表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/175

第13話 自問自答 ~優香SIDE~ 2

 実を言うと、私はわりとモテるほうだ。

 過去に何度となく告白された経験もあったりする。

 というかつい数日前も告白されたばかりだった。


 告白してきたのは、サッカー部で10番をつけていると自慢げに話す3年生の先輩。

 でもイマイチピンと来なくて――申し訳ない気持ちはあったけど――その人も含めて私はその全てを断ってきた。


 っていうか10番とか言われてもなんのことか分からないし。

 チームで10番目に上手ってことなのかな?


 でも今回は違った。

 別に告白されたわけでもなんでもないのに、蒼太くんのことがどうしようもなく気になってしまう。

 心が妙にザワザワして落ち着かない。

 蒼太くんのことばかり考えてしまう。


 蒼太くんのことが気になったり、別れた葛谷さんのことを今どう思っているのか知りたいと、なぜだか強く思ってしまうのだ。


 私はそんな自分の心と自問自答する。


「美月を助けてくれたからなのが一番大きな理由なのは間違いないよね……美月がすごく懐いてるっていうのも間違いなくあるし」


 美月があれだけ懐いてるんだから悪い人じゃないのは間違いない。

 2人が一緒にシャワーに入った時に万が一を考えてこっそり聞き耳を立てていたんだけど、そういう素振りすらなかったし。


「でも決してそれだけじゃなくて。蒼太くんの誠実な感じが『あ、いいな』って思っちゃったんだよね……」


 私は周囲から「チャラい男が好きな尻軽女」とでも思われているのか。

 告白したり話しかけてくる男子はなんていうかその、どうにもチャラい感じの人が多かった。

 もしくは妙に自信満々で自分がいかにすごいかをひけらかしたり、他の人を小馬鹿にするような人たち。


 実のところ、私はそういうタイプの人たちがあまり得意ではなかった。


 蒼太くんみたいに物静かで誠実で、優しい雰囲気の男子とこんなに仲良くなるのは、だから私にとっては初めての経験だったのだ。


「せっかく連絡先を交換したんだし、後でラインでも送ってみようかな?」


 今日はありがとうございましたって、改めてお礼を言うだけなら変じゃないよね?


「あ、でもでも! さっき直接お礼を言ったのにまた今からお礼の連絡まで入れたら、ちょっとウザがられるかも……」


 サバサバ系女子は論外だけど、面倒くさい系の重い女も嫌われるって菜々花(ななか)ちゃんも言ってたもんね。


「それでウザい女とか思われちゃったら嫌だもん。蒼太くんに嫌われたくないし……」

 それに蒼太くんからもあの後は特に連絡はなかったし……。


 連絡がないということは、向こうもそうまでして私と仲良くなりたいとは思っていないということなのでは?


「そうだよね、うん……」

 私は自分に言い聞かせるように何度もうなずいた。


 美月の手前「これから仲良くなる」ことにしちゃったけど。

 自分の身の安全も顧みずに人助けができる心優しい蒼太くんのことだ。

 あくまで美月を悲しませたくなかったからであって、私に対しては特に何かしらの特別な感情は抱いてはいないに違いない。


「でも今日の私たちって結構いい感じにお話してたよね? あ、それも実は私がそう思っていただけだったり? ううん、そんなことないよね、結構いい感じだったはず……でもやっぱりこっちから連絡するのはウザがられるかもだし……」


 結局、この後さらに30分ほど。

 私は浴槽に肩まで浸かりながら一人で悶々と「連絡すべきか」「この気持ちが恋なのか」を自問自答し続けたものの。


 これが恋かどうかなんて、恋愛経験値ゼロの私には到底分かりえなかった。


 だけど一つだけ言えることは、蒼太くんについてあれこれ考えている時間は全然ちっとも嫌じゃなかった。

 少なくともそれについてだけは、自信をもってそうだと言うことができる。


 そして最終的に蒼太くんに連絡はしないことにした。

 重い女の子って思われて嫌われるよりは、何も思われないニュートラルな方がマシだと思ったから。


 ちなみに長くお風呂につかり過ぎたせいでちょっとだけのぼせてしまった。


「はぅ、なにやってるの私……」


☆次回予告☆


ついにあのね帳が登場!

お楽しみに~!



お読みいただきありがとうございます。

気に入っていただけましたら、ブックマークと☆☆☆☆☆で評価していただけるととても嬉しいです(*'ω'*)b

短編に負けたくない……!!(´;ω;`)ブワッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 1番つけてるキーパーは一番上手い奴がなるポジションだから間違いないな(暴論 チャラいから気軽に粉かけてくるのはある 優香が簡単に落とせそうな女に見えるかはわからんが、強く押せば折れてくれそ…
[気になる点] サッカーを多少知ってないと、10番は意味わかんないね 「エース」とか言えば伝わったのかな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ