市全体が見渡せる場所で

位置をあらため確認すると専用機器を取り出す。


「あの子なにやっているのかしら」


 上空から流れてくる

都市の風。

 肌身その風を受けながら

建物から建物へと移動する。


 小型の物体から頭部につけられるほどの

スコープへと変形する。

 頭にそれを装着させ電源をオン。


「確認完了。マダラースコープ起動」


 屋上から飛び降り最短ルートを確保しながら、

もう1人の仲間が待つ場所へと向かうのだった。

 

「さて、迎えにいかないとね」

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