第172話 エピローグ
「ねぇねぇ蒼太くん」
「なんだ?」
「悪いとかそういう意味じゃないんだけどね? なんだか今までとあんまり変わらないかもって、思ったり……?」
「実を言うと、俺も同じことを思ってた」
「だよね! 良かったぁ、私だけそう思ってたわけじゃなくて」
「思うんだけどさ。むしろ今までが仲が良すぎたのかもな」
「そう言えば、菜々花ちゃんもそういうことを言ってたかも?」
右手の人差し指を口元に当てながら、優香が小首をかしげた。
「初めて会話したその日にいきなりシャワーを借りるとか、今さらだけどかなり特殊な出会いだったもんな」
「その節は、美月を助けていただいてありがとうございました」
「あはは、いいっていいって。それこそ今さらだろ? 何ごともなかったわけだし」
「蒼太くんのおかげでね。本当に、蒼太くんはすごく頼りになるよね」
「サンキュ。それにさ、俺と優香がいきなりそんな密接な関係になれたのは、美月ちゃんがいたからって風にも考えられるわけだろ?」
「あ、たしかにそうだよね」
「ってことは美月ちゃんは言ってみれば、俺たちの恋のキューピットじゃないかな? まぁそれを抜きにしても、美月ちゃんは天使みたいに可愛い子だけどさ」
「いいね、そういう考え方。素敵だと思うよ」
「……そう言う割には、なんか声が硬いんだけど」
「そんなことないですもーん」
否定はするものの、優香からは少し拗ねたような気配を感じてしまう。
ついさっきまではすごく嬉しそうだったのに、直近でなにか気に障ることでも言ってしまったのだろうか?
俺は自分の発言を振り返ってみた。
そしてすぐに気が付いた。
『まぁそれを抜きにしても、美月ちゃんは天使みたいに可愛い子だけどさ』
これだな、うん。
間違いない。
優香は美月ちゃんに嫉妬したのだ。
しかし、しまったな。
美月ちゃんは年齢差もあるし、小学生だし、優香の妹だし、恋愛対象としては全く意識していなかったから、まさか優香が美月ちゃんに嫉妬するとは思わなかったぞ。
ということは裏を返せば、優香は美月ちゃんも恋のライバルと認識しているのだろうか?
――って、さすがにそこまでのことはないか。
2人はあんなに仲のいい姉妹なんだし。
美人姉妹が俺を巡って骨肉の争いを繰り広げるとか、さすがにないない。
妄想にしてもイタすぎるぞ俺。
俺は一体どこのイケメンでハイスぺな男子様なんだよ。
単に自分の目の前で他の女の子が可愛いと言われたから、優香も少しだけ拗ねちゃったんだろう。
カノジョにはそれをする権利があった。
俺だって優香が別の男子をカッコイイとか目の前で言ったら、他意はないと分かっていても、心の奥がモヤモヤするだろうし。
……って、そんなことを思うのは、別に俺が特別に嫉妬深いわけじゃないよな?
「美月ちゃんが可愛いってのはあくまで妹みたいって意味であって、それ以上の特別な意味はないんだ。これはもう本当の気持ち」
俺は己の失態を素直に謝罪した。
「別にそういうことは気にしてないもーん。美月が可愛いのは事実だもーん。私はお姉ちゃんだから、そのことは一番よく知ってるもーん」
もー、優香ってば超気にしまくってるじゃん。
もちろん、全ては俺が失言したからではあるんだけれども。
だから俺は失態を取り返すべく、心からの気持ちを込めて言った。
「俺が好きなのは優香ただ1人だよ。絶対に他の女の子に目移りしたりなんてしない。絶対の絶対に約束する。俺は優香だけを好きでいる。だから機嫌を直してくれないかな?」
「えへへ、もう蒼太くんったら♪ もうすっかり直っちゃった♪」
「良かった。せっかくのケーキなんだから美味しく食べたいしな」
「うん。 っていうか!」
「どうした?」
「公共の場で、そんな恥ずかしいこと言わないでよね~!」
そう言った優香の顔はリンゴのようにまっ赤だった。
やれやれまったく。
妹に嫉妬したと思ったら今度は恥ずかしくて照れちゃうとか、本当に優香は可愛いなぁ。
俺が何かポカをやらかして優香に愛想を尽かされることがなければ、これからも優香との関係は続いていくだろう。
それはきっとすごく楽しくて、とっても充実していて、だけど時につらいこともあったりするのかもしれない。
それでも優香とならどんな人生だって満足いくものになる。
これから訪れるであろう素晴らしい未来を思いながら、俺は優香とカップルになって初めてのデートを、心行くまで楽しんだのだった。
一年付き合ってた彼女が医大生とラブホから出てきた(NTR……涙)。帰り道、川で幼女が溺れていたので助けて家まで送ってあげたら学園のアイドルの家だった。
(完)
30万字近いお話を、最後までお読みいただきありがとうございました~!
無事にカップルになり、この先、蒼太と優香と美月ちゃんの物語もいっそう華やいだものになることでしょう。
続きを書くことは全然できるんですが、書籍化のお話が来ないのでここでいったん完結です(´;ω;`)ブワッ
かなたんも人間なので、書籍化できないと、Web小説の稼ぎだけでは生きていけないんです。
涙を飲んで次に行かないといけないんです……( ;∀;)
それでも今後もちょこちょこ、この先の3人の物語を更新できればなと思っておりますので、
ブックマークはどうぞそのままに~!
☆☆☆☆☆で評価していただけると嬉しいです!
ここまで温かい応援をいただき本当にありがとうございました。
これからも頑張りますので、引き続き応援のほどよろしくお願い致します(ぺこり
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